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多すぎる、社会性の発達阻害の原因--心理、教育、社会性の発達(15)

2005/11/20
多すぎる、社会性の発達阻害の原因--心理、教育、社会性の発達(15)

以前に書いた記事で、2005/10/15某大学で「情報教育担当者懇談会」が開催され、私が発表する予定であると書いた。
「気がつけば全般的学習困難と学習障害--心理、教育、社会性の発達(10)」
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/10/10_737c.html

実際に行われた当日の発表に使用したパワーポイントのスライドから、今回はひとつだけ引用する。

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3-1.認知の構造化の阻害

☆A 社会性の獲得の段階(△発達阻害の段階)
0-3歳ころ、家族の存在を知る、はず。(△家族の崩壊)
3-7歳ころ、他の家族の存在や複数の友達グループを知る、はず。(△一人遊びから仲間遊びへの誘導の欠如、一人遊びは個性を育てるという誤解)
7-10歳ころ、グループ間の関係や家族間の関係などのネットワークと、仲間-クラスや家族-地域社会などのメタ組織を知る、はず。(△アイデンティティへの抑圧)
10歳ころ、異性を意識して社会に眼が開く、はず。(△社会の仕組みを教えずにセックスを教える学校現場)
10歳以上、組織間の関係の高度な構造を理解する、はず。(△団体活動への非参加、知性なき丸暗記の強制)
☆B 社会性の高度化の段階
10歳程度を境にして、青年は、認知の構造化に目覚める、はず。 (△団体活動は少なく、知性なき丸暗記の強制は続く)
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子供から青年へ、社会性の獲得と発達は、主としてこの間に行われる。私は、この時期を2つに区切った。
☆A 社会性の獲得の段階(0歳-10歳くらい)
☆B 社会性の高度化の段階(10歳くらいから後)
日本の社会では、すべての段階で、子供たちを取り巻く環境に「社会性の発達」を阻害する社会的要因がある。

☆A 社会性の獲得の段階(0歳-10歳くらい)
(1)0-3歳ころ
家族の存在を知る、はず。しかし、家族が崩壊していることも少なくない。そうでなくとも、両親ともに忙しくて、保育所や保育園に預けられているなど、子供にとって必要な家族の接触が制約されていることも多い。
(2)3-7歳ころ
自分の家族以外の他の家族の存在や複数の友達グループを知る、はず。しかし、今は、明らかに大人たちによる一人遊びから仲間遊びへの誘導が欠如している。公園で遊ぶ子供たちが少ないとの指摘は多くされているが、いたとしても、親と遊ぶばかりで、「ボクたち、おじょうちゃんたち、この子も仲間に入れて遊んでくださいね」という親が少ないことに驚かされる。「一人遊びは個性を育てる」という厚顔な「誤解」を「学問」のように吹聴する書籍や保育園も多い。このトンでも育児学は、保育者が手抜きをするための隠れ蓑にしか過ぎない。一人遊びは社会性の欠如した孤立的性格(引きこもりスペクトラム)を育てるだけである。
(3)7-10歳ころ
グループ間の関係や家族間の関係などのネットワークと、仲間-クラスや家族-地域社会などのメタ組織を知る、はず。しかし、教師を中心にパーソナリティへの抑圧と仲間との交流の禁止が続くので、メタ組織の存在を体験することが少なく、個性を周囲に認知させることによって確立するはずのアイデンティティが確立しない。この時期の悪影響が極めて大きい。
(4)10歳ころ
異性を意識して社会に眼が開く、はず。しかし、社会の仕組み(=世間の仕組み)を教える教師も親もは少ない。性への目覚めは社会の仕組み(=世間の仕組み)を教える絶好の機会である。この機会に教えなくて、いつ教えられるだろうか。しかし、この時期に「社会」を教えずに、性教育と称してセックスのやり方を教えるおろかな学校現場もあるのである。これを「先進事例」として報道する間抜けなマスコミもある。
(5)10歳以上
組織間の関係の高度な構造を理解する、はず。しかし、「お受験のためにクラブ活動はやめて」などと団体活動からの引き剥がしはいっそう進んでゆく。高度化する認知能力を深化させるのではなく、知性なき丸暗記、考え無しの丸写しを強制する「受験勉強」を強いるのである。
☆B 社会性の高度化の段階
(6)10歳程度を境にして、青年は、認知の構造化に目覚める、はず。しかし、知性なき丸暗記、考え無しの丸写しの強制は続く。大学に入学する直前まで、このことは続くのである。学生は、「答えを教えてくれなくてはレポートがかけない」などとのたまうことになる。認知を高度化し構造化するなどということは教えられるどころか正しいことと知らされることもなかったのだから、当然であろう。大学の教員は学生の発言に仰天するが、判定を「不可」とするかお情けで「可」にするかを悩むのがせいぜいで、かれらの認知の構造化を手助けするような義務を負っているとは、(残念ながら)感じていない。
社会に出てから、厳しい生存競争にさらされる企業や研究所が「使い物にならない」とその青年男女を切って捨てるまで、「社会性の発達阻害」は顕在化することさえ少ない。「アンマッチ退職」とは職種がアンマッチだったのではない。本人が社会というものとアンマッチだったのである。現に職種を変えてみたところで「再就職困難」となって、フリータかニートを余儀なくされる青年が多いのである。

不思議なことだが、「社会性の発達」は「発達心理学」の専売特許のようになっている。誤解してはならないが「発達心理学」は「社会性の発達」の全般を扱うことはないのである。主として幼児教育の場面に限定されているということである。子供から青年になる前の心理的発達を扱っているのである。「社会性の発達」とは、幼児が自分以外の他人を発見する過程だけなのだろうか。この過程も大切な一要素だが、この発達だけで社会生活ができるようになるわけではない。私が、取り上げている社会性の獲得と発達の全体を捉えるという意味ではきわめて限定的なものである。これを幼児期よりもさらに年長な子供たちの心理にまで拡張してゆこうという意欲的な「発達心理学」の先生方については、過去にもいくつか取り上げた。しかし、これらの人々は、失礼ながら心理学の門外漢=心理学素人である私が見る限り、例外的な(異端の)研究者たちなのである。
「教育心理学」には「社会性の発達」がほとんど登場しないというとんでもない事実については、すでに述べた。
「「教育心理学」の限界と希望--心理、教育、社会性の発達(2)」
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/08/2_4ce5.html
「超える努力--心理、教育、社会性の発達(8)」
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/09/8_7e26.html
「青年心理学」は、第二性徴期以降の心の中に生起する心理現象を扱っているだけであり、「社会性の発達」という成長の動的な過程を扱っていない。
「社会心理学」は、すでに人々の中で固定してしまっている「社会性」が、現在の社会の中でどのように発現しているかを解明しているが、「社会性の発達」を扱ってはいない。
「社会性の未発達」は、心理学の世界では、「精神障害」と位置づけられているに過ぎない。日本には、70万人とも100万人とも言われるニートがいる。その数は日々増加している。彼らのすべてが「精神障害者」なのだろうか。薬漬けにする以外の方法で彼らを救う方法はないのか。否、それ以前に、彼らが「精神障害者」であるならば、これほどの多数の「精神障害者」を生み出してしまう社会的教育システムになんらの問題もないというのだろうか。これほど多数の「精神障害者」が本人の遺伝的特性、または家族性に起因するとすれば、世界史的大発見である。日本人は精神障害者民族ということになるだろう。「社会性の未発達」は「精神障害」ではなく、正しくは、心理的未発達状態であると考えるべきである。
「社会性の発達」を扱う学問の分野を新たに起こす必要があるのかも知れない。

小中高の教員の皆さんは、自分たちだけではどうにもならないほどの重荷が覆いかぶさっていると感じていらっしゃることだろう。自分の子供たち(児童生徒)に対して「他の子たちに関心を持つな」と言う心理状態もよくわかる。しかし、それは、子供たち(児童生徒)の中に将来の生活不能者を増やしている行為であることをよく理解していただきたい。「そうはいったって、それしかないじゃないか」という絶叫したい気持ちも同じように痛いほどよくわかる。共働きの経済構造の改革、教員自身のための再教育制度、子供のメンタル支援制度、それより教員のためのカウンセラー、、、たくさんの「必要」が思い浮かびます。教師の皆さん、自分たちで声を上げて、改善に取り組んで見ませんか。

さて、大学の教員の皆さん、私たちも、学生らの社会性の未発達を嘆くだけではなくて、新入生に対するキャンパスメイト制(ボランティアの先輩を一人以上メイトに加えるなどの工夫が必要)の導入、グループ学習・グループ研究の推進、学会発表の経験などを通して学生らの社会性の獲得発展を促しながら、認知の構造化を手助けすることが必要なのではないでしょうか。権威も地位もない私の微力だけではどうにもなりませんが、皆さんと力をあわせれば、少しは、前途ある青年男女の未来に今以上には力をつけてあげられるのではないかと愚慮しています。教育学部を中心に教職課程のカリキュラムの改善も不可欠なように感じています。
「社会性の発達」と「認知の構造化」はともに関連しつつ発展する相互関係なのであります。
「「記憶」の社会性--心理、教育、社会性の発達(3)」
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/08/3_e921.html

たくさんのご意見をいただければ幸いです。

△次の記事: 心理、教育、社会性の発達(16)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2006/01/16_9ed5.html
▽前の記事: 心理、教育、社会性の発達(14)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2005/11/14_3414_1.html

琵琶

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