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反社会性人格障害、その家族性を考える--心理、教育、社会性の発達(33)

2007/01/19
反社会性人格障害、その家族性を考える--心理、教育、社会性の発達(33)

昨年12月4日早朝、私は「実例、教員資格認定にメンタルテストを--心理、教育、社会性の発達(32)」という記事を書いた。
東京都羽村市の小学校男性教諭(渡辺敏郎、33歳)が、死亡した子どもらの遺体写真などを興味本位(性倒錯、猟奇的)にネット掲載し、遺族らが告訴を進めているとの報道を取り上げたものである。
直後から、この記事に対するアクセスは急増し、一時は一時間あたり約1000件という過熱ぶりだった。その記事の私の論点は、教員の資格認定や採用時または再認定の際には、メンタルテストを課すべきであるというものであった。明らかに人格に障害が認められる実例と推測されたからである。
この記事の直後、別の報道によって、この教師の父親(渡辺泉郎)にも問題があったことが発覚した。この父についてはたくさんの解説記事があるが、一つだけ引用しておく。
寺澤有, 『警察官の犯罪白書』(1999年版), 2000年6月24日
写真説明が端的である。
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渡辺泉郎元神奈川県警本部長は警察大学校長を最後に退職(1999年2月)。その後、NKK顧問に天下っていた。2000年5月29日、横浜地裁で「犯人隠避」の罪により、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受ける(確定)。
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警察本部長の犯罪(薬物犯罪の隠匿)という意味でも驚愕だが、有罪確定後に、警察大学校の校長を勤め、つい最近まで、汚職事件で名高い水谷建設の顧問をしていたということなので、マスコミでは一時話題独占という状態だった。
それはそれでいろいろな解釈も意見もあるだろうが、私は、この事例を知ったことをきっかけに「(仮性の)反社会性人格障害」の家族性について調べることにしたのである。
渡辺親子の例が家族性であったという断定は難しいだろうし、私もそう断定するつもりはない。
しかし、「(仮性の)反社会性人格障害」をマクロに見れば(統計的にみれば)、家族性の要因が極めて強いことが推定されるのである。
下図は、最新の犯罪白書(平成17年度版)からの引用である。
Photo_10
見にくいが、戦後の犯罪件数には、小さなピークも含めると次ように8つのピークがある。
1)1947-48年(昭和22-23年) --欲望優位
2)1954年(昭和29年) --経済犯
3)1960年(昭和35年) --社会否定
4)1970年(昭和45年) --欲望優位
5)1978年(昭和53年) --欲望優位
6)1989年(平成元年) --経済犯
7)1993年(平成5年) --社会性の喪失
8)2001年(生成13年) --欲望優位
犯罪心理の観点で、各ピークの特徴を右側に書いた。
次のように並べ替えてみるとどうだろうか。
「1)1947-48年(昭和22-23年) --欲望優位」/「5)1978年(昭和53年) --欲望優位」
「2)1954年(昭和29年) --経済犯」/「6)1989年(平成元年) --経済犯」
「3)1960年(昭和35年) --社会否定」/「7)1993年(平成5年) --社会性の喪失」
「4)1970年(昭和45年) --欲望優位」/「8)2001年(生成13年) --欲望優位」
犯罪心理の特徴が左右にそろうように並べてみると、各行の左右の年度の差は、次のようになる。
30.5年
35年
33年
31年
実に犯罪の周期は30年+αである。これは、親から子へ犯罪性向は伝授されてゆくということを示しているように見える。
これは必ずしも遺伝子のせいということはできないだろう。遺伝子が年代斉一的に発現するとは考えられないからである。むしろ犯罪性向はいわば負の文化として親の世代から子の世代に伝承されると考えたほうが妥当だろう。
"「・・・」/「・・・」"で示した各行ともに、時代の社会現象と密接な関係のあることが見て取れる。
最初の一行の左は、戦後の食糧難、物資不足の時代である。悪いと知りつつも生きてゆくためには犯罪に手を染めただろう人々は多かったに違いない。この行の右側はその子供たちの世代である。
2行目の左は、朝鮮特需の好景気の終わりに位置する。一時的に一気に収縮した経済に駆り立てられるように経済犯罪は頻発した。この行の右側はその子供たちの世代である。
3行目は、戦後口先だけの民主主義の標榜に戦後民主主義教育を受けて来たエリート学生らが、本当の民主主義なるものを求めて起こした暴動の年(60年安保)であった。当時の社会制度を否定しようとする風潮がこの時代に席巻した。社会を否定したが彼ら自らは倫理観に基づいた行動を心がけていたため、直接犯罪に手を染めることはなかった。この行の右側はその子供たちの世代である。この子供たちは、社会制度を否定する親たちに育てられたために、社会性を育てる機会がなく、それを見失ってしまったのだ。社会の規範が身についていないままなのだから、本人にとっては自然な振る舞いがそのまま犯罪という罪の意識なき犯罪が発生することになる。
4行目は、第二次世界大戦直前の経済低迷社会的閉塞感から、社会が混迷した時代(1937-39年)の30年後、すなわちその子供たちの時代である。欲望かあれば悪いと分かっていても犯罪に手を出す傾向を示している。この行の右側はその子供たちの世代である。
このように見てゆくと、実はもう一つのピークのペアが隠されていることになるのだろう。
「4')1970年(昭和45年) --社会否定」/「8)2001年(平成13年) --社会性の喪失」
これは、いわゆる70年安保世代(全共闘旋風の世代)とその子供たちのペアである。全共闘旋風の世代の担い手たちは60年安保世代と違って、大学生の大衆化によってエリートであることをやめざるを得なくなりかかった当時の青年たちである。実はこの人たちの直後の大学大衆化世代が団塊の世代なのである。その全共闘旋風の世代の子世代のピークが、欲望優先のピークと重なってしまったことに厄介な現象になった理由がありそうである。つまりこのペアは全共闘旋風の世代とその子供たちの世代である。親たちは、倫理観に満ちた行動をとったにちがいないが、子供たちに社会というものを教えなかった世代である。子世代には罪の意識なき犯罪が多発した。つまり2001年(平成13年)の前後の犯罪者には、欲望優先という反社会的行動様式の子世代と社会性を見失っている子世代が複合的に併存する。
2つのピークが重なったことで、犯罪発生率はかつてない大きさになっている。これは上記のグラフでもはっきりと見て取れるのである。
こうしてみてくると、「(仮性の)反社会性人格障害」は親の世代の生活信条が子に(ゆがんで)伝承され反映することによって発生しているという事実がありそうである。
私は、もとより犯罪心理学の専門家ではない。専門家の皆様のご批判を賜りたくここにある角度からの見方を明らかにするものである。

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琵琶


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コメント

「(仮性の)反社会性人格障害」は親の世代の生活信条が子に(ゆがんで)伝承され反映することによって発生しているという事実がありそうである。」
心理学的な説明には疑問を持っていましたが、統計からの仮説には納得するものがあります。

コメントできるほどの勉強はしてはいないのですが、このブログに大いに刺激を受け、学ばせてもらっています。

投稿: ビルシャナ | 2007/02/05 15:44

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