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ワーマン考--情報デザイン研究ノート(2)

(「鐘の声 ブログ」記事マップ)

2006/2/17
ワーマン考--情報デザイン研究ノート(2)

情報デザインを語るのに、リチャード・S・ワーマン(以下ワーマンと書く)を無視することはできない。
ワーマンの代表作は下記のとおりである。
Richard Saul Wurman (原著)、金井 哲夫 (翻訳)、「それは「情報」ではない。―無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン 」、エムディエヌコーポレーション、2001年
ワーマンは、フィラデルフィアで13年間建築会社の経営に従事し、その後は「情報建築家」を自称している。かれの「情報建築家」は、エディトリアルデザイナに近い。
情報のアーキテクチャの理解を大衆的レベルで持ち込んだことの功績はきわめて大きい。
彼はその著書の中で、情報を整理できるのは、結局5つの分類だけであると言い切っている。
1)位置 地図として表現
2)アルファベット(日本風に言えば50音) 順番、順序で表現
3)時間 時間軸で表現
4)分野 カテゴリで表現
5)階層 程度で表現
なるほどと納得できるところも多いのだが、いかんせん、彼の視野は狭くて、自己陶酔に陥っているので、他人の声など眼中にないようである。経験から発言する人に固有の性向だが、欧米人に良く見られるように概念のメタ化・ヒエラルヒー化が不十分である。したがって、彼のつくった5分類にはまらないものが次々に発覚する。彼が発言した2000年頃には当てはまった原則がもはやほころびてしまっている。原理や原則を導くためには抽象化が弱すぎるのである。
ワーマンの歴史的功績に敬意を払いながらも、これを乗り越える知的冒険に乗り出さなければならないときが来ていると私は思う。
私と同じ思いを抱いている人は多いようだ。
いくつかの例をあげる。

アマゾンのカスタマレビュー(2006.02.12現在)から
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/detail/-/books/4844356097/250-3293387-2222621
これは辛らつだが的を射た批評である。
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現代社会における情報の整理にはクエスチョンマーク, 2002/8/13
レビュアー: カスタマー
5つの究極の整理棚のように、基本的な情報の整理の範囲においては指南書と成り得るかもしれない。だが、後ろのほうの章にいくにつれ現代社会の情報の行き交い方の問題点は指摘しているが、指摘に対する明快な解決法が乏しくなっていき、指摘の域を出ていない。
それにこの書籍は元々が複数の既刊の内容を一冊にまとめたものなので、一見すると豊富な内容で盛り沢山という印象を受けるが、よく読み進めると事例として取りあげている事が少々時代遅れだ。現代社会の情報を整理するという意味では、この事例の古さに沿った考え方では追いつかないだろう。情報の整理というものには普遍的な手法や考え方もあるかもしれないが、コミュニケーションデザインという事柄の性質上、現代社会の事例に沿った問題提起とそれに対する明快さがともなった指南がなされていない点がかなり気になる。この本に書かれてある事を活用していくには読み手のリテラシー能力が大いに左右するだろうし、著者のリチャード・ソール・ワーマンは別として、それに対応出来る人達というのはそれ程多くないのではないだろうか。
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橋本大也、「情報考学」(2006.02.12現在)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000510.html
これは、ワーマンを神のように高く掲げている方の評価だが、よく読むと、ワーマンの理論の非収束性、説明能力の欠如があぶりだされてくる。
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情報デザインの世界で著名なリチャード・S・ワーマンの代表作。独自の情報哲学を提唱し、あらゆる情報をデザインしては世界をアッと言わせてきた、Information Architect(情報建築家)の先端を走る人物。
ワーマンは情報を構造化する方法は5つしかないと定義している。5つは頭文字をとってLATCHと呼ぶ。位置、アルファベット、時間、カテゴリ、階層。あらゆる情報はこの5つとその派生形の構造化手法で説明、分類できるという。
LATCH
Location 位置 地図として表現
Alphabet アルファベット 順番、順序で表現
Time 時間 時間軸で表現
Category 分野 カテゴリで表現
Hierarchy 階層 程度で表現
確かにこの5つで表現できない情報は探すのが難しい。地図ならば位置だし、電話帳はアルファベットだし、スケジュール帳は時間、YAHOO!は分野、通知表なら階層である。それだけでは意味がないデータの集積を、5つの手法を駆使して、理解に結びつける形にする。データと情報は別次元であり、理解できないものは「それは情報ではない」のだ。
・・・
ところで、この本の目次や構成はさぞや整理されているのかと思いきや、まったく逆である。雑然としている。アジアの中華街みたいだ。うまい店がカオスでありながら最適化された配置で並んでいる感じがする。一章ごとに前章と連続しないテーマが、一見脈絡なく並べられ、すべてのページの下部には注釈として長い関連情報が大量に書かれていたりする。何ページおきかに挟まれるコラムやビジュアル資料も、本文を説明して収束させるのではなく、そこからつながる情報へと拡散させていくように仕向けられている。計算された雑然さが、心地よい。発想を刺激される。
・・・
-------------------------------
発想を刺激されるのは確かにいいことだ。刺激を受けた側は、ワーマンにできなかったこと、すなわち、もっと、勘所を押さえた簡明にして説明能力のある理論を作りあげようとする衝動が生じてくるはずである。

私も、ワーマンの歴史的功績に敬意を払いながら、これを乗り越える知的冒険に乗り出すことにしたのである。

参考(後に書いた私の記事):
ワーマン「5つの帽子掛け」再考--情報デザイン研究ノート(12)

△次の記事: 情報デザイン研究ノート(3)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2006/03/3_58cd.html
▽前の記事: 情報デザイン研究ノート(1)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2006/02/1_a953.html

琵琶

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