2008/10/05
ヒトの知能の構造-「ヒトの知能に迫る(その1)」--独創力の創り方(16)
ミニシリーズ: 独創力の創り方「ヒトの知能に迫る」(全?回)
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1.ヒトの知能の構造-「ヒトの知能に迫る(その1)」
2.未定
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参考になる別のミニシリーズ: 心理、教育、社会性の発達「知能を育てる」(全6回)
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1."スキルvsナレッジ"でもなく"知vs識"でもなく-「知能を育てる(その1)」
2.楽しく越える「知性なき丸暗記」の限界-「知能を育てる(その2)」
3.人工知能に見る知能の構造-「知能を育てる(その3)」
4.ヒトの知能の構造と知能教育-「知能を育てる(その4)」
5.レインマン(サヴァン症候群)に見る小脳の能力と大脳の能力-「知能を育てる(その5)」
6.個性もいろいろ知能もいろいろ-「知能を育てる(その6、番外編:)」
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これから、しばらくの間、「ヒトの知能に迫る」というミニシリーズを書いてゆくことにする。
ヒトの知能については、外科的脳の解明も相当に進んでいるので、いまさら、モデルを提示するまでもないという考えもあるだろう。未解明の事象について、仮想的モデルを提示するのは、研究者の命取りだという人もいる。後日、はずれていたら恥ずかしいというわけである。
しかし、私は、プロの研究者でもないので、はずれていたら潔くごめんなさいと申し上げてお許しをいただくことにしたい。お聞き苦しきをなにとぞお許しいただきたい。
これまでも、人工知能にかかわるシステム技術者は人の知能に関する仮想的モデルをたくさん作っては壊してきた。私もそのようなシステム技術者の一人である。作られた仮想的モデルに基づいて、人工知能システムは構築され、万余のユーザの手でテストされた。箸にも棒にもかからないものもあったが、なかなか良いと思われるものもあった。なかなか良いと思われる人工知能システムの構築モデルは、実はそれがヒトの知能の働きをよく反映している場合に違いないのである。
脳の働きは複雑なのに、外科的知見は虫食い的でまだ全体像を言い当てることができにくい。人工知能システムの構築モデルは、ヒトの知能を外見から観察して、推測して作ったものにすぎないが、脳の物理的働きに沿っているかもしれないと思わせるに十分で、これまでも脳科学者のモチベーションを掻き立てるものだったとわたくしは思う。当たっていた場合は、関係するシステム技術者も脳科学者もなんとも幸せであるが、はずれていても「かく予想されていたが、(その仮説に沿って研究したところ)実は違っていた」という反面教師の大役を果たすことはできたと思う。
牽強付会のそしりを覚悟の上でいえば、私が提案する仮想モデルは当たっていようがはずれていようが、学問の進化に大いに役立つはずであると思い込むことにしているのである。この思い込みの上に、今からいくつかの記事をミニシリーズとして書き進めるので、お気に召さなければ、横眼で眺めてにやりと笑ってやり過ごしていただきたい。
さて、今回のテーマは、「ヒトの知能の構造」である。
ヒトの知能の構造モデル図(クリックすると拡大表示されます)

この図は、下記の記事のために作成した図を基に、小脳と視床下部を加えたもの加えて拡張したものである。
アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは何か--心理、教育、社会性の発達(69)
レインマン(サヴァン症候群)に見る小脳の能力と大脳の能力-知能を育てる(その5)--心理、教育、社会性の発達(58)
上の記事の図は、アスペルガー症候群(AS)、学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)をそれぞれ「情報の獲得部の欠格」と「特定のジャンルの学習についての能力の欠損」、「情報の発現部の欠格」であることを示すための図であった。
次の記事の図は、サヴァン症候群(レインマン)のような現象を説明する図であった。
これらをまとめたものが、今回ここに示した図である。ここに示した図には、視床下部の働きについても忘れないように書き加えてある。
ヒトの脳には、大別して、視床下部、小脳、大脳がある。生物の発生分化の歴史から、それぞれ、爬虫類の脳、哺乳類の脳、類人猿の脳といわれることがある。
この図は、今後何度も引用されることになると思われるが、大事なのは、小脳と大脳には、それぞれ「知識の獲得部(黄色の部分)」と「知識の発現部(ピンクの部分)」と「知識ベース(茶色の部分)」があるということである。また、小脳にはないが、大脳には「知識の獲得部」と「知識の発現部」と「知識ベース」をコントロールして、知識の妥当な構造化を促したり、知識の構造の高度化を昼夜保守し続けたり、知識の発現を知識全体に照らして妥当なものに制御したりする「連合部位(緑色の部分)」がある。連合部位が大きく発展したのは人がムレからムラを作るようになってからのことであり、「社会的脳の発達」と深いかかわりがあると推測される。この部位の存在こそヒトの人格を決定づけるものと推測できるものである。
大脳の知識ベースと小脳の知識ベースは明らかに異なる。小脳の知識ベースは、パーセブトロンの発見によって大いに解明が進んだ。まだ完全解明とはいえないが、いわゆる「ニューラルネットワーク」と呼ばれているものである。「ニューラルネットワーク」は、たくさんの事例とその成果を与えると、成果のある回路だけが太くなる(電流が流れやすくなる)ことによって記憶され、記憶は再現される仕組みである。これは反射的動作の記憶を支えていると考えられる。スポーツ選手が、繰り返し練習に励めば、敵の動きに体が自然に反応するということが起こる。この「体が覚えている」ことが、実は小脳の記憶である。小脳の記憶がまったくなかったり、不十分だったら、ヒトは命をつないでゆくことがほとんどできないだろう。しかし、その記憶の能力は反射的行動のそれに限定されるという限界もはっきりとしている。思いめぐらせたり、高度な概念について思索にふけったりする能力は、小脳にはない。それらは、全て大脳の働きである。
大脳のもつ知識ベースは、「ニューラルネットワーク」(「電子的ふるい」と言われる)のような単純なものではない。もっと別の、高度に構造化された物に違いない。
次回には、小脳のパーセプトロンと対比して大脳のもつ知識ベースのモデルについて、解説したい。
次の記事: 独創力の創り方(17)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/10/--17-ba38.html
前の記事: 独創力の創り方(15)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/07/15_a8a4.html
琵琶
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