カテゴリー

  • 日記・コラム・つぶやき
  • 経済・政治・国際

« アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは何か--心理、教育、社会性の発達(69) | トップページ | 東大理学部化学科68年進学組の同窓会--交友の記録(35) »

日本政府(日銀)も世界(ECB)もやっと認めたスタグフレーション--情報社会学、予見と戦略(23)

2008/09/04
日本政府(日銀)も世界(ECB)もやっと認めたスタグフレーション--情報社会学、予見と戦略(23)

日本では、福田首相が辞任して、麻生氏が次期首相という筋書きを描いている人がいるらしい。
私は、誰が首相になるのかなどの政治向きのことは、あまり関心がない。
しかし、補正予算で「ばらまき」をやるというのは、いかにも知性に欠ける蛮行のように思えてしまう。・・・、いや、ばらまきの結果が私の懐にもたんまり回ってきそうなら、こうは言わないかもしれないが、どうもそんな具合ではなさそうだから、少々ひがみ根性が混じっているかもしれない。
スタグフレーションの時代に、ばらまきをやれば、ごく一部は潤うかもしれないが、物価高騰に油を注ぐだけで、庶民の雇用や賃金は上がらず、社会不安が増大し、暴動や犯罪が増えるというのがこれまでの歴史が教えるところである。
次期首相と噂される麻生氏とは、実は、約30年前の若かりし頃お会いしている。今は微妙な時期なのであれこれ言いたくないが、剛腕家でお元気印という印象しかない。私は、この国の経済に希望を持つことが難しい。
今年の春先から、日本政府も先進諸国も、日本経済、いや、世界経済がスタグフレーションに陥っているという事実を認めようとはしないということは、以前の記事に書いた。
しかし、最近になって、日本政府も先進諸国も、ようやく日本経済、いや、世界経済がスタグフレーションであることを認め始めている。日銀による観測、中国進出企業の経済判断、欧州中央銀行(ECB)当局者の分析は先月末こぞって世界経済はスタグフレーションの傾向を強めていることを認めた。
スタグフレーションは、デフレではないしインフレでもない。両方の悪い面が同時に発生するのである。
スタグフレーションであれぱ、対策は「ばらまき」ではないのである。
以下のヤフーニュースで、スタグフレーションを認めるビッグたちのさまざまな発言を見てゆこう。

ヤフーニュース1
-----------------------------------------------
消費者物価2・4%上昇 悪循環…景気さらに重し 日銀“板ばさみ”動けず
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080830-00000066-san-bus_all
8月30日8時1分配信 産経新聞
-------------------------
7月の消費者物価指数(CPI)が実質16年ぶりの高い伸びとなったことで、日本経済は景気後退と物価上昇が同時進行する「スタグフレーション」の様相が一段と強まった。原材料価格の上昇が商品価格に波及しており、今後も食料品を中心に値上げが続く見通しで、後退局面に入ったとされる国内景気にとって大きな重しとなる。「物価の番人」である日銀も物価上昇と景気後退の板ばさみで動くことができず、金融政策は手詰まり状態にある。(本田誠)
消費者物価の上昇率が、日銀が安定的な物価上昇の上限としている2%を超えたのは原油など原材料価格の高騰によるコスト上昇分を商品価格に転嫁する動きが広がっているためだ。原油価格はピークから2割程度下落したものの、依然高値水準にあり、原材料価格の影響をコスト削減で吸収できなくなった企業が相次いで値上げに踏み切っている。値上げの対象商品も、これまでの食料品や日用品などから、自動車や電気製品に広がってきた。
しかも、現在の値上げは需要増大を伴っていない「悪い物価上昇」だ。こうした現状について、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは、「日本経済はスタグフレーション的色彩が濃くなっている」とみる。
一方、これまで日本の物価下落を演出してきた中国からの輸入品が、逆に先行きの値上げ要因になる懸念もある。中国内の人件費の上昇が原因で、日銀がまとめた7月の輸入物価指数によると、衣類など中国産の割合が高い輸入品の物価指数が軒並み上昇している。
農林中金総合研究所の南武志主任研究員は原油価格が現状の水準で推移することを前提に「消費者物価は今秋にも一時的に2%台後半まで上昇率が高まる可能性がある。その後は徐々に上昇率は縮小し、年明けには2%前後まで低下する」と指摘する。
輸出や個人消費の失速で4~6月期の実質国内総生産(GDP)は4四半期ぶりにマイナス成長となり、政府も日銀も事実上、景気後退局面に入ったことを認めた。賃金が伸び悩んでいるなかで物価上昇が進んでいるため、消費者が節約志向を強めることは確実だ。政府は29日に総合経済対策をまとめたが、日銀は物価を抑制する利上げにも、景気を刺激する利下げにも動けないことに変わりはない。物価上昇が消費の低迷を招き、さらに景気の重しとなる。そんな悪循環がなおも続きそうだ。
最終更新:8月30日8時1分
-----------------------------------------------

ヤフーニュース2
-----------------------------------------------
高止まり必至 広がる追随値上げ中国も/中国も“インフレ輸出”
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080830-00000004-fsi-bus_all
8月30日8時26分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
-------------------------
7月のCPIが16年ぶりの高い上昇を記録したのは、国際市況に連動するガソリンの値上げに加え、これまでの原材料高を製品価格に転嫁する動きが広がっているためだ。原油や穀物などの市況高騰は沈静化しているが、コスト上昇分を十分に転嫁できていない企業が多く、値上げの動きはまだまだ続く可能性が高い。低価格が武器だった中国からの輸入製品が現地の賃金上昇で値上がりするという中国による“インフレ輸出”も顕在化しており、物価の上昇リスクは根強い。
≪コスト吸収限界≫
「消費者の抵抗感はなお強いが、横並びで値上げに踏み切る企業が増えた」
“物価の番人”である日銀の幹部は、最近の値上げの性質をこう分析する。
これまで価格競争の激しい家電や自動車などの耐久消費財メーカーのほか、価格交渉力の弱い中小企業は、値上げに踏み切れないでいた。
しかし、コスト上昇の吸収が限界に達し業績が圧迫されるなか、どこかが我慢できずに値上げに踏み切り、他社も五月雨的に追随するという動きが広がっている。
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストも「エネルギー関連や食料品だけでなく、家電製品や自動車など消費財全般に価格上昇圧力がじわじわと強まっており、物価上昇の動きが、タテからヨコへと広がってきた」と指摘する。
実際、三菱電機が冷蔵庫の値上げを決めたほか、トヨタ自動車もハイブリッド車の「プリウス」や商用車の値上げに踏み切った。
一方で、原油価格の下落を受け、ガソリンは9月から値下げとなるほか、電気料金も一部で下がる。先行指標となる8月の東京都区部のCPIは1・5%増と7月の1・6%から上昇幅が縮小している。
今後の物価動向は、国際市況と製品への転嫁のせめぎ合いとなるが、「9月ごろまで上昇が続き、その後も高止まりする」(熊野氏)との見方が多い。
さらに、中国製品の値上がりという新たな物価上昇圧力も浮上している。
“世界の工場”といわれた中国はこれまで、低い賃金の労働力で生産した安い商品を世界中に輸出し、「デフレ輸出国」と批判されてきた。しかし、経済成長による賃金上昇に加え、人民元の上昇もあり、中国からの輸入製品の価格も値上がりしている。
≪需要伴わず≫
日銀の7月の輸入物価統計によると、ポロシャツが前年同月比8・5%、手袋が9・2%、玩具が9・9%と軒並み上昇した。
原油や穀物の輸入価格の急騰の陰に隠れていたが、中国製品の値上がりも、「国内の需要増大を伴わない『悪い物価上昇』の立派な一因」(民間エコノミスト)となっている。
製造拠点の中国一極集中を見直す動きはあるものの、米国を抜いて最大の貿易相手国となるなど中国依存度は高く、構造的な物価上昇要因となる懸念が高まっている。
日銀の須田美矢子審議委員も28日の講演で、「国際市況が調整局面にあるからといって、インフレリスクに対する警戒を怠るべきではない」と、物価高止まりへの懸念をあらわにした。
ただ、国内景気が後退局面に入るなか、インフレ抑止の利上げに動くわけにはいかない。何よりも、資源高や中国のインフレ輸出は、日銀のコントロール外にある。
物価動向が外部要因に左右される以上、インフレと景気後退が同時進行するスタグフレーションを回避するには、内需主導による景気回復が急務だ。(柿内公輔)
最終更新:8月30日8時26分
-----------------------------------------------

ヤフーニュース3
-----------------------------------------------
ECBは成長を懸念、インフレリスクで利下げ正当化されず─関係筋=MNSI
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080830-00000175-reu-bus_all
8月30日9時53分配信 ロイター
-------------------------
[フランクフルト 29日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)当局者は、ユーロ圏経済の急速な冷え込みに対する懸念を強めているものの、インフレの危険性が高いことから利下げは正当化されないとみている。マーケット・ニュース・インターナショナル(MNSI)が29日、関係筋の話として報じた。
あるユーロシステムの高官は「年内は利上げも利下げも予想していない」と語った。 
また別の関係筋は、インフレ率が大きく低下する兆しはみられず、ドイツの業況感の大幅な悪化はドイツ経済が第2・四半期だけでなく第3・四半期も縮小する可能性があることを意味していると指摘。ドイツ経済は景気後退に向かう危険な状態にあると述べた。
ECBの分析から、英国、スペイン、アイルランドはすでに景気後退に入っており、フランスも景気後退に瀕している可能性があると指摘。スペインとアイルランドはスタグフレーションに見舞われていると語った。
最終更新:8月30日9時53分
-----------------------------------------------

私の分析が日銀やECBよりもはるかに早く正しかったのは内心「快哉」を叫びたいくらいだが、結果は少しもうれしくない。重い現実は、ますますリアルにわれわれの社会にのしかかっているのである。
スタグフレーションを克服する方策として、これまで有効と考えられていたものは、技術革新による生産性の飛躍的拡大である。一方、「ばらまき」派は内需拡大を声高に言うが、スタフグレーションが拡大中に「ばらまき」で内需拡大できたためしはない。歴史の失敗を繰り返すのかと怒りすら感ずる。生産性向上によるコストパフォーマンスの良いサービスや商品が市中に出回れば消費も拡大する。しかし、内需拡大は結果であって、方策ではない。技術革新による生産性の飛躍的拡大が必要であるという点については直前の記事にも書いた。
一方、今回のスタグフレーションでは、過去2回のオイルショックの時とは異なる大きな要因が加わっていることも見逃せない。
世界を浮遊する巨万の富裕層が、金融資本や、世界の都市不動産、リゾート地、一部流通(石油や金、ダイヤなど)だけではなく、実は消費財流通を含む流通資本の首根っこを押さえたという事実があるのである。20年前、消費財流通資本は大きいといっても各国とも国内で群雄割拠状態であった。今は、流通資本は各国内で寡占化が進み、巨大1社がその国の経済を左右するくらいの力を蓄えたのである。ここまでであれば、どの産業にもある国民国家内部の寡占化の動きと同じで、何も驚くことではない。しかし、今は、その寡占化流通資本が国家の壁を越えて、世界を浮遊する巨万の富裕層が、株式交換、資本と経営参加、TOBなどの手法でこれらを手中に収めつつあるのである。流通の寡占化と世界を浮遊する巨万の富裕層の支配という事態が今回のスタグフレーションの背景には存在する。流通は、安く仕入れて高く売るという極めて単純な経済原理に沿って行動する。流通資本が寡占化すると、他に高く売れる相手がいないので寡占化流通資本に売る側は買いたたかれて安く売らざるを得なくなり、流通から買う側は(他に安く手に入れる手段がなくなっているので)高くても買わざるを得なくなるのである。寡占化とは競争なしに利益をむさぼることのできる道なのである。
市民は高い魚と野菜を買わされているのに、農民や漁民は働いて働いても安値で買いたたかれている。その原因は流通の寡占化にあるのである。しかも、各国内で寡占化した流通資本の首根っこを押さえているのは、オイルマネーや世界の不動産開発、M&Aで巨額の富を集中した世界の1%の富裕層である。彼らは自分たちの利益のために商材を買いたたき、その売り値を釣り上げるのである。その差額は自分たちのポケットに入れるだけである。漁民が漁を休んでデモをしても、彼らは決して表舞台には出てこないで、舞台裏でお金を勘定しているだけである。流通資本が進めてきたのは、卸売市場などの旧来の流通組織を無視して中抜きにして、その利益を自分たちが独り占めすることなのである。
前回の記事では、技術革新を取り上げた。生産の技術革新も何としても必要だが、本当はこれでけでは足りていない。流通の革新も必要である。流通をもう一度庶民の側に戻すこと、これに尽きる。しかし、それは、私の近未来予測では、「消産直接取引の時代」(2020-2030ころ)でなければ本格化しない。時代はその直前の環境が整わない限りその先には進まないものである。まだるこしいがそんなものである。
ところで「消産直接取引」とはいわゆる「産直」とは異なる。従来の「産直」とは「生産者と消費者を直接つなぐ流通業者がいる」ということである。未来の「消産直接取引」とは「流通業者なしで生産者と消費者が直接取引する」ことである。すなわち後者にはそもそも「流通業者」がいないのである。「流通業者」がいなくなれば、ここから巨額の利益を吸い上げて、生産者と消費者にその負担を強いる現在の世界経済の仕組みも変更を余儀なくされるのである。しかし、その日はまだ遠い。
直近未来30年の人類史激動の予測図--情報社会学、予見と戦略(7)
(下図はクリックすると拡大表示されます)
060
「消産直接取引の時代」(2020-2030ころ)が来るまでは、せいぜいネットショップかファーマーズマーケットで「消産直接取引の萌芽」を楽しむくらいしか生産者と消費者の息抜きのできる場所はない。ネットショップかファーマーズマーケットを少々楽しみながら、「消産直接取引の時代」(2020-2030ころ)を準備し、一方では必死の技術革新によってしのぐほかないようである。大衆は、とことん追い詰められないと動かない。今は世界の巨大資本に首根っこを押さえられた流通資本の天下である。生産者も消費者も政府も、歯向かうことなく、時代の支配者たちにせいぜいご奉仕するしかないのかもしれない。政府も、与党(自民党・公明党)も野党(民主党・社民党・共産党など)も世界の巨額資本とその配下の流通資本に手綱をつける気などさらさらないというのが現状である。もしかして、この事態に、世界でも有数の能吏といわれる日本の官僚や政治家の皆さんは気づいていないのだろうか? そんなバカな! おそらくは、勝ち目のない喧嘩は避けて通るという「オトナ」の態度をとっているだけに相違ないのである。
われら庶民はネットショップかファーマーズマーケットを少々楽しみながら、民間の技術優先企業(ベンチャー企業)が取り組む技術革新に大きな大きな声援を送る以外にないのかも知れない。しかし、しかし、考えてみれば、世の中のお父さん、あなたも私も曲がりなりにも現役で働く社会の一員であります。どこかの(元?)首相に影響されて「ヒトゴトみたいに言っている」場合ではないのである。あなたも私も、自分のいる仕事場で、その生産技術の革新に参画して、生産者もホクホク/消費者もニコニコのサービスと商品を世に送る工夫の速度を上げなければならないのである。
頑張ろう、(私も含めて)世の中のお父さんたちっ。

△次の記事: 情報社会学、予見と戦略(24)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/11/--24-3651.html
▽前の記事: 情報社会学、予見と戦略(22)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/08/22_7746.html

琵琶

(補1)「鐘の声 ブログ」はリンクフリーです。ただし、「鐘の声 ブログ」の記事の一部または全部を引用または翻案して、公的に発言または発表される場合は、事前にメール等でお知らせください。[→連絡先]
(補2)この記事が含まれるシリーズの記事の一覧は下記(別サイト)のとおりです。
  情報社会学、予見と戦略シリーズの記事一覧 (GO!)
(補3)ブログ「鐘の声」には、10個ほどのシリーズとシリーズ以外の一般記事があります。シリーズの全体構成やシリーズ別の記事一覧は下記(別サイト)にあります。
  ☆「鐘の声」の全体構成(「鐘の声 ブログ」記事マップ)☆ (GO!)

« アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは何か--心理、教育、社会性の発達(69) | トップページ | 東大理学部化学科68年進学組の同窓会--交友の記録(35) »

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

■人民元が対ユーロで急騰、最大貿易相手の減速で大打撃-中国―いよいよ黄昏EUの前触れか?

こんにちは。人民元が急騰しています。というより、ユーロが急落しています。私はこの動きは構造的なものであり、今後ユーロは一時もちなおしたとしても、長期では凋落傾向にあると思います。いずれにせよ、これからは本格的に輸出先、投資先もある程度分散させてリスク管理を強化する必要があると思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
http://yutakarlson.blogspot.com/2008/09/eu.html

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73834/42368280

この記事へのトラックバック一覧です: 日本政府(日銀)も世界(ECB)もやっと認めたスタグフレーション--情報社会学、予見と戦略(23):

» 製粉、製パン各社 続々値上げ [時々時事爺]
きたきたきたぁ~ [!/]景気回復による需要の増加を伴わないって言っても世界で奪い合ってんだから途上国での需要増加は伴ってるぞ。貧しい国の人が食うもんも食わずに働いて産み出したものを、金に物言わせて買...... [続きを読む]

« アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは何か--心理、教育、社会性の発達(69) | トップページ | 東大理学部化学科68年進学組の同窓会--交友の記録(35) »