カテゴリー

  • 日記・コラム・つぶやき
  • 経済・政治・国際

« 子供の遺体写真の元教員に有罪判決、残された問題--心理、教育、社会性の発達(42) | トップページ | 台風の中の大冒険--我が家の愛犬様(22) »

花のマックスファクターとの出会い「世界初MMLシステム-その1」--アルゴリズム戦記(17)

(「鐘の声 ブログ」記事マップ)

2007/07/11
花のマックスファクターとの出会い「世界初MMLシステム-その1」--アルゴリズム戦記(17)

ミニシリーズ:アルゴリズム戦記「世界初MMLシステム」(全4回)
-------------------------------------------------------------------------------
1.花のマックスファクターとの出会い「世界初MMLシステム-その1」
  --アルゴリズム戦記(17)

2.ユーザを待たせないアルゴリズム「世界初MMLシステム-その2」
  --アルゴリズム戦記(18)

3.早く到達しすぎたリッチクライアントシステム「世界初MMLシステム-その3」
  --アルゴリズム戦記(19)

4.MMLの終息、そして今へ「世界初MMLシステム-その4」
  --アルゴリズム戦記(20)

-------------------------------------------------------------------------------
1985年-1989年、J-Starのお仕事と平行して、化粧品のマックスファクターの全国システムに取り組むことになった。ここでも私たちは日本初の仕事に挑戦することになった。J-Starのお仕事が終わると、こちらのお仕事が急拡大していった。
最初は小さな案件のつもりでお話を承ったが、うかがう内に、どうやら狙いは大きなものであることがわかった。
日本のマックスファクターは、本社法人が2重構造(アメリカ本社の子会社と日本法人)になっているほか、5つの販社、その営業所、商品を受け入れて消費者に売る小売店と本社以外に3層構造になっている。
企業システムと言えば、当時はメインフレーム(大型計算機)しかありえない。マックスファクタは、IBMからNECにマシンを切り替えたばかりで、日本法人の中には大型のACOS2マシンと小型のオフコンであるN5200が複数台存在した。N5200は開発室に5-6台、社内各部署に必要に応じて展開していた。販社にも各1台が導入されていた。
我々が訪れる直前までは、オンラインで日本法人と販社がつながれていた。販社からは、1か月ごとの売り上げ実績が報告されるのだが、1か月では激しく変動する事業に追随するには報告の頻度が低く、経営の舵取りには間に合わないという代物であった。当時は企業秘密であったが、今となっては語っても良いだろう。その上、押し込み販売、返品隠しなどが横行していて営業の実態とはかけ離れた数字が横行していた。
実は、当時の日本マックスファクターは、後にプロクター&ギャンクブル社に買収され、事実上解体消滅し、今はブランドと一部の製造工場だけがプロクター&ギャンクブル社によって管理されている状況である。当時のマックスファクターと今のマックスファクターの間にはブランドの連続性はあっても、組織と人の連続性は基本的に存在しない。もはやすべては時効であるし、単なる思い出話であると思われるので、少し立ち入った話も書かせてもらうことにする。
我々が最初に受けた依頼は、当時集まっているデータを見やすく加工して画面に出力してほしいというものである。依頼主は、我々がヒカソを出展していた展示会で我々を見つけたのである。画面に美しい絵が次々と表示されるデモ画面に魅惑されたものらしい。「何でもできるでしょう。ほら、あの画面みたいに、ほしいデータが得になってドンドン出てくるようにしてほしい」というのがご担当者Aさんのお言葉である。「何でもできるといえばできるが、何もできないといえば何もできない」のがコンピュータである。何を欲しているのかを聞きたくて、私は、手を変え、品を替えて説明しても、ご担当者にはわからないらしい。いっとき、わかったような返事があっても、その次の瞬間に彼の口から出てくる言葉は「ほしいデータが絵になってドンドン出てくるようにしてほしい」ということである。やれやれ、「何が出てくるようになってほしいのか」、彼にも本当はわかっていないようだった。やむなく、上司の方Bさんにあわせてくれと言うと、すぐに引き合わせてくれた。
慶応大学の管理工学科出身という上司Bさんのほうが幾分筋が通っていた。集まっているデータが1か月に一度というのでは荒すぎる。もっと頻度を上げたいが販社の協力が得にくい、集まったデータの有効利用がされていないので、全社的協力が得られていない、数字ばかりの帳票は出るのだが、見る気にならないという社員が多くて、前向きの声が出にくいというのである。
まず、私は「帳票法」を開始した。集まったデータを元に作成されている帳票のすべてがほしいと要求した。70種以上の帳票が集められた来た。その過程で、押し込み販売や返品隠しのきな臭いお話があちこちから聞こえてきた。集まった帳票を見て、販社別営業所別の売上げや返品の帳票類、6000種ある商品の分類(カテゴリーやラインなど)ごとのの売上げと返品の数量や金額などが多いことがわかった。実際は、これらを定期的に作成して、時間的前後関係にある帳票を見比べている可能性があるらしかった。
さらに、コンピュータシステムに関連するスタッフの皆さんが何を望んでいるのか、ヒアリングもさせてほしいと願い出た。当時の電算室は財務部の中にあり、取締役財務本部長Hさんの管轄の下にあった。電算室長Bさんは財務本部長Hさんに私を引き合わせた。財務本部長Hさんは見るからに鬼軍曹という面立ちである。しかし、見かけとは違って人の良い方で、何よりも私利私欲よりも社の利益を優先する方だった。彼から面と向かって経営論を聞いたことはほとんどないが、彼の言動から勝手に会社経営とはかくあるべきという精神を学んだように思う。財務本部長Hさんの手配で、電算室内のスタッフの皆さん、営業部長さん以下主だった営業の皆さん、商品企画部長、販社の社長や営業部長など広く関係者の皆さんからご意見をうかがうことができた。
売上げ(グロス)の日変化が知りたい、返品(リターン)の日変化を知りたい、いや、ネット(グロス-リターン)がいい、という声が強かった。なるほど、販売動向を正しく知りたいという本社(日本法人)の意向と、インセンティブを多くしてペナルティを小さくしたい販社がせめぎあっていた。そうは言っても、販社も飾った数値だけをほしがっていたわけではない。自分たちの営業活動のためには、正しい数字が必要であることも熟知していた。
私は、次の3点に到達していた。

(1)販社にも集計分析結果を返す。
販社にも集計と分析結果を透明性を担保して間髪入れずに返してあげれば、もっと頻繁にデータを本社に送信することをいとわないに違いない。
(2)分析軸は、商品のルート別、商品分類別、時系列の3軸である。
帳票法に従って集められた情報に基づけば、これらの3軸の組み合わせを対象範囲を小さくまたは大きくとりながら整理しているのである。それぞれの軸の性質と対象範囲をもう少し詳しく分析すべきである。
(3)メインフレームとパソコンの結合が必要である。
大容量データの大量高速処理に向いたメインフレームとカラー帳票やカラーグラフが容易に表示できるバソコンを結合することが利用率の飛躍的向上につながると確信した。

この観点を引っさげて、マックスファクター電算室の担当者Aさん、室長のBさん、他のスタッフ数名と、私、私の会社の主だったスタッフ数名は、伊豆高原で合宿した。朝から夜まで疲労と睡魔と闘う討論であった。周囲の散策をする余裕もなく緊張のうちに終わった合宿は、大きな成果を挙げた。

ところで、マックスファクター株式会社様向けのシステムとして、次のようなものを製造している。ここで主に取り上げるのは、1つ目のシステムである。

昭和60~62年(1985年から1987年)
マックスファクター株式会社様向けマイクロメインフレーム(MML)タイプの意志決定支援システム「MDBSコース検索」を企画設計製造。アドバイザとしての活動の端緒となる。全国ネットシステム。後に当社から「DSS-CUBIC 希望」の名称でパッケージ販売する事になったものである。プロジェクトリーダー。
ACOS2,COBOL/S,ETOS52G,PTOS,COBOL5

昭和62~63年(1987年から1988年)
マックスファクター株式会社様向けマイクロメインフレーム(MML)タイプの意志決定支援システム「キャプテンサポートシステム(経営支援システム)」をアドバイズ&企画設計製造。全国ネットシステム。プロジェクトリーダー。
ACOS2,COBOL/S,ETOS52G,PTOS,BASIC

昭和63~平成1年(1988年から1989年)
マックスファクター株式会社様向けマイクロメインフレーム(MML)タイプの意志決定支援システム「プレゼテーションサポートシステム」を企画設計製造。PTOSの限界と言われたグラフィック処理を実現した。全国ネットシステム。アドバイズ企画設計。プロジェクトリーダー。
COBOL5,FORTRAN

平成1年~平成4年(1988年から1991年)
マックスファクター株式会社様向けマイクロメインフレーム(MML)タイプの意志決定支援システム「MDBSオーダ検索」をアドバイズ企画設計製造。予期駆動型フレーム理論を適用した人工知能型の検索、システム自動生成、帳票の自動生成の機能を持つシステムである。全国ネットシステム。顧客企業が他の企業に買収され事実上解体されため、プロトタイプの完成をもってプロジェクトを中断した。プロジェクトリーダー。
ACOS2,COBOL/S,COM-XE(通信ユーティリティ),
OS/2,PM,SmallTalk

(以下、つづく)

△次の記事: アルゴリズム戦記(18)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2007/08/mml218_0171.html
▽前の記事: アルゴリズム戦記(16)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2007/06/jstar_jrj16_bfa7.html

琵琶


(補1)「鐘の声 ブログ」はリンクフリーです。ただし、「鐘の声 ブログ」の記事の一部または全部を引用または翻案して、公的に発言または発表される場合は、事前にメール等でお知らせください。[→連絡先]
(補2)ブログ「鐘の声」には、10個ほどのシリーズとシリーズ以外の一般記事があります。シリーズの全体構成やシリーズ別の記事一覧は下記(別サイト)にあります。
  ☆「鐘の声」の全体構成(「鐘の声 ブログ」記事マップ)☆ (GO!)
  ・独創力の創り方シリーズ
  ・心理、教育、社会性の発達シリーズ
  ・社長の条件シリーズ
  ・アルゴリズム戦記シリーズ
  ・情報デザイン研究ノートシリーズ
  ・「情報社会学、予見と戦略」シリーズ
  ・感性的研究生活シリーズ
  ・街に活力をシリーズ
  ・交友の記録シリーズ
  ・オヤジと家族のお料理ライフシリーズ
  ・我が家の愛犬様シリーズ
  ・妻が、車に撥ねられるシリーズ
  ・その他、シリーズ外

« 子供の遺体写真の元教員に有罪判決、残された問題--心理、教育、社会性の発達(42) | トップページ | 台風の中の大冒険--我が家の愛犬様(22) »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73834/15627272

この記事へのトラックバック一覧です: 花のマックスファクターとの出会い「世界初MMLシステム-その1」--アルゴリズム戦記(17):

» アルゴリズム戦記第17話の要約 [授業用ブログ]
アルゴリズム戦記17話の要約 飯箸先生の授業 [続きを読む]

« 子供の遺体写真の元教員に有罪判決、残された問題--心理、教育、社会性の発達(42) | トップページ | 台風の中の大冒険--我が家の愛犬様(22) »