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さらに増加する小学生の対教師暴力--心理、教育、社会性の発達(26)

2006/9/13
さらに増加する小学生の対教師暴力--心理、教育、社会性の発達(26)

私は、以前に書いた「急増する小学生の教師への暴力--心理、教育、社会性の発達(9)」という記事の中で、2004年度の調査に基づく記事の紹介とこれへのコメントを書いた。
続く2005年度の調査結果についても文部科学省の調査結果が発表され、新聞各紙がこれを伝えた。ここにはアサヒ・コムの"増える小学生の校内暴力"という記事(以下に全文引用)とNIKKEI・NETは"小学生の校内暴力、過去最悪に・「対教師」が急増"(全文引用)を2つ引用しておく。

アサヒ・コム,"増える小学生の校内暴力"
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000180609010001
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【きょういく@東京】
増える小学生の校内暴力
2006年09月01日
小学生の校内暴力が、都教育委員会の調査によると、増えている。05年度は60件で、前年度の約1・7倍になった。教員からは「子供と信頼関係が築きにくくなり、荒れる原因も把握しづらい」と戸惑う声が聞こえる。学校が学力向上に重心を移すなか、子供たちをどう受け止めればいいのか。先生たちの悩みは深い。
「オレばっかりじゃねー」。7月、多摩地区の小学校で2年生を担任する女性教諭が、おしゃべりしている男子の1人に注意すると、いきなり暴れ出した。抱いて落ち着かせようとしたが、腕をかまれ、歯形が残って内出血をした。「反抗というより、感情を爆発させるという感じ。幼さゆえだと思う」
都教委によると、05年度の小学生の校内での暴力は35校で60件。04年度より10校、24件増えた。うちドアなどを壊す器物損壊は29件と、04年度に比べ倍以上に。教師への暴力は15件で、過去5年で最も少なかった02年の5倍になった。それでも、女性教諭は話す。「いちいち報告していたら大変。都内で15件なんてあり得ない。増えている実感はある」
「子供が学校でも勉強に追われるようになり、息を抜く場所がない」。生活指導に詳しい男性のベテラン教諭は、「荒れ」の背景をこう見る。
信頼しあっていると思っていた児童に、教室でいきなりカバンを投げつけられた。その時は「自分だから思いをぶつけてくれたのか」と納得したが、その信頼への自信も揺らぎ始めている。
学力向上が求められ、その結果が教員の評価にもつながる。「子供と勉強以外の話をすると、職員室で浮いてしまう」とベテラン教諭。「教師と子供が信頼し合えない中で『荒れ』は静かに進行し、突然爆発する。理由の把握は困難」
ある区立小の養護教諭は、保健室に駆け込む子供と接する中で「担任との関係がこじれたのをきっかけに荒れるケースが多い」と気づいた。先生にしかられただけで「あの先生がいるから学校に行きたくない」と言う。注意される様子を見たほかの子供が呼応し、集団化していくこともある。
「教員としての経験の長短は関係ない。一人ひとりと我慢強く向き合わないと、本当の原因はみえてきません」と語る。
荒れる子供の傾向について、大東文化大の村山士郎教授(教育学)は「最近は欲望や抑圧感を発散するというより、心にため込んだ結果であることが多い」と話す。
「家庭でも学校でも競争に追われ、『やっていられない』という思いがある。暴力をふるうことで周囲から隔離されることを望んでいる」とも分析。「テストの点数など、結果からしか子供や先生を評価しない仕組みが問題。普段の取り組み方や生活態度など、子供中心の視点を学校に取り戻すことがまずは必要ではないか」という。
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NIKKEI・NET「小学生の校内暴力、過去最悪に・「対教師」が急増」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060913AT1G1302S13092006.html
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小学生の校内暴力、過去最悪に・「対教師」が急増
2005年度に全国の公立小学校で起きた校内暴力の件数は前年度に比べ6.8%増の2018件で、3年連続で過去最多を更新したことが13日、文部科学省の調査で分かった。先生が被害者となるケースが4割近く増えており、突発的に暴力を振るう子どもにどう対応するかが課題になっている。
調査は「生徒指導上の諸問題の現状について」と題し、全公立小中高校が対象。小学生の校内暴力は1997年度から調べている。
調査結果によると、中学の校内暴力は2万3115件でほぼ横ばい。高校は5150件で前年度比2.5%の増加にとどまり、小学校の件数増が際立っている。
小学校の校内暴力の内訳は「対教師」が464件、「生徒間」が951件、教師・生徒以外の「対人」が21件、「器物損壊」が582件。生徒間暴力は前年度に比べ4.1%減ったが、対人は16.6%、器物損壊は6.9%増え、対教師は38.0%増だった。 (18:49)
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1年経って、事態が改善されたのではなく、事態がもっと悪くなっているというのは、うなづけるような気もするが根本的な対策がされていないことを物語っている。

大東文化大の村山士郎教授(教育学)はアサヒ・コムの記事中で、次のように語っている。
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「家庭でも学校でも競争に追われ、『やっていられない』という思いがある。暴力をふるうことで周囲から隔離されることを望んでいる」とも分析。「テストの点数など、結果からしか子供や先生を評価しない仕組みが問題。普段の取り組み方や生活態度など、子供中心の視点を学校に取り戻すことがまずは必要ではないか」という。
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ここで、村山先生はわかっているのだろうに、おっしゃっていない事実がある。
子供たちが『やっていられない』と感ずるのは、教師から「教室で他の子供たちと仲良くしてはいけない。大人になればみなライバルなのだから、口をきいてもいけない」という指導を受けているからなのである。ウソだと思うかもしれないが、これは学級崩壊を防ぐ特効薬として、どこの地域の教員でも先輩や事例研究の発表会で教えてもらっている手段なのである。これは教師の職業上の機密なのかも知れないが、結果として、子供たちは子供たちの中で孤立し子供たちが「仲がよすぎて喧嘩する」というありがちなことも起こりにくくなっているのである。当然、教師に当り散らすために子供たちが結束することも少なくなったが、斉一性への圧力をかけ続ける教師に向かう一人一人の子供たちの心の中にどろどろとした反発心は日に日に蓄えられ高まっているのである。爆発がこの程度で収まっているのが不思議なくらいなのかもしれない。子供たちは教師に毎日敵意を少しずつ高めているのである。来年はもっとひどい調査結果を見ることになるのではないかと心配である。
競争をあおり仲間の結束を弱めようとの策略を、教室の子供たちにめぐらせてよいはずはないと思うのは私だけでしょうか。先生方はご自身がそんな風にされたらとてもたまらないと感ずるはずです。小学校1年生から10歳くらいまでの間は、子供同士の喧嘩や交流を通じて社会性を獲得する大切な時期である。子供たちは、子供同士の交流能力だけではなく、子供とクラスの関係を学んだり、隣のクラスの子供たちとの組織同士の交流の方法を学んだり、クラブ活動などを通じて組織の階層構造やネットワークの基本を知る大切に期間なのです。ここで、このような社会観を身に着けないと、大脳は「知性なき丸暗記」で進歩を止めて、正常な思考能力を身に着ける機会を失ってしまいます。おとなしい落ちこぼれをこれ以上作りたいのでしょうか。
小学校の先生方にお願いします。体力も時間もたいへんですが、もっと子供たちと一緒に遊んでください。そして子供たち同士で、もっと遊ばせて上げてください。
自信をもって社会に入ってゆける子供たちを育ててください。
心ある教育者の皆さんのたくさんの知恵をいただきたくお願いいたします

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琵琶
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(補2)ブログ「鐘の声」のこの記事は、「特集2 心理、教育、社会性の発達」に収録されています。
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