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「自律的相互学習」を聴く、第13回次世代大学教育研究会--感性的研究生活(21)

2007/05/19
「自律的相互学習」を聴く、第13回次世代大学教育研究会--感性的研究生活(21)

5月19日(土)、早稲田大学で、第13回次世代大学教育研究会が開かれた。
参加者は十数名だったが、最近数回は参加者が数名というややさびしい状況だったので、かなりの賑わいにかんじられる。
私は、駿河台の授業の後、タクシーで駆けつけた。
主催挨拶が始まるちょうどそのときに会場のドアにたどり着いた。私の主たるお目当ては、早稲田大学の原田教授の講演(「自律的相互学習の実証を目指して」)である。
原田教授のお話の順番は最後となっていたので、最後のお楽しみということである。
まずは、大阪経済大学の家本教授の「大学教育の終焉と創造」を聴く。過激な家本節を心地よく聞いているうちに、家本教授が「大学の卒業資格」を提唱していることに話題が及び、実は私学大学協議会の多くの皆さんから、頑強な抵抗にあっているのだということが語られた。抵抗の理由は「国家の統制」になる危険性ということにあるらしい。ならば、第三者機関を大学関係者や財界人らで作ったら、良いのではないか、と内心思ったが、質疑の時間になると常連ではない他の方の質問が続いたので、常連である私は遠慮することにした。しかし、後で思えば発言しておいたほうが良かったかもしれない。
次は、eLerning専門企業の一つ、eエデュケーション総合研究所の井上社長の「教育情報化進展プロセスの日韓比較」である。ネット文化の先進国、韓国のネット活用教育の現状を伝えた内容である。実際、日本ではかなり華々しいマスコミ報道やネット大学院などの話題にもかかわらず、ネット活用教育が教育現場にはそれほど浸透しているとはいえないのが実情である。井上氏によれば、「通信教育の電子化」と「対面教育の電子マネージメント支援」ははっきり区別されるべきであり、先進国勧告ではすでにそうなっている、ということであった。日本では、対面教育を通信教育化して行くような話題ばかりが先行しており、本来対面教育の良い点である、人格が介在するという教育のあり方がともすればネグレクトされてしまうことに強い懸念が表明された。同感であった。
さて、休憩を挟んで、(私にとって)お待ちかねの原田教授(早稲田大学)による「自律的相互学習の実証を目指して」であった。同一のテーマで科研費をいただく研究をされているようで、その中間的な発表のようだった。英会話をパソコンとネットを活用して教えようというものだが、注目されるのはクラスの学生を3人一組のグループにして、発表し、英語で対話させるという点である。教室風景のビデオも映写されたが、英語の言葉が思い当たらずに立ち往生する学生仲間がいれば、すかさず、他の仲間が英語の言葉を補足しようと声をあげるという状況が随所に見られていた。最近、この研究のために各学生の顔の映像と音声がCCDカメラとマイクで集められるようになったのだが、データの解析は膨大すぎるので到底追いつかないということだった。しかし、CCDカメラとマイクを前にすると学生らが日本語を避けて楽しげに英語で語ろうとしている様子が見られると言うことだった。若者は人に見られることで進歩するのである。原田先生はそこまで言及はしなかったが、私の経験では若者の特性なのだと確信している。グループの活動は自律的に進み、教師はお膳立てをするだけで学習効果が向上するというもので、一見、教師のための手抜きシステムかとも見えるが、この授業をあらかじめ企画し、お膳立てし、授業中もその後もフローすると言うのは大変な労力が必要であることは容易に推測できる。こともなげに授業の様子を語る原田先生に驚嘆しながら、お話を聞き終えた。質問の時間がやって来たので、いくつか質問した。その結果、グループの人数は3名に限定していること。毎回メンバーはランダムに入れ替えていることなどが説明された。この点は、私のグループ学習とやり方が異なるので、今後よく比較検討をしてみたいと思ったところである。私は、3人から7人までのグループを学生が自発的に構成するように促し、入れ替えや解体、創生は自由という原則にしている。私が聞いてみたかった最重要の質問は、「私の授業では、グループ活動に落ちこぼれる学生が1-2%あり、この学生らは、著しく成績の伸びが悪く、単位を落とす傾向がある。原田先生の実践ではいかがでしょうか」という点であった。原田教授のご回答は「自分(原田教授)の授業でも、グループ活動に乗り切れない学生はいて、この学生は明らかに落ちこぼれてゆく傾向が見られる」というものだった。学生の社会性を伸ばしつつ、学習効果も高めて行こうという私の教育実践の手から漏れてゆく学生が実際のところわずかにいるのである。悔しくてならないのだが、原田教授のような大ベテランの先生においても同じであることがわかった。ここは、一工夫すべき何かがありそうである。いまだに解答は見つけられないが、私一人の問題ではないことがわかれば、教員の個性の問題ではない何かがあるということになるのである。

第13回次世代大学教育研究会………………………………………………◆
【主催】次世代大学教育研究会 http://groups.yahoo.co.jp/group/next-edu/
【共催】早稲田大学総合研究機構情報教育研究所 http://www.decode.waseda.ac.jp/reloaded/index.html
【後援】明治大学情報基盤本部http://www.meiji.ac.jp/isc/
【日時】2007年5月19日(土)
【時限】15:00~18:00(有志の懇親会を企画しています)
【教室】早稲田大学西早稲田キャンパス8号館
15:00-15:05 主催挨拶 家本修(大阪経済大学)
15:05-15:10 後援挨拶 原田康也(早稲田大学)
15:10-15:50 「大学教育の終焉と創造-かすかな光を求めて-」、家本修(大阪経済大学)
15:50-16:00 Q&A
16:00-16:10 休憩
16:10-16:50 「教育情報化進展プロセスの日韓比較」、井上博樹(eエデュケーション総合研究所)
16:50-17:00 Q&A
17:00-17:10 休憩
17:10-17:50 「自律的相互学習の実証を目指して:英語授業デジタル化プロジェクト中間報告」、原田康也 :早稲田大学法学学術院教授・情報教育研究所所長
17:50-18:00 Q&A
18:00-18:10 移動
18:10-20:00 懇親会(早稲田大学大隈会館1階の楠亭)
……………………………………………………………………………………◆
懇親会では、阪井教授と家本教授の楽しくて鋭いお話を聞き、よった勢いでいろいろとチャチャを入れたりしたが、その傍らで英語教育のベンチャー企業を立ち上げた人々(もともと日航の客室乗務員の方たちが中心)との会話も進んだ。
良い気分になったところで、一次会は散会となった。二次会に向かう方たちも多かったが、私は、おいとまを請うて、会場を後にした。
実は、次週に予定している第52回SH情報文化研究会の会場(日本キリスト教団早稲田奉仕会のセミナー・ルーム)が、早稲田大学の近くにあり、下見もしていなかったので、様子を見ておきたかったのである。馬場下町交差点を少し上って、右手にそれはあるはずである。ほろ酔いかげんで、交番のおまわりさんに会釈して、ゆるゆると坂道を登って会場を確認した。

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琵琶

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