上野の美術文化展に行く--交友の記録(46)
2009/04/08
上野の美術文化展に行く--交友の記録(46)
先週の日曜日のことである。たくさんの用事が細切れにあった。
前日から続いて早朝から昼まで、翌日納品の仕様書(某大学のお仕事)の仕上げを急いだ。ご担当の先生の点検をいただいているうちに、いくつかの用事を済ませようと、走った。
納品には、社判が必要だが、とうぜんオフィス行かなければ印鑑はない。休日の道路を自宅から会社に向けて走らせる。その前に、上野に済ませるべき用事があった。用件が終わると、上野の山に向かった。
駐車場に車を止めると上野公園を横切ってゆく。
目指すのは東京都美術館である。
例年のことになったが、岩田哲夫画伯の絵を妻とともに見にゆくことにしたのである。岩田哲夫画伯が所属する美術文化協会の恒例の展覧会である。
画伯からは、事前に招待状を4名分いただいていたのでゆかないわけにはいかなかったこともあるが、今年の作品はいかに、という心の動きも大きかった。
昨年は、私たち夫婦と私の老母と老母の介添えとして私の息子がこの美術館を訪れた。あわせて4名である。岩田先生は、このことを覚えていてくれて、私たちに4名分の招待状を下さったのである。
例年のようにゆっくり作品を鑑賞することはできなかったが、あわただしく、30-40分ほどで館内を駆け巡った。出品作品の画集を買い込み、岩田氏の絵が印刷されている絵葉書を3枚買って、オフィスに向かう。
この日は休日である。いつもは騒然としているオフィスが閑散としている。
部屋に到着すると、仕様書提出先のご担当の先生からのメールが届いていた。ともあれ、納品すべきものとは認めていただけたようなので、印刷して印鑑を押して納品の準備をした。帰りがけにもいくつか要件を済ませて帰宅した。道は真っ暗になっていた。
美術館では、まず真っ先に岩田先生の作品を探した。200号の大作である。「寂」と題された作品で、このところ続けていらっしゃる墨絵であった。
昨年の作品では、静寂と内面の勢いが葛藤し、内面の勢いが画面に幾分ほとばしっている風であった。
今回の作品は、静寂と内面の勢いが程よくバランスされていて、破たんのないものになっていた。丁寧で端正な仕上がりになっている。気力の充溢と体力の回復を感じさせるものだった。すばらしい作品だった。
写真: 今回の展覧会に関連して、東海ラジオに取り上げられた岩田哲夫先生(人物右)
天野良春リアル、ものづくりの美 2月28日(土)放送分より
http://www.tokairadio.co.jp/program/real/bn/093.htm

実は、今回は展覧会が始まる前に、すでに岩田先生は帰省されていた。お会いすることができなかったのは残念である。
一方、私の母も、美術館に行きたがっていたが老齢のため断念した。老母の介添えでいつも同行していた息子もゆかないというので、いただいた4名分の招待券の2名分が余ってしまった。2名分の招待券は、4月1日に行ったSH情報文化研究会で、友人の絵描きに差し上げて、行ってもらうことにした。彼も喜々としていたので、たぶん出かけたものと思う。
展覧会の作品は、総じて若返って、生命感あふれるものとなった。レベルもだいぶ上がったという印象である。見ごたえがあった。いずれの作品もその構想は昨年の春から初夏にかけてのものであろう。今の世情のような暗い印象はない。世界経済が崩壊を露呈したのは昨年の秋以降である。まだ希望が感じられる束の間を反映しているのが面白かった。しかし、展示を見ながら、この暗い世情の向こうに垣間見える次にやってくるのであろう明るい光のようにも感じられた。ときは一巡して、むしろ時機に適した展覧会になったのかもしれない。
私は、政治家や経済評論家が来年にならなければ景気が回復しないなどというしたり顔の発言にいささか腹を立てている。今年の6月には不況は底を打つ、と昨年の11月から私は言い続けているのである。5月にはトヨタも在庫調整が終わるなどというニューズ伝わると、私の予想もまんざらではない、と叫びたいくらいなのである。世間の常識をくがえして真実を画想の中にあらわすのが美術家なのだから、展示された作品の作者も近々の希望を表現しているような気さえした。
一方、古参のベテランの指導者にあたる画家の方々が4名も亡くなっていることが目を引いた。亡くなった方々の作品も展示されていたが、立派な作品ばかりである。大きな力を失ってしまったようでさびしくもあった。亡くなられた方々は、今回の多数の応募作品のような優れた後進の作品に今後は触れることがないのかと思うと、誠に残念であるように感じた。
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琵琶
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