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スタグフレーション不況でも強いもの、技術革新--情報社会学、予見と戦略(24)

2008/11/26
スタグフレーション不況でも強いもの、技術革新--情報社会学、予見と戦略(24)

景気対策優先を声高に叫ぶ首相がいるというのに、本当に生産活動に役立つ政策やアイディアが、誰からも提言されないというのは、どうしたことだろうか。
国民全体に均等にお金をばら撒くという話もあるので、真性の貧乏人の私などは同級生のビートたけしがテレビで公言していたように「あいつ、貧乏人だよ」とさげすまれても、お金をいただきに行くほうの根性なしだが、一人当たり数万円のばら撒きで生産活動が向上するとは思えない。経済の再生は生産の再生である。生産の再生は、資本と人的資源を可能性のある何かに集中しなければならないと、27年以上にわたって曲がりなりにも企業経営をしてきた私などは思うのである。

現在の不況はインフレでもなく、デフレでもなく、スタグフレーションである。私は早くからこの事実を指摘してきたが、政府も日銀も9月ころになってやっと認めることになった。すなわちスタグフレーションは「公認」されたのである。
スタグフレーションになると、物価は高くなるか高止まりしたまま、賃金や雇用率は引き下げられるのである。現在は、流通を支配した国際資本だけが肥えてゆく構造になっている。
日本が過去に2度経験した「石油危機」はスタグフレーションの典型例だが、あの時代は石油の流通だけがいわゆる石油資本に独占的に支配されていたのである。今は、その教訓から、脱石油を目指して代替エネルギーが盛んに開発されている。エネルギー問題は代替エネルギー供給技術の向上(技術革新)によって乗り越えられようとしているのである。また、車に替わる公共交通機関網も発達を遂げている。高いガソリンは消費者の車離れを促進して公共交通機関へのシフトを後押ししている。
支配された商品の流通は、これを回避することによって活路を見出すことができる。それが可能となるのは、生産技術の抜本的改革、または安価で高性能の代替商品の開発である。国際資本が抑えた流通網(バリューネットワーク)とは別のネットワークを可能にするのは従来は考えられなかったコストパフォーマンスの高い多様な新製品を多数生み出すことである。流通を押さえた国際資本は幸いなことに従来品の市場価格を釣り上げてくれているので、コストの安い新製品は、やすやすと価格破壊力を発揮して流通破壊を実現するのである。その破壊力は、やがて来るはずの消産直接取引につながるものである。従来の「産直」は流通業者が介在するが、「消産直接取引」は流通業者を介さない消費者と生産者の直接取引である。
米国のサブプライムローンは低所得者層向けの住宅を高く売りつけるための住宅流通を支配する資本が旧金融資本(銀行など)をだまして損を押し付けたものである。わきの甘い旧金融資本(銀行など)は行過ぎた先行投資をしたために破綻をきたした。実は、行き過ぎて消費者が自己破産してしまえば、妥当性を欠く高率の利ざやを稼ぐ流通支配資本も破綻する。これは、宿主が死ぬとそま体内に巣くう寄生虫が死ぬのと同等の現象である。流通支配資本は、そのリスクを銀行などの旧金融資本に押しつける仕掛けを思いついた。それが複雑なデリバティブ金融商品だった。
国際資本による流通の支配を免れるためには、消費者がこぞって自己破産するか、生産技術の抜本的改革、または代替商品の開発を急速に進める以外にない。
一律バラマキは、消費されるか貯金に回るだけで技術革新のために直接使われることはない。広く薄くお金がばら撒かれただけでは技術革新はできない、技術革新は可能性のあるアイディアに資本と人的資源を集中して投入して初めて可能である。
ここに、技術革新が成功しているひとつの例がある。
国内で好調な商品もあるのである。

Yahooニュース
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不景気でも「白物家電」は好調 「省エネ」「高機能」が市場牽引
11月22日11時5分配信 J-CASTニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081122-00000000-jct-bus_all
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個人消費が低迷するなか白物家電の売り上げが堅調だ
金融危機のあおりで不景気風が吹く中で、冷蔵庫、洗濯機といった「白物家電」が堅調な伸びを示している。調査会社GfKジャパンの調べでは、薄型テレビなどの大物商品が投入されるAV家電を除いて、家電のなかで「白物家電」は唯一売り上げが前年比でプラスになった。なかでも「省エネ」「高機能」の商品が好調だ。外出を控え、家庭内で過ごすことが多くなった消費者の行動が影響しているようだ。
■冷蔵庫は3.3%、洗濯機は1.5%、調理家電は4%の伸び
GfKジャパンの調査では、08年10月20日~11月16日の生活家電(白物家電)の売り上げは前年同期比で約2%増。薄型テレビなどの大物商品が投入されるAV家電を除いて、全カテゴリーのなかで唯一のプラス成長になった。冷蔵庫は3.3%、洗濯機は1.5%、調理家電は4%の伸びを示している。国内景気の減速傾向で家計消費の落ち込みも見込まれるなか、「白物家電」は健闘し、堅調なのは注目される。
 「冷蔵庫、炊飯器など白物家電は順調に動いている」
こう話すのは家電量販大手・ビックカメラの広報担当者だ。なかでも、「省エネ」や「高機能」といった付加価値が付いた商品が好調だという。例えば、冷蔵庫では、「安いものを買いだめする」といった傾向が強まったせいもあり、容量400リットルから450リットルの大型商品が売れている。冷凍機能や保温機能といった機能面も消費者に重視されているようだ。また、エアコンでは「省エネ」をアピールする商品が特に好調で、
 「今後の生活のことを考えて、多少のイニシャルコストをかけても、ランニングコストが安い方がいいという傾向があるようだ」
とビックカメラの担当者は分析している。家で過ごす傾向が強まったのも後押ししているものと見られる。メーカーもこうした消費者のニーズに合わせた商品のアピールに力を入れている。
■東芝は「ecoスタイル」テーマに異例の大型新聞広告
パナソニックの08年9月中間連結決算を見ても白物家電は好調だった。社名変更に伴って、白物家電を「パナソニック」ブランドで展開し、「省エネ」もアピールする。「白物家電でエコに取り組むことは、家電メーカーでは当然のことになってきている」とある家電メーカー社員は話している。
一方、東芝は2008年11月22日に「ecoスタイル」をテーマにした全8ページにわたる異例の大型新聞広告を掲載した。具体的な数字を示して環境負荷を掲載したほか、炊飯器の「40時間保温」、電子レンジの「カロリーカット」など「高機能」もアピール。テレビCMや店頭でのキャンペーンも打つなど、同社ではかつてないPRぶりだ。
 「冷蔵庫・エアコン・洗濯機・電球蛍光ランプの4商品でエコを強くアピールしたい。省エネに対する意識は消費者のなかで高まっている。また、高付加価値の商品を出し、『この商品だったら』ということで購入してもらえれば」
と東芝の広告担当者は話している。
最終更新:11月22日11時5分
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つまり、技術革新によって、ランニングコストを含む総コストを下げ利便性を一層高めた商品を世に送り出すことができれば、消費者は買うのである。メーカーも潤うのである。社員の雇用と賃金は守られるのである。
このことはあらゆる業種についていえることであり、今回取り上げたものがたまたま白物家電というだけである。

さて、ここで、周囲を見回すと今もっとも技術革新の余地の大きな業種は、「農業」と「漁業」である。もし政府(自民党であれ民主党であれ)が、「農業の技術革新」と「漁業の技術革新」にバラマキの代わりの誘導資金を集中的に投下したらどうだろうか。「農業の技術革新」と「漁業の技術革新」は、農家や漁民に対する生活補助とは別物である。
私が考えるところでは、「農業の技術革新」とは「農業の工場化」であり、「漁業の技術革新」とは「大規模養殖技術の開発と普及」である。商品の改革とともに生産性を引き上げることが目的である。「工場化した農業」や「養殖管理化した漁業」の担い手が農民や漁民だけとは限らない。今どんな職業についている人にも参入の可能性は等しく開かれているべきである。とはいえ、作物を作るプロは「工場化した農業」でもその能力を誰よりも発揮できるだろうし、魚をともに生きてきた漁民は「養殖管理化した漁業」でもその実力を発揮することは間違いない。

政府の賢い政策が期待できない今は、民間資本に、このことに気づいてもらいたいものである。資本のチャンスは消費者の繁栄と生産者の満足とともにあるのである。
賢い資本は、現有する工場の技術革新だけではなく、農業や漁業にもその活躍の場を広げていただきたいと念願する。

「工場化した農業」や「養殖管理化した漁業」が近々に急速に広がれば、それらは、きっと日本を救うことになる、と、未来が見える遠メガネをかけたわけではないが、浮き沈みをくぐりぬけてきた老職人にして老経営人には見えるのである。

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琵琶

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