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スタディ オン ザ ××元助教授の講義内容--感性的研究生活(17)

2007/02/28
スタディ オン ザ ××元助教授の講義内容--感性的研究生活(17)

他人の講義内容を聞いたり、ましてや当該科目トータルで分析し理解するというようなチャンスは、大学の教員を長くやっていてもめったにあることではない。
2月24日の第11回次世代大学教育研究会で、これに関する報告がされた。研究会の幹事を務められる先生方の事前審査がされたことは言うまでもない。報告は非公開の扱いなのでここで詳細は述べることができない。

当該の先生は、昨年秋から、休講しており、約300名の学生は単位が取得できない危機に瀕していた。学生たちは不安におののいていた。さらに、実は、今年になってから、この先生は懲戒解雇になった。
学部教授会は、「○○に関して、思うところを述べよ」というよくあるレポートの課題を学生らにやってもらって採点しようと計画した。しかし、すぐに困った事態に遭遇していることが判明した。この先生がやった講義の内容が分からなかったのである。「○○に関して、・・・」といいたくとも、○○に当てはめる言葉が分からないのだ。次に考えたのは、「××元助教授の科目△△の講義で印象に残ったことについて述べなさい」と言うことにしようということになった。学生らにこれは伝えられた。続いて、著作権法違反(論文盗用)の事実が学生らに伝えられ、懲戒解雇になったことが告げられた。この日、ホームページにも事実が公表され、記者会見を開いてマスコミにも伝えられた。学生たちは心が傷つき混乱した。顔見知りの学生らからは、傷つけられた気持ちを訴えるメールが私にも何通か届いた。
学生たちは、本当につらかったようだ。まず、多くの学生はこの先生がどんな人格だったのかを知らずに"好き"だった。講義の内容はほとんど雑談だったが、その内容を鵜呑みにした学生も多かった。それが、論文盗用・・・、信じた自分を恨めしく思ったり、事実に反していてほしいと願ったりした。つらくて、あれこれと誰かに訴えたくなっても当然である。
学部の幹部の先生方は、立場上、たいへんおつらい状況になった。
実務的には、300名分ものレポートを読んで採点するというのは、相当な作業である。××元助教授の担当科目は複数あった。科目毎に、覆面の採点者が任命された。
ある人が、××元助教授の講義内容に言及した報告を行った。
××元助教授の講義内容の基本は、「人生や社会には、裏と表があるのだから、裏と表を良く研究し、表を飾っておけば裏で何をしても大丈夫。楽をして高い身分と豊かな生活を手に入れられる」という詐欺師的人生観に満ちたものである。世間を知らないウブな男子学生の多くが、自らに欠けているライフコンペティンシー(生活の手段、生存の方法)を埋める処世術として歓喜を持ってこの詐欺的人生観を迎え入れてしまった痕跡があるようだ。教育の罪深い一面がここに現れていた。
教育崩壊(イジメや学級崩壊)がマスコミに頻繁に登場するようになった世代の先陣は、すでに40歳代前半になりかかっている。小学生や中学生の親の世代でもあり、若手教員の世代でもある。したがって、大学の中に反社会性人格障害を持った教師が混入してもまったく不思議ではないのである。
研究会参加者は、演壇の発表者をそっちのけで、円陣を組むように互いの顔を見ながら、「(仮性の)反社会性人格」~「倫理観が崩壊している人格」~「倫理観を構成しなかった人格」をもつ教員をいかに排除するかの意見が活発に話し合われた。アメリカのキャンパスポリスの例やヨーロッパの学内裁判所の例なども議論された。それぞれの大学の創立の精神に立ち返って、その精神に反する者は解任するという案も検討されたが、一方では思想・心情の自由、学問の自由の観点からの反論や抵抗もありうるとの意見も出された。理念に照らして処罰するのは現実的になかなかしにくい。むしろ、人格に破綻のある者は必ずや行動においても破綻するので、行為が規律を逸脱した瞬間を捉えるべきだという意見もあった。
このようなオフィシャルな研究会(次世代大学教育研究会)で、大学教員の資質について、大学人が検討したのは、たぶん初めてのことである。これからは、個々の事例についてのディテールは別として、原理原則をめぐる議論を深めるべきだろうと、私は心に刻んで会の終わりを迎えた。
このほかの発表には、教育改革(メンターやコーチャ、カウンセラの役割と、それらを大学教育ではいか配置するべきか)の話題や、eLerningでのBBSの効果をカオス理論で解析できるかというチャレンジフルな報告もあった。いずれも充実した内容で、心は満たされた。
会場を後にして、懇親会はおいしいお蕎麦屋さんでということになった。ビールの後で、「辛し大根蕎麦」をいただいた。きりっと身の締まるような大根の辛さに、今度は体が満足した。

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琵琶

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