「研究者の行動規範」に反応する学生たちの心--独創力の創り方(14)
2008/06/30
「研究者の行動規範」に反応する学生たちの心--独創力の創り方(14)
「研究者の行動規範」についての講義を行った。私の授業では、講義に続いて、いつも課題が出る。
課題は、最近の有名な研究者の犯罪に関する大学や文部科学省のコメントを要約して、自分の論評を加えるというものである。
「要約」と「自分の論評」の区別が付いていない学生が多いので、セットで書かせることで、その差異を体感してもらう狙いも含まれている。取り上げた事件は厳選したものといえども9例もあるので、一人の学生で取り組むには大変だろうと想定して、グループ内で手分けして調べて論評を書き、それらを各自のページに統合する手順とした。
こうして、アップされた「研究者の行動規範」の学生らのブログは、大賑わいになった。
しかも、ほとんどすべてに素晴らしい「論評」が加わっている。
学生たちの活躍を、わが学生ではあるものの少し自慢したくなったので、ここに、その例を掲げることにする。
(学生の課題ブログの記事の例)
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1.過去の目立った不正行為
(a)2004年理化学研究所研究員による研究論文不正発表について
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/siryo/06032006/004/001.htm)
[概要]
平成16年8月4日、理化学研究所は同研究所内部より研究論文の不正発表疑惑について指摘があったため、8月12日に研究所は外部専門家を加えた「研究論文の不正発表疑惑問題調査委員会」を設置した。実験記録等の調査及び関係者からの事情聴取を行った結果、2編の論文について不正があったこと、および他の1編については不正があった可能性が極めて高いことが確認された。
これにより同年12月24日、責任著者2名に対し研究論文取下げを勧告し、文部科学省記者クラブにおいて研究論文不正行為の公表及び当該研究論文に基づくプレス発表(「血小板の減少・増加に伴う疾患治療薬への期待―巨核球から血小板が作られるメカニズムの解明―」)の取り下げを行った。
発覚した不正は、図の改竄、論文記載内容とは異なる実験材料の使用、一部データの改竄。
[論評]
不正論文の掲載雑誌は米国のものであり、国内だけでなく国外にも多大な迷惑をかける形になった。こういった不正行為は本人たちだけでなく、日本自体の品位が疑われることになり、他の研究者たちにも影響がないとは言えない。諸外国からの印象が悪くなることは研究を行うにあたって何らプラスに働くことはない。
不正というのは恥ずべき行為である。研究者としてもっと自らの研究にプライドを持って取り組んでほしいものだ。
(b)2005年大阪大学学生による論文のデータ捏造
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/siryo/06032006/004/002.htm)
[概要]
Nature Medicineに掲載された論文をはじめとする幾つかの学部学生によって作成された論文で、捏造データが使われていた。データの信憑性や再現性を確保する上で、学生指導が非常に不十分なものであったと調査委員会は指摘する。
今回の事件の最大の原因は、甲および乙教授らが学部学生の研究能力を把握しなかったことに加え、学部学生に対する研究指導、共同指導および監督が適切に行われなかったことにある。学生の研究能力および研究状況を自らの目で確認し、学部学生とともに生データを前にして議論するなどの共同指導が適切に行われていたならば、データ捏造に気づくチャンスは充分にあったはずであるし、学生によるデータ捏造そのものを防げたはずである。研究者としては、その研究の進捗状況に関しもっと注意深く対応すべきであった。また、遺伝子組み換え実験・動物実験申請の届出義務違反および動物実験委員会の許可を得たとの虚偽記載も行われていた。
[論評]
捏造を行った学生も厳しく罰せられるべきではあるが、委員会が指摘するとおり、監督不十分であった教授たちの責任はかなり大きいものだと思う。そもそも、学生というのは不完全なところも多い。注意深く対応しなければ、問題が起こるということは容易に想像できたはずだ。このような事態を防止するためにも大人は存在しているのではないだろうか。
捏造の発覚以降は迅速かつ適切な対応がとられただけに、研究の段階で適切な対応がとられなかったことが悔やまれる。
(c)2005年東京大学教授らによる論文の再現性問題
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/siryo/06032006/004/003.htm)
[概要]
日本RNA学会会長は東京大学大学院工学研究科の多比良和誠教授らに対して12編の論文に関する再実験とその詳細な結果を平成17年12月末までに提出するよう要請した。再実験の対象となったのは12編の内の以下の4編である。(番号は論文リストの番号)
3→Kawasaki, H.; Taira, K. Nature 2003 Jun 19; 423(6942): 838-842.
7→Kawasaki, H.; Suyama, E.; Iyo, M.; Taira, K. Nucleic Acids Res. 2003 Feb 1; 31(3), 981-987.
8→Kawasaki, H.; Onuki, R.; Suyama, E.; Taira, K. Nat Biotechnol. 2002 Apr 20(4): 376-380.
12→Kawasaki, H.; Taira, K. Nature 2004 Sep 9; 431(7005): 211-217.
多比良教授らは平成18年1月13日に再実験結果報告書を同研究科内の調査委員会に提出した。翌日に学内外の3人の専門家を含めた調査委員会を開催し、多比良教授から提出された報告書の内容ならびに平成17年10月24日に多比良教授から提出のあった再実験材料(hDicer発現ベクター、宿主大腸菌、発現ベクター導入大腸菌)に関する外部専門家による調査結果報告書の内容を精査し検討した。結果、現段階において論文中に示された実験結果の再現には至っていないということが結論付けられた。
[論評]
このような研究者による不正行為は、同様な科学研究に対する社会からの信頼を損なう行為である。このような不正行為が行われる背景には、自分が科学者であるという意識の欠如が見られる。科学の発展を妨げることのないよう、一個人が研究に対して真摯に取り組むのは当然の事ながら、加えて共に研究に携わる研究者同士の間にも高い意識が要求される。
(d)2005年クローン胚ES細胞研究の捏造【韓国】
(http://blog.livedoor.jp/lancer1/archives/50285780.html)
[概要]
黄禹錫ソウル大教授のES細胞培養が成功したとする研究論文をめぐる疑惑に対して、ソウル大調査委員会はこれをデータ捏造による虚偽と断定した。国を挙げて彼をもてはやした韓国は「生命工学の最先端国」から一転して「ニセモノ科学の国」となってしまった。この騒動の背景には①韓国でよく見られる成果や業績を急ぐあまりの拙速、②国際的な配慮や慎重さを欠いた視野の狭い「やっちゃえ」主義、③政権の業績にしたい政府の過剰な期待と支援、④「やった、やった!」あるいは「ウリナラ(わが国)最高!」的な世論の愛国主義、などが複合的に重なった結果であるといわれる。国際レベルで競争が激しい先端科学では、学術論文や研究成果の捏造は先進国を含め各国でままあるが、これが韓国においては「愛国主義」に結びついた。過剰な愛国主義が冷静な学問的判断が求められる科学分野にまで広がったことが今回の事件の反省点の一つでもあったとされる。
[論評]
科学研究者達のモラルの欠如によるデータ捏造は各国で起きているのが現状であるが、科学分野に愛国主義が介入した韓国においては、まずこのモラルの欠如を各人が自覚することも困難である。不必要なところにまで愛国主義が浸透しているということを国家全体が認識するために、他国の助言を聞き入れる寛容さを養い、客観的な視点からの研究がなされることが望まれる。
(e)2006早稲田大学研究費不正受給事件
(http://blog.university-staff.net/archives/2006/06/28/post-470.html)
[概要]
早稲田大学において公的研究費の不正使用が発覚した。不正使用は以下のことがあげられる。一つ目は、教授である松本和子氏の個人口座に学生から架空のアルバイト賃金の還流、並びに右還流賃金を含む蓋然性の高い金員の私的流用。二つ目は、平成14年6月から平成16年2月まで松本市が取締役を務めていた株式会社B社と松本研究室の間で不明瞭な取引があった可能性があること。早稲田大学は平成16年7月の時点でこの事実を把握していながら関係省庁への報告をせず、適切な処分を行わなかった。早稲田大学は未だ全容解明に至ってないため、今後とも正確かつ迅速な調査をするとのことだ。また文部科学省は、早稲田大学の調査結果を精査した上で、不正な経理に係る委託費等を返還させるとともに、文部科学省関連のすべての競争的資金制度において一定期間の申請及び参加資格を制限する厳正な措置をした。
[論評]
公的な費用が不正使用されることは人の信頼を裏切る行為であり、許されがたい。まして、その事実を把握していながら報告が遅れたということは、早稲田大学側においての対処にも問題がある。早稲田大学に対しては今後の再発防止と適切な処理を、文部科学省に対しては公的研究費全般において適切な運用がなされるかの判断を、私たちは望み、期待する。
(f)筑波大学の事例
(http://www.tsukuba.ac.jp/public/press/080306press.pdf)
[概要]
筑波大学院数理物質科学研究科、長照二教授らが米国物理学会レター誌(2006年8月4日発行)に発表した論文「Physical Review Letters 97,055001(2006)」に不適切なデータ解析があることが発覚した。この論文は、ミラー型核融合実験装置に生成されたプラズマをジャイロトロンマイクロ波により円筒状に加熱すると強い電場が発生してプラズマの中の乱流が抑制されるというう内容だった。不適切だと思われる点を調査したところ、電位の評価値や誤差を導く解析方法に客観性や科学的根拠が欠けていること、異なる実験のデータを混用して図を作成していること、オフセットと呼ばれる解析手続きに科学的妥協性が欠けていることが判明した。これらの不適切なデータ解析には、論文の共著者である、平田真史講師、小波蔵純子講師、沼倉友晴講師の3名は関わっていないと考えられ、長照二教授に論文の取り下げを勧告し、懲戒処分の検討がなされた。
[論評]
筑波大学側でも述べられていたが、科学研究における不正は真実の探求を積み重ねた新たな知を創造する営みである科学の本質に反する。科学における信頼性が薄れ、さらなる発展までも妨げてしまう。そして、科学は社会との関わりも深いため、その影響も強い。多くの人を巻き込むことになるのだ。無責任な行動を反省しこれからの社会に貢献できる科学の成果を生みだしてもらいたい。
(g)東京大学->筑波大学->明治大学の件
(http://www.47news.jp/CN/200701/CN2007012901000230.html, http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2007/02/post_383c.html)
[概要]
知的財産研究所(東京)が経済産業省特許庁の委託事業で海外派遣した研究者が、報告書で日本人研究者の論文を盗用した上、派遣期間中に無断帰国、明治大に助教授として就職していたことが発覚した。
これにより、公的費用として海外滞在費約1600万円が不正受給されていた。
同研究所は国費約2300万円を自主返納する。
以前勤めていた筑波大学時代に受賞した論文もあったが、受賞は辞退となり、そもそも学位(博士号)を授与された東大時代の博士論文にも大きな疑いの目が向けられている。
この研究者は、藤原博彦・元明治大情報コミュニケーション学部助教授(45)。
知財研は藤原元助教授に対し、約1500万円の返納を要求。元助教授も「研究が思ったように進まずやった。申し訳ない」と謝罪し返納に応じているという。明治大は元助教授を懲戒免職処分とした。
知財研によると、筑波大講師だった元助教授は、研究者育成のための海外派遣事業に応募、選抜され、2003年1月から04年9月末まで、フランスに派遣された。
所属大学にて元助教授が担当していた講義は複数あり、約300名の生徒、またこの実務処理に当たった同大学の担当職員数人に多大な影響が出た。
講義の内容はほとんど雑談であり、元教授の詐欺師的人格を物語るものが多く、その内容を鵜呑みにした学生も多かった。
[論評]
元助教授の評判は以前から二極化していたという。
話し好きで面白いという学生もいたが、その裏腹にモラル感、人間性に著しく欠如しているという意見もかなり多い。
海外派遣先から、大胆にも無断で帰国したという事実の裏には、『明治大学助教授のポスト』をめぐり無責任にも、自ら志願した研究を投げ出して緊急帰国したというあきれた事情がある。
このような倫理観にかけた行為はたいへん遺憾なことであり、研究者の質の低下を防ぐためにも厳重な処罰が望まれる。
(h)東北大学医学部における「名義貸し」及び「金銭提供問題」について
(http://ha5.seikyou.ne.jp/home/touhokudai-syokuso/docs03/sm031011.html)
[概要]
吉本現総長、玉井医学研究科長を含む東北大学医学部の教授13人が釜石市釜石市民病院から「卒後教育の指導委託費」などの名目で多額の金銭提供を受けていた。この行為は、国家公務員法に基づく兼職規制に抵触する疑いがある。また玉井氏は受け取った金銭が財団法人「艮陵医学振興会」をとおして「適正に処理」されていることを主張しているが、その一方で「他の医局のことはわからない」と述べており、手続き的にも問題ある処理がなされている疑いもある。さらに、報道によれば金銭に見合う研究指導の実態がないという。これが事実とすれば、倫理的に問題があるだけでなく、地方自治体に不正な公金の支出をさせていたことになる。こうした犯罪行為が大学の関与のもとに組織的かつ慣行的に行われてきたのである。
[論評]
こうした不明朗な「金銭提供問題」や「名義貸し」問題が慣行化する背景として、一方では、大学における研修医の経済的不安定や身分をめぐる問題、他方では、東北地域の医療機関が抱える慢性的な医師不足という状況や診療報酬制度のあり方の問題が指摘されている。原因究明は慎重に行う必要がある。「金銭提供問題」と「医師派遣」・「名義貸し」問題には、それぞれ独自の問題点が認められるが、両者とも一つの構造から生じていると考えるのが妥当であろう。
(i)その他の事例:ヘンドリック・シェーン捏造事件
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3)
[概要]
「ベル研究所の研究員、ヤン・ヘンドリック・シェーンがおこした不正事件である。シェーン研究員はわずか数年の間に、超伝導に関する研究をNature、Sienceをはじめとした一流紙に立て続けに発表し続け(最も多いときは、8日間で1報の割合)、ノーベル賞間違いなしといわれていた。しかし、それらのデータはほとんどすべてがデータの存在しない捏造データであることが、同じグラフを使い回したことがきっかけとなり、データの捏造が明らかとなった。捏造論文の数が膨大で、しかもインパクトのあるデータであったため、これまでに明らかになった科学の不正事件の中でも最大規模のものといわれている。」(参考文献(1)引用)
[論評]
このヤン・ヘンドリック・シェーンによるデータの捏造が当初発覚しなかった原因として共同研究者兼上司のバトログ博士が著名な研究者であること、研究アイディアの独創性が挙げられる。最終的に、シェーン一人による不正行為ということで他の共同研究者は論文誌査読者は容疑を免れたが、一研究者としてシェーンの研究に積極的に関与しなかったという責任問題に疑問を抱かずにはいられない。
2.独立行政法人産業技術総合研究所の「研究者行動規範」要約
この行動規範は、職員全員が研究行為に関する倫理観を高め、研究方法について議論を深めるために作成したものである。「社会の中で、社会のために」研究活動を展開するに当たって忘れてはならないものに研究の倫理性がある。そして研究者は正義性、社会性、高潔性・誠実性を明確に意識して研究活動を進めることが重要である。またこのような研究を行う上で、高潔性・誠実性の最も重要な部分として、研究者として対象に真摯に向き合い、実験や理論的考察等から得られる結果を最善を尽くして解釈し、それらを正直に報告すること、研究課題の提案や研究成果の発表にあたり、他者のオリジナリティーを尊重し、適切な引用等を行うことがあげられる。これらはこの行動規範で「研究者倫理」として定義するものである。
責任のある研究を遂行するにあたり次の4点が挙げられる。第一に研究課題の立案、提案についてである。まず社会ニーズの把握すること。それをどう言葉で伝えるかということ。自己のアイディアや手法が過去に提示され試みられていないかどうか確認し、また過去に試みられていた場合はそれを尊重すること。同様に研究チームの中でもアイディアとオリジナリティーを尊重すること。研究費はスポンサーとの契約であるから誠実な対応を行うこと。ということである。
第二に研究の遂行とデータの管理についてである。研究の遂行については各研究者の自立性と創造性を尊重すること。信頼性の高いデータを収集すること。環境、安全に配慮し、生命倫理を尊重した研究を遂行すること。研究資金を適正に使用することが重要点としてあげられる。また得られたデータの正しさが客観的に評価されて初めて成果として認められるため、論文等の発表に直接用いたものだけでなく、関連する研究記録は適切に保管し、事後の検証が行えるよう十分な期間保存しなければならない。この場合データの帰属を明確にすることも重要である。
第三に成果の発信についてである。研究成果を社会に向けて発信することは、研究により得られた新たな知見や発見を研究者コミュニティーで共有するためだけでなく、研究成果の社会への還元の重要な部分である。ここに成果発信の意義がある。いかに論文を発表するか、メディアへ公表するか。また発明の場合は特許の出願を検討する必要がある。
第四に研究者、研究リーダーの役割についてである。産総研の研究者は、研究コミュニティーの一員としてその責任を果たすためにも、投稿論文や応募課題の審査に積極的に参加すべきであり、また研究者同士のコミュニケーションも大切である。
この行動規範はできる限り分かりやすくすることを念頭に置き作成した。不十分な点は、今後の様々な機会での議論、多くの経験を通して、よりすぐれた内容に進化・発展させることが重要だと考えている。
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なかなかの圧巻というべきである。
しかし、手放しで喜べないところもあるのが、教育の現場というものである。
このクラスは、たまたま43名が在籍する。上記のような回答を指定された期日までに自分のブログにアップしたのは28名、アップしなかったのは15名である。
あらかじめ人生観アンケートを取ってあるので、「人生の目的はお金」と回答していて「社会貢献はしたくない」と答えている学生は9名いることが分かっている。この学生らは、全員がこの課題を少なくとも期日内にはアップできなかったのである。
他に6名の学生が期日に遅れているのだが、部活が忙しかった、だの、彼女とケンカしただの、いろいろと事情があるのだろう。それはいつものことである。
「人生の目的はお金」&「社会貢献はしたくない」と回答している学生9名が全員、「研究者の犯罪を指弾する9つの文章」を読んで要約すること、その論評をすることができなかったのである。推測にすぎないが、「お金を儲けられる手段をとった犯人といわれる研究者をどうしても悪いとは思えない」という心の反応なのだろう。「お金を儲けられる手段をとった犯人と言われる人を非難している9つの公式文書」がどうしても受け入れられないに違いない。
反社会性人格を色濃く持っていると推測される彼らは、常識的な対応が苦手である。
そして、このような学生がジワリと増えていることに注意しなければならない。以前は、社会的引きこもりに直結する回避性人格障害が重大な問題だったが、この傾向をもつ学生たちが少し減少すると、代わりに台頭しているのは、他人に危害を加えても自分が享楽と利益を得るのは正しいと思ってしまう性向をもつ犯罪予備軍ともいうべき若者である。
素晴らしい論評を公開している多数の学生らの陰に、犯罪性向を秘めた学生があぶりだされて来てしまったのが、今回の講義だった。
反社会的性向をもつ学生たちに対しては、教育界、社会が一体になって対処しないと、日本が犯罪列島に陥れられる危険性も高いのである。
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琵琶
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