一緒に走るのって、好き!--我が家の愛犬様(16)
2006/09/06
一緒に走るのって、好き!--我が家の愛犬様(16)
愛犬様は、基本的に走るのが大好きである。(「うれしい! 怖い! 大雪!--我が家の愛犬様(10) 」、「草原に生きる習性--我が家の愛犬様(13) 」、など)。
ときどき、広い公園にサッカーボールが落ちていることがある。地元の少年サッカーチームがよくこの公園使っているのだ。私が、サッカーボールを蹴るとほぼ水平に10数メートル飛んだ後、ボールはほとんどバウンドせずに一直線に転がってゆく。着地点からはその距離20メートルほどだろうか。愛犬様はここぞとばかりに飛び出してゆく。私の足からボールが宙に舞う瞬間には走り出していて、着地点でほぼ同体(一緒)になるとボールと一緒に走るのである。両手を広げて人間で言えば腕立て伏せの低い姿勢のように体勢を低くして、首をボールの側に向けて鼻先はボールの下側2-3センチのところに近づける。ウワォー、ガゥ、ガゥ、ウワォーと歯をむき出してケモノの声でボールを追う。どうしてこんなにおぞましい声をあげて、まるでヒキガエルのような格好で噛みつかんばかりに擦り寄って駆けるのか、と思もうばかりだった。自慢のお前の細くて長い脚だって台無しじゃないか。・・・あぁそうか、あの牙の位置は、イノシシや狸ならばなま首を下から狙う位置だ、と納得がいったのは、最近のことである。ボールがでこぼこの地面の抵抗に負けてやがて止まると、彼はちょっとだけボールのにおいを嗅いで何事もなかったかのように、後を追ってくる私のそばに走りよってくる。結局のところ、相手が生き物でなければ関心はないのだが、走るもの、激しく動くものに対しては強い関心を持ち、スピードでは決して負けまいという意地と根性を見せ付けるのである。
ところで、最近、頻繁に愛犬様の散歩係りを引き受けている我が家の奥さんは非常に重要なことを発見した。
そもそも、我が家の愛犬様は、メス犬が大好きである(「メス犬大好き--我が家の愛犬様(7)」)。散歩の途中で気に入ったメス犬と遭遇するとメスを追って縄抜け(ハーネス抜け)をやってのけたり、突然走り出して奥さんを振り切ってしまうことがあるのである。さぁ、奥さんは愛犬様がおとなしく振舞っているときこそ注意百倍にしないとだまされてしまうのだ。愛犬様は奥様の油断を誘って、一気に行動を起こす。あっと叫んだときにはもう遅いのだ。そんなある日、奥さんが遠くに愛犬様のお気に入りのメス犬を発見した。かの方向は、いつものお散歩コースからは離れている。そこで、奥さんはメス犬を無視していつもの方向にちょっと走ってみた。愛犬様は、奥さんをチラリと見やると、大喜びで奥さんの走る方向に走り出した。表情は喜色満面である。何よりも愛犬様は"一緒に"走るのが好きだったのである。群れの仲間と走るのであれば、何があろうと、走る、を優先する。群れが一斉に走り始めるオオカミの時代の本能が彼を貫いているのである。走るときの愛犬様の表情はほんとに嬉しそうだ。
その後、ライバルのオス犬と出遭ったときでさえも、奥さんは走り始めることにしたのだそうである。そうすると、なんと、不倶戴天のライバル犬のはずなのに、さっさとこれを見捨てて奥さんと一緒に走るのだそうである。
これは、大変な発見だった。これは、お散歩でトラブルを避ける重要な方法を発見したことになる。奥さんは大喜びだ。
そういわれてみると、私にも思い当たることがある。愛犬様は、私とのお散歩で、あるときからライバル犬に出遭うと、私の左側にぴたりとついて、離れないのである。すぐ近くの右手をライバル犬がすれ違うその瞬間でも、私の目線だけを見てライバル犬に視線を送らないのである。完全に無視する態度である。無視された相手の犬も、私の顔はうかがっているが愛犬様の方は見ない。なるほど、犬の習性とは面白い。相手の犬が完全にボスに従っていれば相手のボスしか相手にしないのだ。ということは、愛犬様は私を野外での行動においてもボスと認めたことになる。いつからなのだろうか。
実は、私には思い当たる日の出来事があった。「夜明けの散歩、巨大犬との遭遇--我が家の愛犬様(9) 」 このとき、巨大犬が去った公園で、奥まった高台の木立の茂みに走りよったとき、愛犬様は私に対して巨大犬と戦った同志的結束感を抱いていたに違いない。私と一緒に奥まった高台の木立の茂みに向かって走るとき、愛犬様はふとスピード緩めて、私の右端に並んで走り始めた。こんなときは夢中で全力疾走するはずなのに、かれは、まるでわれに返ったように私の走りに合わせたのである。途中には1メートルもない段差があったがこれを駆け上がるときは横目でしっかり私の動きを観察し、こけたり、遅れたりしていないことを確認していた。あくまでも並んで行くことに彼はこだわっていた。同じスピードで段差を駆け上がれたことにかれは明らかに満足していた。高みに駆け上がると、口を大きく開けて嬉しそうに舌を振り回して顔を私に向け私と視線を交わすと、また並んで走り続けたのである。一緒に、とびきり強そうな敵と対峙したこと、一緒に一歩もひるまなかったことは、彼をして私を外でも頼りになるボスと認識させたのに違いない。その直後の行動の変化は明らかにそれを意味していた。以降、私とのお散歩ではいっそう私の歩調にあわせるようと愛犬様は気を配っているように感じられる。--親バカならぬ愛犬バカかな--でも、私には愛犬様がとてもいい子になったような気がする。
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琵琶
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