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良識は勝ったか?-日本の成育環境(4)--心理、教育、社会性の発達(76)

2009/01/09
良識は勝ったか?-日本の成育環境(4)--心理、教育、社会性の発達(76)

ミニシリーズ: 日本の成育環境(全?回)
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1.胎児は母の言葉を聴いている、母語を大切に-日本の成育環境(1)
 --心理、教育、社会性の発達(73)
2.なぜ母子同室優先か、心の芽をつぶすな-日本の成育環境(2)
 --心理、教育、社会性の発達(74)
3.見て覚える脳、共感する脳-日本の成育環境(3)
 --心理、教育、社会性の発達(75)
4.良識は勝ったか?-日本の成育環境(4)
 --心理、教育、社会性の発達(76)
5.教室は「社会シミュレータ」-日本の成育環境(5)
 --心理、教育、社会性の発達(77)
6.成功する単位組織-日本の成育環境(6)
 --心理、教育、社会性の発達(78)
 (つづく)
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(1)良識は勝った?
不思議なことに、育児教育界にあった"とんでも理論"が、一つ消えかかっている。うれしいような、とても不思議なような気もしている。
ここでいう"とんでも理論"の一つとは「一人遊びは個性を伸ばす」というものである。子供たちを孤独な遊びに閉じ込めておけばよいという理論がかりに正しいとすれば、保育者や教師はひどく楽ができる。親も子供にゲーム機を買って与えておけば、手がかからないというものである。だからこの"とんでも理論"がもてはやされていたように私には感じられた。
もちろん、個性は一人では育だたない。子供たち同士が出会い、親和性への欲求を満たしつつ、衝突したり助け合ったりしながら、相互にお互いの得意を発見して、認め合うことから個性が成長する。「一人遊びは個性を育てる」のではない。「社会性と個性は表裏一体、セットでなければ育たない」のである。
「一人遊びは個性を育てる」という言い訳がましい理論はなぜか急速に息をひそめた。
私は、この理論「一人遊びは個性を育てる」をかつて批判的に取り上げた(2005年当時)。
ゲーム・オタクへの心配--心理、教育、社会性の発達(13)(2005.10.31)
多すぎる、社会性の発達阻害の原因--心理、教育、社会性の発達(15) (2005.11.20)
当時は、「一人遊びは個性を育てる」と書かれた本が発行され、講演会が開かれていた。それらは幼児あるいは児童の教育に関係のあるお偉い方々のご高説であった。私は、落胆し、内心怒り、やむなくこの問題を取り上げた記憶がある。
今、ネットで検索するとこの種の主張を掲げるページはほほとんど皆無に近い。関連図書も増刷中止、絶版になっていた。おそらく、講演も激減しほぼ皆無になっているものと思われる。ほぼ3年程度の間に起きた変化てある。
私が、このブログで批判したことだけが原因とは考えにくいが、とにかく、一斉に姿を消したのである。・・・、私は勝ったのだろうか。間違った理論を展開した論客は口を拭って、発言したことさえ忘れたかのようである。この見事な撤収行動は、個々の人の判断によるのだろうか。・・・、不思議な出来事である。巨大な組織が、一斉に撤収を呼びかけたのかもしれないとさえ、勘繰りたくもなるような見事な撤収である。

(2)まだ残る「子供の孤独推進派」
そう、私は、子供たち(や大人)を一人にするなと強く訴えた。
一人にしない教育者と、一人にしない教育を--感性的研究生活(6)(2006.06.01)
高市少子化相(当時)にも訴えた。
"一人にしない" を政府も、高市少子化相「国民生活白書」--心理、教育、社会性の発達(40)(2006.06.27)
この願いが功を奏したのかも知れない。そうであれば、たいへんありがたい。
しかし、よく見ると、とんでも論客は姿を消したように見えても、全てが反省しているというわけでもないようである。
たとえば、「コツコツと何かを作る一人遊びのようなことが、創造性や集中力を育てる上では必要です」というようなネット上の発言はなくなっているわけではない。保育や教育の現場では同様のことがひそかにもっと多く語られているのかも知れない。
上記のようなことを書いている、そこの先生っ! 口幅ったいことですが、「コツコツと何かを作る」だけにしては、ダメでしょう。作ったものを子供同士、そして大人が評価し、ほめてあげなければいけません。放っておいてはいけないのですよ。本当はお分かりでしょう? 他人に誤解を与える発言には注意をしてください。

(3)一人遊びに終わらせないように
私も教師ですが、「コツコツと何かを作る」ことが「一人遊びに終わらないように」心を砕くのが親であり保育者であり教師であると考えてきた。私は、それこそが教師の役目の一つと信じて教育実践に取り組んできた。
0歳から2-3歳までは、母への密着からやがて一人遊びとの併存が始まり、ひとり遊びが多く見られるようになり、次第に子供たちがたくさんいる場所に混じって並列遊びをするようになる。それでも、子供はいつでも母親のいるところに駆けもどれる場を好む。3歳前後には、集団遊びに移行してゆく。このころは、集団遊びに上手に移行できるように親も保育者も子供たちを手助けしなければならない時期である。このころも自分を庇護してくれる親や保育者を強く求めてもいるので、決して放置してはならない。その後は、遊びと言えば集団遊びが主流になり、5-6歳になると友達との交流が楽しくて仕方がない時期になる。ここで子供を孤立させてはならない。7-8歳になれば他人との違い(自分の得意なこと)を誇りにする傾向が生まれて、友達や大人たちにその得意を認めてもらおうと必死に頑張る。ここで、「皆と同じ」を押し付けたり(斉一性への圧力)、「一人遊び」に追いやったりしてはならない。作ったものを子供同士、そして大人が評価し、ほめてあげなければならない。10-12歳になると、単に得意を主張するだけではくて、自分が他の仲間たち、クラス、クラブ、社会に役立っていることを認めてもらいたいという欲求をもつようになる。ここで、教師や親が、これを阻害し、(受験にかかわって)友達は敵だと言ったり、教師が学級崩壊の恐れから子供たちの連帯を警戒して「友達を作っていけない」などと"とんでも指導"に走ってはならない。
子供は「一人遊び」しているように見える瞬間があっても、決して一人遊びに終始してそれだけに終わってしまうのを望んでいるわけではない。決して子供を孤独にさらして、孤独のまま、夜、床につかせるようなことがあってはならない。一人で何かをしていることの中に、何か親や友達に見せびらかしたい"いいこと"、"自慢したいこと"があるのである。それを発見してうまく引き出してあげて友達や親や先生がわかってほめてあげるように、または皆の前で発表させて称賛を浴びる機会が与えられるように取り計らうこと、それが親や保育者や教師のお仕事ではないのだろうか。
多くの、心ある親や保育者や教師にとっては余計なお世話にすぎないと思う。わかりきったことをくどいと思われることと誠に心苦しい。ベテランの諸先輩の中に心を害された人がいたら、平にお許しを頂きたい。
しかし、まだ、世間には現に少しばかり勘違いが残っているようであり。それらの勘違いを速やかに正していただきたいと願ううところである。
また、これから親になる人、保育者を目指す若者たち、教師を目指す青年男女は、ぜひとも子供たちを孤独に放置しない親、保育者、教師になることをお願いしたい。「一人にしない教育と一人にしない大人たち」になってほしい。
過去の記事だが、参考となる記事を最後に紹介しておきたい。

日本の子供の孤独感は世界一、子供の幸福感一位のオランダはシティズンシップ教育--心理、教育、社会性の発達(72)

次の記事: 心理、教育、社会性の発達(77)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2009/01/-4--76-87c2-1.html
前の記事: 心理、教育、社会性の発達(75)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/12/-3--75-b392.html

琵琶


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