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つまずくWEB2.0、マイスペース、ユーチューブ、ミクシィ、グーグルに暗雲--情報社会学、予見と戦略(6)

2006/12/5
つまずくWEB2.0、マイスペース、ユーチューブ、ミクシィ、グーグルに暗雲--情報社会学、予見と戦略(6)

昨日(12月4日)の日経産業新聞は、「グーグル誤算?」という記事を掲げた。
グーグル検索、マイスペース、ユーチューブは、いわばWEB2.0の代表格とみなされたWEBサービスである。この記事は、これらの利用数にかげるが見えるというのである。
ユーチューブがグーグルに買収されると、日本のコンテンツ企業などから、無法な利用に対する警告や損害賠償の予告が出始めており、法的に正しく運用すればすべてのコンテンツの無料での自由な閲覧ができなくなるというジレンマに陥りつつある。これまでは無名のかわったサービスに過ぎなかったので大目に見てもらえた無法行為がグーグルという「大人」に引き取られたからには社会的責任を果たせといわれているようなものである。無法のシステムはどんな便利であってもいずれは衰退する。グーグルも大きくなりすぎて目が曇ったかといわれているところである。
また、マイスペース(人脈サイト)が利用者数に頭打ちの傾向が見られ始めている。実は、日本では早々とミクシィが頭打ちになっている。11月20日のネットレイティングス株式会社レポートは、すでにこのことを指摘していた。この報告の冒頭の図を下に引用する。
Photo_11
マイスペース(人脈サイト)やミクシィ(日本的SNS)が急成長したのにも、頭打ちになったのにも、理由があるのである。
社会組織は、家族が多数複合してムラを構成するように、3~7人程度の「擬似家族」が階層的に積み上げられた構造をなしている。人と人、人と単位組織、単位組織と単位組織の間にはコミュニケーションすなわち影響しあう関係が存在して社会組織が構成される(「人類社会は次の激動再編へ--情報社会学、予見と戦略(2)」の二番目の図参照)。それぞれの影響関係は、参加と服従といういわば縦の関係とネットワーク型という横の関係にたとえられる関係が組み合われている。この構造こそが社会の構成の有様である。原子が組み合わさって分子が構成されるように、家族や家族類似の単位組織が組み合わさって社会が構成されるのである(「鍵を握る単位組織=擬似家族--情報社会学、予見と戦略(4)」)。電子的に提供されるサービスがこの社会の構造を映し出し支援するものであれば人々は受け入れ、社会の構造に抵触し妨げるものであれば、やがて衰退し破滅に至るのである(「空間を越えた擬似家族成立の条件--情報社会学、予見と戦略(5)」)。
マイスペースやミクシィでは、情報の開示範囲が登録されている友人の間だけ、または友人の友人まで、会員全部にまでのような制約がつけられる。2チャンネルなどの匿名掲示板よりも安全なので、これらのサービスは大いに普及した。急成長したのは、単位組織から社会が構成されていることの一部をまねしたためである。友人という単位組織を真似している。しかし、単位組織を出発点に、その構造は、友人-->友人の友人-->契約者全員のように3段階の拡散的同心円である。また、単位組織の大きさも制限されていない。数千人という規模の「友人グループ」もまれでない。数千人では、本当の「友人」ではないに違いない。なのに「友人」のつもりで気を許していると、突然牙を剥いて襲ってくる者、紛れ込んで言葉巧みに悪の道に誘う者、詐欺師、ペテン師、暴露屋(FD)などが、実はとなりにいるという状況になるのである。心許す環境を作り出すために、参加者は実名とある程度の個人情報をグループ内で開示することが推奨されているので、いったんそのグループに潜入できれば、個人情報も取り放題である。マイスペースもミクシィも、巨大化したおかげで、個人情報の流出事件は頻発している。安全なはずのSNSが安全とはいえなくなってきているのである。
もともと無法系であるユーチューブはユーザ数を減らすことになり、無法者を野放しにした2チャンネルは衰退を開始し始め、仕組み上無法者の侵入を防げないミクシィは頭打ちになっている。インターネットが人類の社会と融合を深め普及を広げるにつれて、「社会性(倫理性)」が要求され、「社会性(倫理性)」のない仕組みは嫌われるという運命が待ち受けているのである。「社会性(倫理性)」は心の持ちようも大切であるが、これを支える社会の構造(「擬似家族的」単位組織の組み合わせの仕方)も、人類史の知恵とその成果にかなう姿を持たねばならないということである。
私は、こんなことが報道されるかなり以前の7月17日、「人類社会成立の予兆、ミクシィ・WEB2.0など--情報社会学、予見と戦略(3)」で、"「2チャンネル」から「ミクシィ」へのユーザの移動は、「単位組織を持たないフラットな巨大情報空間」から「曲がりなりにも(安全な)単位組織をもつ複合的情報構造空間」への移動である"と書いた。ここには、「ミクシィ」の大発展の理由が、曲がりなりにも社会の構造を映している点があるからであることを意味しており、「曲りなり」であるがゆえに、いずれ隘路に立つことを示唆していた。
苦しい事業展開を強いられ始めているソフトバンクが起死回生を期して提携したマイスペースがつまづき、無法系のユーチューブが頭打ちになった。グーグルは、マイスペースと全面提携しており、無法系のユーチューブを買収によって参加に収めたばかりである。グーグルも一緒につまづいたのかも知れない。ミクシィはこれより1-2か月早くかげりを見せている。WEB2.0ともてはやされたものがすべてまとめて、つまづいてしまったかのような印象さえある。
そもそも、WEB2.0というくくり自体が現象を並べただけで本質を捉えていない言い方であると私は常々にがにがしく言い続けてきた。現象の背後にある本質は、電子的ネットワークを用具として使いこなす「地球社会」または「人類社会」の成立に向けた、いわば揺籃期にもならぬ胎児期にあたるのが、ここ数か月~1年程度の動向なのである。ここだけを見て、WEB2.0であると大々的にはやし立てた人たちは、胎児期を過ぎ揺籃期に入れば、不要になった胎盤を捨てるようにWEB2.0も捨てるしかないだろう。お世話になったものでも不要なものは不要である。浅薄な人たちは、あくまでも本質を見ずに、目先の変化に一喜一憂するのである。今は、不要になりかけたWEB2.0にまだしがみついているらしい。
我々は、1か月先のことよりも、30年先、100年先を見ていなければならない。WEB2.0と騒いだ人は、まもなくWEB2.0が廃れて自分の心も捨てるに違いない。我々はもっと豊かに未来を予測し、じっくりと、人類100年の計ならぬ、悠久の人類の未来史に貢献する仕事に取り組まなければなるまい。
やがて来る「地球社会」または「人類社会」は、人類が永続的に生存しうるかどうかの正念場である。50-60万年前、小さなムラの成立から始まった人の社会は地球上に分布を完了し、これらを高度に組織化しなければ生存が困難な人類社会の始まりの手前に私たちは立っているのである。
SNSと呼ばれるようなサービスも、その予兆のほんの一部を反映したが、その本質を反映していない。今を越える社会サービスを創造できるのは、20代、30代の若者だろう。否、10代の青少年かも知れない。これから生まれてくる子供たちかも知れない。
今、私は、この圧倒的な予見を君たちに伝える。君たちが地球の主役である。期待と希望を君たちに託したい。

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琵琶

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