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次の社長たちに--社長の条件(1)

2005/02/27
次の社長たちに--社長の条件(1)

中小零細の企業の数は多い。毎日、たくさんの企業が生まれて、毎日消えてゆく。「倒産」や「解散」という明白な形を示さないままに、社員が去り、社長が勤めに出るというような形式で、事実上廃業してしまう零細企業は多い。社長が病気で倒れたり、死んだりすれば、零細な会社はたちまち行き詰まってしまう。中小零細の企業は、社長の技能、社長の人脈、社長の人柄で持っていることが多いからである。
円滑に代替わりができる企業は幸せである。
私が経営する小さな会社も創業25年目を迎えて代替わりを模索している。実は設立した24年前のその日から代替わりを模索していたといってよいが、過激な経営環境に恐れをなして、社長候補となるべき多くの若者はしり込みして、辞退し、舞台を降りていった。この間、私は、仕事でも資金繰りでも困難が生ずれば、だれよりもその困難を自分が引き受け、戦い、向こう傷のほとんどを私が引き受けた。満身創痍であった。他の役員や社員らに良かれと思ってそうしていた。しかし、振り返ってみれば、それは、後継者を育てない、ひ弱な役員と社員の集団を作り上げていたのである。
7年前、私が大病をしてからは、私も真剣にならざるを得なくなった。病院のベッドで1か月をすごした。その間もノートパソコンと携帯電話でベッドから顧客に連絡を取り、企画書や報告書を作成した。資金繰りのために銀行の担当者とも間断なく連絡を取り合った。主治医は苦笑いして「仕事が好きだね・・・」と、ため息混じりに語ったものである。退院しても数年は、10分も続けては歩けないほど心臓が弱っていた。このころ、大学の非常勤講師へのお誘いを受けた。死に直面して、しゃにむに仕事をするよりも今まで蓄えたものを誰かに伝えておきたいと思う思いのほうが強くなっていたので、喜んでこれを受けた。当時はスタッフも極端に少なくて、週に1回程度社長が社内にいなくと何も支障はなかった。大学で学生たちに接するのは楽しかった。乾いた砂が水を吸い取るように、若い男の子や女の子が私が準備する教材とわき道に属する知恵の数々をたちまち吸収し咀嚼して自分たちのものにしてしまうのに驚嘆しながら、学生たちとはいつの間にかタメグチになっている自分を発見していたりもした。
その後、社員が少しばかり増えた。親しい大学教授の弟子や私の教え子も社員に加わった。私が非常勤講師をしていることが、会社の技術水準に対する顧客の信頼感も増すという予期せぬ効果も見えてきた。私が教壇に立つことに対する社員らの支持も得られているようだ。教える講座の数も増えてきた。いつの間にか健康も回復していた。
私は、私が教壇に立つようになってまもなく私のこの行為が社員らの意識に革命的な影響を与えていることに気がついた。社員らは、「(いつ会社に現れるかわからないので)あてにならない」社長の判断を待ったり、問題を社長任せにして責任逃れをしたりするのをやめていたのである。これは、すばらしい進歩だった。私の会社の歴史には希求していたにもかかわらずかつて起こりえなかった革命だった。スタッフが60名ほどだった人材豊富な時代にも各部門の部門長はちょっとした困難が発生すると私の手助けをいつも待っているだけだった。彼らと違って、今の社員らは、職場の自己責任を全うしようと真剣なのである。親鳥はヒナに栄養豊なエサを食べさせないと育たないが、親鳥がエサを与え続けていればヒナは巣立たない。こんな単純なことをいまさらのように思い知らされているのである。
おそらくこの社員らから当社の次代の役員や社長が生まれるに違いない。誰かに叫んで知らせたいくらい幸せな気分である。
さて、かれらに、社長になる条件のようなものを理解してもらわなければならない時期にさしかかっているようだ。あるときを見れば、社長はその会社に一人である。多くの会社では社長が代替わりすれば、10年から30年は続けてその責任を果たすことになる。一方、私が知っている範囲でも、頻繁に社長を交代する会社もあるし、約束して主要メンバーが1年交代で社長を務めている会社もある。そのとき、その人が社長になるのは、どんな条件をみたしているときなのか、今の社員らに伝えて、自薦と他薦が一致する価値観を醸成する必要が生じている。自薦ばかりでは喧嘩となるし、他薦ばかりでは決まらないし、決まったところで積極的事業などできるはずがない。
したがって、幸せな気分に浸ってばかりはいられないのである。急がねばならない、と思う。

△次の記事: 社長の条件(2)
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参考記事:
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琵琶

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