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日本数学会に伊東由文先生を聴きに行く--感性的研究生活(48)

2009/04/13
日本数学会に伊東由文先生を聴きに行く--感性的研究生活(48)

3月27日、日本数学会の大会が開かれた。
朝早く、私は会場の東京大学の駒場キャンパスに向かった。40年以上前、私が通ったキャンパスである。卒業後も何度か訪れた経験があるが、仕事以外で訪問するのはたぶん初めてだろう。
目指すは、第IV 会場 「函数解析学」である。会場は、勢門をはいってやや左手の奥、11号館であった。
午前9時20分が発表開始の時間である。
私は、9時5分くらいに教室に到着した。まだ会場は閑散としていたが、伊東由文徳島大学名誉教授はすでにいらっしゃっていた。やや斜め後ろに座って、お声をかけるのは遠慮していた。発表前にいたずらに擾乱要素を与えてはいけないので、目立たないようにただ静かにしていた。
伊東先生は、私の会社から「自然統計物理学」という本を出版したばかりだった。発表内容がこの本の内容に関連するものというので、時間をやりくりして出かけたのである。
発表が始まる頃には30名弱の聴衆がいた。早朝の発表とすれば多いほうである。
演題は「水素原子のスペクトル」である。「函数解析学」分野としてはかなり異質のタイトルである。量子力学を粒子論に近い立場から数学的に整理して、公理系を整えて統一的に説明しようというのが伊東名誉教授のお考えであると私は理解しているのだが、専門外の世界なので、間違った理解をしているかもしれない。
伊東名誉教授は、パワーポイントを使用せず、教材提示装置(OHPの後継機材)を使用して説明してゆく。2時間40分の間に10名の発表という過密スケジュールである。質疑を入れて一人15分程度の時間しかない。十分な説明など無理である。
発表が終わると、座長先生が、形式的に「質問はありますか」と会場に一瞬目をやって、すぐに伊東先生に向って、「量子の謎の解明は、波動でなければ、・・・」と通説に従った反論を始める。そして、「まぁ、ここで議論していても、仕方がないので」と質問を打ち切ろうという暴力的進行をしようとした。つまり、座長判断で「異端の学説だから、会場の質問も遮断して早々に終わらせよう」という態度が見え見えだった。
私は、瞬間湯沸かしに火がついた。「ハイ、質問」と大きく手をあげた。「私は、情報科学が専門で数学が専門ではありませんが、一言」と断って、「一見、異端の学説のように見えますが、数学以外の分野では、真剣に検討されているテーマです。物理学では、40年も前のことですが、カナダのアルバータ大学の理論物理学の教授の藤永茂教授が、粒子性を実体とみなして量子の世界を理論的に解明するお仕事をされています。化学の世界では、粒子仮説に基づく実験が日本でも数千人規模で毎年行われている具合ですから、必ずしも異端の学問ではありません」と伊東先生擁護の発言をした。
突然の出来事に伊東名誉教授もあわてたようで、「どなたですか?」と私が誰かがわからない様子だった。私の発言が擁護論なのか、批判論なのか、戸惑ったような回答「以前の研究とは異なるんですが、・・・」だった。
座長先生はもっとあわてて、「いろいろ議論はあると思いまずか、ここで議論するのは無理ですから、・・・」ととにかく幕引きを急いでいた。まぁ、一言抵抗発言ができたから、よしとしよう。私も引き下がることにした。壇上から降りてきた伊東先生は、私に近づくと名刺を差し出した。私が誰か、まだ気がつかないようだった。代わりに受け取った私の名刺を見て、伊東先生はやっと安堵の顔に戻って、「あぁ、あなただったんだ」と笑顔になる。
次の発表がすぐに始まるので、会場で詳しいお話をするのは無理である。後で、伊東先生には、真意をメールで書いて送ろう、と思って、次の発表準備が終わらないうちに、会場を抜け出した。

さて、この日、私は歯医者さんに予約をしていた。会場のそばから歯医者に電話をすると、始業前で、テープが10時以降に電話してくれと言っているだけだった。しかし、10時が私の予約時間。電車を乗り継いで歯医者さんに行き着くには、10時を超えてしまう。この日、歯医者さんゆくのはあきらめて、オフィスの最寄り駅で降りたら、電話で次回の予約をやりなおそうと考えた。
・・・
案の定、予約時間をかなりすぎての電話になったら、受付のお嬢さんは不機嫌でツンツンしていた。ご免なさい。悪気はなかったんですけれどね。タイミングが悪かったんですよ。次回は時間通りまいります。

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琵琶

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