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社長は最高の営業マン、「上から下まで-その5」--社長の条件(28)

2006/09/29
社長は最高の営業マン、「上から下まで-その5」--社長の条件(28)

ミニシリーズ:社長の条件「上から下まで」(全5回)
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1.目指すは上流にあり 「上から下まで-その1」--社長の条件(24)
2.システム開発業の上流工程と下流工程「上から下まで-その2」--社長の条件(25)
3.上流工程と下流工程の複雑な経済事情「上から下まで-その3」--社長の条件(26)
4.上も下も「上から下まで-その4」--社長の条件(27)
5.社長は最高の営業マン「上から下まで-その5」--社長の条件(28)
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社長たるものが企業の舵を取る際の留意点について、さまざまに述べてきたが、社会の生産活動には上流工程から下流工程にいたるとうとうたる流れがある。数回に分けて、この問題について、説明する。

(前稿から続く)

5.社長は最高の営業マン
(1)感謝される営業マン
「社長は最高の営業マン」という言葉がある。この言葉があるからと言って、「社長」になればだれでも「最高の営業マン」になれるのかというとそうは行かない。それはひどい誤解である。「最高の営業マン」であれば「社長」になれる可能性があるのである。
「最高の営業マン」とは、手練手管で相手を篭絡するに長けた人のことではない。もちろん値引きさえすればよいというわけでもない。
「最高の営業マン」とは顧客が、「ありがとう」と言って感謝を込めてお金を支払いたくなるような人のことである。どうすれば顧客は感謝してくれるのだろうか。「顧客が言っていることをして差し上げる」という人は30点である。実業の世界では落第である。「顧客が望むことをして差し上げる」のが正解である。
「顧客が言っていること」と「顧客が望むこと」は実は相当に異なっている。「顧客には望んでいること」があるのに、正しく表現できないことが多い。顧客はシステムの専門家ではないのだからシステム用語をいろいろと取り違えている場合もあるが、「今までにない何か」を実現しようとしているのだから、それは従来のビジネスモデルにもビジネス用語にも存在していないことが多い。正しく表現することなど土台無理なのである。そればかりではない、激しい欲望やかつてない利益の可能性などが脳裏に掠めているとき、人は突然シャイになり婉曲な表現しかできなくなる傾向がある。それとなくそれを察したら、正当な経済活動である限りは、恥じることではないですよ、と軽く話しかけてみるとよいことさえある。
「顧客が言っていること」の中から「顧客が望むこと」をすくい出すのは、口で言うほど簡単ではない。そのために優れた営業マンは顧客の趣味の話題(巨人軍、亀田親子、つり情報、映画、直木賞発表などなど)をさりげなく交えながら、リラックスした関係の中で顧客に本音を語ってもらいながら、聞き取ったことを手元で図や文章にまとめて、お望みはこのようなことですね、と示すことが肝要である。それらが「お望みのとおり」であれば、発注され、完成したときに、顧客の口からは「ありがとう」の言葉があふれ出てくるに違いない。
「お望みのとおり」とおりと思ったことも、たびたび起動修正に迫られることがある。抽象化された「要件定義」は肉付けしてしてゆくにしたがって、後から付加される内容がどんどん多くなる。広く採用されているウォータフォールモデルでは、付加しても付加する前と基本的には内容は同じはずというトンデモ理論に基づいている。内容が付加されれば付加される前とは異なる部分を含むのである。こんな簡単なことがなぜ一般的に認知されないのか不思議な業界である。付加される前とは異なる部分が顧客の「望みどおり」であれば問題はないが、望みどおりであることは理論上保証されているわけではない。肉付けする営業マンか、彼から仕事を引き継いだクリエイティブ技術者のどちらか、の眼力と顧客理解能力が高ければ、「望みどおり」でない危険性は減るが、完全になくなるわけではない。肉付けを進めるごとに顧客にその内容を伝えて了解を取る必要がある。最後のユーザテストになって大きな食い違いが発見されるようではどこかでそのコミュニケーションがうまく行かなかった結果に相違ない。最初に決めた取り決めが完成時にはまったく別物になっていることもままあるのである。システムの開発が進むにつれて、時間とともに、顧客も開発側もできる事を新たに発見したり、両者協議の上困難な課題を回避したりすることもよくあるからである。開発側も変化し成長するがお客様も知識を増やして賢くなってゆく。変化する両者がキャッチボールしながら軌道修正を進めるのであるから着陸点が当初の予定地点からかなり離れてしまうこともあるのである。では無限に離れてしまう危険性はないのかといえば、ないわけではない。その危険性に歯止めをかけるものは納期と予算である。開発する側は、システムの仕様を変化されながら、変化に伴う予算と納期の変更可能性(危険性)を常に提示している必要がある。この変化の幅を理解しながら顧客は着陸点を探すことになるし、開発側もスタッフらに対するたずな捌きを加減することになる。
最初から最後まで、気持ちよく軌道修正を進めて、顧客が最終的に望むところに軟着陸ができれば、顧客は満面の笑みを顔を浮かべて「ありがとう」と言って約束のお支払をしてくれるに違いない(「営業の極意--社長の条件(20)」参照)。

(2)社長は最高の営業マン
社長は社員や協力者、仕入先からの信頼も厚くなければならない。銀行や監督官庁からも信用されなくてはならない。そしてなによりも社長は顧客からもっとも信頼される人物が望ましい。
顧客は、自分の望みを理解してくれて、妥当な品質と価格で実現する手段方法を提供してくれる人を信頼する。上記(1)の意味で「最高の営業マン」でなければ信頼されることはない。
「社長であれば最高の営業マン」ではなく、「最高の営業マンでなければ社長にはなれない」のである。諸君には最高の営業マンになることを期待する。諸君には、その潜在能力が十分にある。営業マンとして鍛えられる機会も多い。いまはまだ不十分でも、すぐに良い営業マンの一人にはなれるだろう。その後「最高の営業マン」に達するには、なんといっても経験と努力しだいである。
言い方を変えると、社長は最高の営業マンであり続けなければならないのである。
(本稿、ミニシリーズ「上から下まで」はここで一応終了である)


△次の記事: 社長の条件(29)
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琵琶

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