カテゴリー

  • 日記・コラム・つぶやき
  • 経済・政治・国際

« 家族を救え--我が家の愛犬様(8) | トップページ | やはりあった「教師の本音」--心理、教育、社会性の発達(14) »

ゲーム・オタクへの心配--心理、教育、社会性の発達(13)

2005/10/31
ゲーム・オタクへの心配--心理、教育、社会性の発達(13)

一つ前の記事で、「もう一つのパンチドランカー/ゲーム・オタクへの心配」を書いた。
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/10/12_e1cc.html
この中で、「システム開発の現場には、"頭の壊れた人が多い"といわれた」と、書いた。
パンチドランカーという職業病である。因果関係を証明しにくいので、労災認定は受けにくいだろうが、関係者ならば(あえて、口にはしないが)良く知っている職業に起因する病気である。
実は、どうやら、「システム開発の現場・・・」ばかりではなく、学校の教室にも、パンチドランカーがいるのである。パンチドランカーは、キーボードを叩いていないと寝てしまうか、不安で落ち着かない。お行儀良くしていると血行が悪く表情に乏しい。キーを叩き始めると一時的に顔に赤みがさして、表情が明るくなるが、授業に集中できない。饒舌になってお隣さんの迷惑も顧みずにしゃべり続けたりする。深い思考はできなくなっているので、キータッチだけは速いのに、情報系の成績は必ずしも良くない。禁断症状があり、キーを叩かなければ陰鬱になったり、不快感でやたらと怒りっぽくなっている。無駄にキーを叩く傾向があり、早打ち文字入力ソフト(ゲーム仕立てのタイプ練習ソフト)を常時持参して叩き続ける者も少なくない。他人の話などは耳に入らない。指先に激しい連続した打撃を与え続けることで脳内麻薬(βーエンドルフィン)は、本人を陶然とさせてしまっている。教師が注意したところで、何を言われているのかほとんど理解できない。倫理感が低下しているのである。別の言い方をすれば鈍感になっているのである。本人にしてみれば「キーを叩かなければ正気でいられないんだ。分かってくれよ。止めたら教室から出て行ってやる」というくらいの意識しか生まれてこない。
学習困難は、症状のどれかに該当する者は90%に達すると書いた。
「気がつけば全般的学習困難と学習障害--心理、教育、社会性の発達(10)」
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/10/10_737c.html
そうは言っても、1つくらいに該当していても学習ができないことはない。複数の症状が重なると学習はいよいよ困難になってくる。ほうっておけば、普通の授業にはついてゆけないに違いない複合的な症状を見せる学生は、いろいろな大学を取り混ぜると、3割-4割程度いる。大学の教師らは、涙ぐましい努力で、何とか「こっちの世界」に目を開かせようと悪戦苦闘している。それでも成功と失敗は、残念ながらあい半ばしているといわざるを得ない。耳は聞こえているのに教師の言葉は理解できない、や、授業中かたときもジッとしていられず、注視しているものが次々に変動するような学生もいる。これらに混じって、パンチドランカーもまた学習困難者の一画を占めている。無駄にキーを叩いていないと目覚めていられないし、キーを打ち始めると陶然としてしまって、思考が停滞する。学習できる状態ではないのである。キータッチ中毒は3割-4割程度いる学習困難者の2割程度である。
パンチドランカーに似た言葉に「ゲーム脳」というものがあるが、この言葉を初めて使用した人は、ゲームおたくたちの脳の一部が壊れているという現象の一部を捉えたが、原因や機作を頓珍漢に解釈している。論拠もあやふやである。むしろ「ゲーム脳」なとという新語を作ってくれたおかげで、昔からあるパンチドランカーというれっきとした病気を多くの人が見逃す煙幕を作り上げたことになってしまった。「ハード・ゲーマ」が陥るのは「ゲーム脳」ではなくて、「パンチドランカー」である。
学校では病気になるほどキーを叩くような授業はない。その寸前くらいまででもやれば、大いに教育効果はあるだろうけれど、授業時間数の制約などから、その100の一ほどもキーを叩く授業はできないのが実情である。どこで、彼らはその病を得ているのだろうか。
それは、「ゲーム」である。大人たちは子供たちの社会性を育てる援助をする代わりに一人遊びを喜んでいる。親も保育士も小学校の教員も、一人遊びは歓迎である。自分たちの手がかからないからである。生身の子供が将来困ろうがお構いなしである。だって、偉い幼児教育の先生も「一人遊びは個性を伸ばす(というウソ)」を言っているじゃないですか、というわけである。子供同士の交流への意欲も技能も身に着けられなかった子供はますますひとり遊びにはまってゆく。一人遊びは没個性と没人間性を作り出すのである。没交渉を固定し、ニートを生み出しているのである。携帯用のゲーム機に魅入られたように一人遊びする入学前児童、小学生、は、大人たちの不作為の作為の結果であり、社会性の欠落ゆえに社会からの脱落が約束されてゆくことになるのである。その不幸な子供たちのさらに何割かは、重篤なパンチドランカーになってゆくのである。
誤解のないように、言うが、ニートの原因のすべてがゲームにあるのではない。ニートの主たる原因は、社会性を発達させない、親、教師、社会の失敗にある。パンチドランカーの発生も同根であるが、その一部の枝に過ぎない。手抜きのために一人遊びを美化した結果の一つが「ゲームおたく」の大量発生であり、結果としての電子ゲーム起因性パンチドランカーである。

パンチドランカーの怖いのは、精神科病院に入れるほどではないが、脳の一部がすでに物理的に壊れていることである。口頭での注意や説得、グループ活動への誘導などだけではなかなか改善が進まない。重篤な学習困難が見られる。社会生活にも相応の支障があるに違いない。単なる社会性の発達不全ではない。この種の子供たちに対しては麻薬中毒やタバコ中毒に対処するいろいろな手法が役立つ可能性があるものの通常の教育の範囲を超えている。心理学の特定の分野であるいわゆる「行動療法」が役立つかも知れない。
しかし、すぐに精神科の医師にゆだねるのは躊躇される。この種の学生は寝坊、陰鬱などの症状を強めるので、親も心配する。キーを叩いていないと鬱状態に近い外見となるのであるから精神科に子供をつれてゆこうとする親も多い。この種の学生を精神科に連れて行って相談したら、すぐに入院投薬となったケースがあった。2か月後、退院してきた本人に会って仰天した。想像を絶する彼がそこにはいた。鬱様の症状は消えたが、人格は破壊され、騒々しく誇大妄想的な話題をところ構わず息せき切って語りかけ同意を求め続けるパラノイアの症状を激しく見せていた。正常な判断力はもはやなかった。ハード・ゲーマの生活も続けていた。本人の話し相手になりながら、この子をこんなにまで破壊した責任は誰にあるのか、と激しい怒りが内心をおおった。半年後にも面会したが、この症状は変わっていなかった。精神科の医師は、鬱と診断して、抗鬱のための投薬治療をしたのに違いない。医師にも言い分はあるだろう。「鬱は直した」という自信と誇りもあるだろう。しかし、残っていた大半の判断力を崩壊させ、人格を破壊し、パラノイア(妄想性障害)にした責任は医師にもないのだろうか。これは例外的なケアケースなのだろうか。精神科に入院していた短い期間に医師起因性ではない別の発症が見られたのか。遺伝性疾患(ある種の言語障害がある)の子供たちの治療と研究に取り組む親しい医師が、雑談の中で、「精神科の医師は××××を作りますから、子供たちを預けるわけには行きません」と私に真剣なまなざしで語ったことが思い出される。この医師にも、よほど腹に据えかねることがあったのだろう。
ところで、誤解を避けるためにあえて付記するが、社会性の発達阻害を受けた若者がすべてパンチドランカーと言うわけではないということである。マスコミなどではすべてが「ゲーム脳」で片付けられてしまうときもあるが、これは事実に反している。社会性の発達不全と見られる学生は3-4割、教師が奮闘努力して10数パーセントに押しとどめられる範囲である。きわめて多人数なのだ。このうち、社会に出て、現実の仕事と仕事仲間にもまれているうちに改善される若者も多い。ミスマッチ退職-再就職困難となって、ニートとなる者は若者全体の2%程度だろう。統計はは採っていないが、実感としては、社会性発達不全学生/全学生=3-4割 のうちの30人に一人程度がおそらくゲーム起因性のパンチドランカーである。グレーゾーンにいるボーダー君を合わせればその3倍程度だろう。ボーダー君らを入れると100人位のクラスならば7-8人いる勘定である。無駄にキーを叩いていないと意識が維持できない程度に重篤な者は数%で、100人くらいの教室では2-3名である。ひどい状態だが、現実である。この種の学生は深い思考が出来ないので、私の授業の単位はかろうじて取れても他の厳しい先生の授業の単位を取得することは難しい。2年生になると大半が自主退学してしまうため、ぐっと少なくなっている。退学後は、たぶん引きこもりか良くてもフリータなのだろうと推測される。驚くことに大学を退学した者をフォローしている公的機関や人はいないので、だれもその実態を正確には知らないのである。
一方、パンチドランカーではないが社会性の発達不全に陥っている若者は、もっと多いのである。彼らは、何とか、「お情け」で大学を卒業してゆき、「異星人」「新人類」などとちょっとおどけて言われて社会の迷惑となりながら、多くは本人も苦しみながら自分の社会性を改善する。残りは、社会の迷惑になったまま、自分では改善の方法も思いつかず、挫折と自己嫌悪を抱いて若くして社会からリタイアする。いわゆる「ミスマッチ退職」にならざるを得ないのである。ニートの大量発生は、社会環境と教育に「社会性の発達阻害」の原因がある。ゲーム起因性のパンチドランカーはその重篤な一部の現れ表れに過ぎない。

ゲームオタクのみなさん、あなたはパンチドランカーにかかっていませんか。
キーを叩いていないと明るい心が持続できないと感じたら、かなり危ない状況です。
学生相談室(または学習支援室、大学によって呼び名が異なる)のドアをノックしてください。そこで、「たぶん、ゲーム起因性のパンチドランカーです」と告げて見てください。現代の青年の生態と心理を熟知している担当者が、よく話を聞いてくれるはずです。

△次の記事: 心理、教育、社会性の発達(14)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/11/14_3414_1.html
▽前の記事: 心理、教育、社会性の発達(12)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/10/12_e1cc.html

琵琶

(補1)「鐘の声 ブログ」はリンクフリーです。ただし、「鐘の声 ブログ」の記事の一部または全部を引用または翻案して、公的に発言または発表される場合は、事前にメール等でお知らせください。[→連絡先]
(補2)この記事が含まれるシリーズの記事の一覧は下記(別サイト)のとおりです。
  心理、教育、社会性の発達シリーズの記事一覧 (GO!)
(補3)ブログ「鐘の声」には、10個ほどのシリーズとシリーズ以外の一般記事があります。シリーズの全体構成やシリーズ別の記事一覧は下記(別サイト)にあります。
  ☆「鐘の声」の全体構成(「鐘の声 ブログ」記事マップ)☆ (GO!)

« 家族を救え--我が家の愛犬様(8) | トップページ | やはりあった「教師の本音」--心理、教育、社会性の発達(14) »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73834/6763092

この記事へのトラックバック一覧です: ゲーム・オタクへの心配--心理、教育、社会性の発達(13):

« 家族を救え--我が家の愛犬様(8) | トップページ | やはりあった「教師の本音」--心理、教育、社会性の発達(14) »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ