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日本語プログラミングワークショップ、合同開催(京都高度技術研究所10階フロアにて)--感性的研究生活(51)

2009/08/04
日本語プログラミングワークショップ、合同開催(京都高度技術研究所10階フロアにて)--感性的研究生活(51)

昨年も、日本語プログラミングワークショップが開かれて、大盛況だった。
会場があふれた、ワークショップ「日本語プログラミング」--感性的研究生活(36)

1.今年のワークショップ「日本語プログラミング」
今年は、かねてから関西方面で開催することを願っていたところ、他の研究会との合同で実施されることになった。主催と共催は以下の通りである。
【主催】情報コミュニケーション学会
    http://www.cis.gr.jp/
【共催】次世代大学教育研究会
    (第37回次世代大学教育研究会)
    http://nextedu.chiegumi.jp/
    同オープンソース&リソース戦略分科会
    http://www.totsusangyo.com/wordpress/?tag=os3
    日本語プログラミング研究会
    サイエンスハウス情報文化研究会
    http://www.sciencehouse.jp/company/study.html
    eラーニング戦略研究所
    http://study.jp/esri/
私は、日本語プログラミング研究会の幹事で、サイエンスハウス情報文化研究会の幹事でもある。
イノベーションの研究に熱心な阪井和男教授(情報コミュニケーション学会会長、次世代大学教育研究会幹事)の強烈な個性が引き寄せた合同ワークショップということになるだろう。

2.心晴れぬ間に
私は、昨日の義兄の死を引きずっていて、心は晴れない。無理に明るい表情を作ろうとするとなぜか興奮状態の言葉遣いになる。前夜、京都のホテルでまんじりとしない夜を過ごしていると、浮かぶ言葉がすべて荒々しく攻撃的でひどいものだった。夜明け近く少しだけまどろむと、すぐに起きだして、ホテルを出た。研究会場の方向に5分ほど歩いたところに東京では見かけないビザハウスが朝食メニューを掲示していた。早速入って、一番簡素なバタートーストとゆで卵と野菜サラダのセットを頼む。コーヒーがついてわずか500円である。瞑想して心静めようとした。当日の私の発表時間に何を話すべきか、その軸もまだ定まっていない。以前予定していた発表内容はまとめられていない。内心の焦燥感は、いらだちへと沸々と表面化してくる。いかんなぁ、・・・。自分はこんなにだめな男だったか、と少しがっかりしてしまう。1時間半もその店にはいた。
長居はお店に迷惑である。店の外に出るとタクシーを拾って、会場近くまで行く。会場のビルを確認すると周囲を圧倒するりっぱなビルである。開場までに1時間半もある。タクシーを降りてから北に少々歩いてから、路地裏に入り、散策することにした。いかにも人の生活のにおいのする町である。それでも路上はきれいに掃き清められている。もう打ち水をしてあるお宅もある。小さな間口いっぱいに小さな庭木が寄せ木細工のようにキチンと植えられて風に揺れる木の葉が涼味を醸し出しているお宅もある。京都の街は、東京とは異なる趣を見せている。
路地を見知らぬ男が周囲をじろじろと見ながら歩いていたら、こりゃ不審者と思われてもおかしくないなと途中で思いいたった。会場のビルに戻り、エレベータを上がると、なんとエレベータの前にガラスの頑丈な扉が付いていて、しっかりと鍵がかかっている。まだ開場に1時間もあるのである。当然と言えば当然だ。私は、エレベータを降りて、隣のメインのビルの受付に腰を下ろすと、瞑想の続きをすることにした。発表の軸は、日本語プログラミング言語の作者の発表の見どころ聴きどころに置き、聴衆の皆さんの便宜に供しよう。それ以上のことは背伸びしても中途半端になるだろう。書きかけの別途資料は捨てることにした。
開場30分前、阪井教授の姿が見えた。簡単な挨拶を交わす。なぜか阪井教授も別の意味でいつもより心乱れている様子が見えた。何かあったのかもしれない。
阪井教授の後、開場15分前くらいに、私も会場にはいる。すでに数名が来ている。
私は、ノートパソコンを開いて、前日阪井教授に送った仮の資料の手直しを始めた。


3.当日の進行

   記
===============================================
「オープンソースと日本語プログラミングは社会イノベーションを起こせるか?」

情報コミュニケーション学会が主催する合同ワークショップを京都で開催します。
真夏の京都に,イノベーションの研究者,オープンソースの実践者,日本語プログラミング言語の開発者(作者)が集って,社会イノベーションへの道を議論します。
 今回は,イノベーション・ダイアグラムの発案者である山口栄一氏(同志社大学大学院)やプログラミング言語「Ruby」の開発者のまつもとゆきひろ氏にも,ご講演とパネルディスカッションへのご参画をいただくことになりました。ご期待ください。

【日時】2009年8月4日(火) 10:00-20:00
【場所】京都高度技術研究所10階フロア
    http://www.astem.or.jp/about/access.html
【主催】情報コミュニケーション学会
    http://www.cis.gr.jp/
【共催】次世代大学教育研究会
    (第37回次世代大学教育研究会)
    http://nextedu.chiegumi.jp/
    同オープンソース&リソース戦略分科会
    http://www.totsusangyo.com/wordpress/?tag=os3
    日本語プログラミング研究会
    サイエンスハウス情報文化研究会
    http://www.sciencehouse.jp/company/study.html
    eラーニング戦略研究所
    http://study.jp/esri/
【後援】京都高度技術研究所(ASTEM)
    http://www.astem.or.jp/
【参加費】学生1,000円、一般4,000円
    参加費は、昼食と懇親会費を含んでいます。
【資格】いずれかのテーマに関心のある高校生から社会人まで(誰でも)

※昼食と懇親会はいずれも会場フロアのブラウジングルームにて軽食とドリンクを準備い
たします。

【第1部】イノベーション(10:00-12:50,プレゼンルーム)
開会挨拶(10:00-10:10)
10:10-10:50
 山口栄一(同志社大学大学院)「イノベーション 破壊と共鳴」
11:00-11:40
 末永啓一郎(城西大学)「イノベーション.ダイヤグラム:再考」
11:50-12:00 休憩
12:00-12:40
 阪井和男(明治大学)・栗山健(学研)「創発的な学びのダイアグラム~ミシンはなぜ
縫えるか~」

 昼食(12:50-14:00)

【第2部】オープンソース&日本語プログラミング(14:00-17:00,プレゼンルーム)
14:00-14:40
 まつもと ゆきひろ「Rubyによるユーザおよび地域コミュニティとの連携」(仮題)
14:50-15:00 休憩
15:00-15:25
 飯箸泰宏「ヒトの知識構造と自然言語の文法」
15:30-15:55
 酒徳峰章(クジラ飛行机)「日本語プログラミング言語~事務処理での活用事例」
16:00-16:25
 馬場祐人(早稲田大学)「日本語プログラミング言語「プロデル」が目指すもの」
16:30-16:55
 岡田健「日本語プログラミング言語と抽象表現」

 休憩(17:00-17:10)

【第3部】パネルディスカッション(17:10-18:30,プレゼンルーム)
 イノベーション系:山口栄一(同志社大学大学院)
 オープンソース系:まつもと ゆきひろ
 日本語プログラミング系:酒徳峰章(クジラ飛行机)
 SH情報文化研究会:飯箸泰宏(明治大学)
 コーディネータ:仲林清(放送大学)

【懇親会】(18:30-20:00,ブラウジングルーム)

【パネル展示】(10:00-17:20,ブラウジングルーム)
・「日本語プログラミング言語『プロデル』によるソフトウェア開発」,早稲田大学(田
原 旬,太田 大地,榎本 友紀恵,長谷部 雅彦)
・株式会社ネットランド(吉田 和彦)
・他
 日本語プログラミング&オープンソースソフトウェア関係をはじめとしてさまざまな展
示を歓迎します。
 ※展示ご希望の方は、事務局(阪井 sakai@isc.meiji.ac.jp)までお知らせください。
 ※展示料は無料です。当日、パンフレット類とパネル(任意)をご持参ください。
===============================================

4.テーマの不整合といらだち
私のいらだちは、日本語プログラミングと今回の合同ワークショップのメインテーマである「イノベーション」というモノの不整合にあるようだったが、その時にそれに気づいたわけではない。開場に居てもなんとなく落ち着かない。
午前の部が始まり、興味深い話が続く。「イノベーション」が主たるテーマである。「イノベーション」と聞くと気に障る、いらつく、なんと「できていない」自分なのか。自分に嫌気がさす。
「イノベーション」をたかる山口先生も、末永先生もイノベーションの研究者としては一流のひとかどの研究者である。内容も素晴らしい。しかし、「日本語プログラミング言語」とは無関係に聞こえている。その上、私が考える「イノベーション」とも視点の角度が全く異なっている。いらつきはピークに近かった。
私は、新規技術を含むイノベーションに対しては、いつも選択し、意思決定する側にいた。意思決定する者がボンクラだったり、選択眼を持ち合わせていなかったりすればどんなよい技術も組織政策も水の泡である。意思決定する者の脳の鍛え方と意思決定を末端に浸透させる巧みな組織政策にこそ関心があった。研究者の皆さんの関心は研究テーマの選択の方法にあるようだった。組織や社会が必要とする目的意識的活動の「目的」がサッパリ触れられないことにもいらだちが募った。研究テーマの選択の良し悪しの尺度は何なのか、研究者の皆さんの発表を聞くかぎり私にはさっぱり理解できなかった。明らかに同じ「イノベーション」という事象を私も研究者の皆さんも見ているのだが、見ている面がもしかする真反対なのかもしれないとぼんやりと感じていた。
たった一度だけ質問した。質問にはいらだちが映し出せれていたかもしれない。棘のある言葉が含まれていたかもしれない。関係者には誠に申し訳なく、お詫び申し上げます。

5.私の発表
午後には、まつもとゆきひろ氏による「Rubyによるユーザおよび地域コミュニティとの連携」の講演が行われた。Rubyで儲かったかと言われれば儲かっていないが、おかげで周囲の尊重を勝ち得て、生活も仕事もやりやすくなっているというような説明だった。なるほど、最もなことだと感じた。
このあとの休憩をはさんで、いよいよ「日本語プログラミング言語ワークショップ」の始まりである。
私がトップバッターなので、まず、「今回の発表は事前に公開したタイトルと違って、日本語プログラム言語」の進化がどのようななっているのかについて、見どころ、聞きどころをまとめました」とお断りした。
私が示した図の主なものは、下記のものである。

<クリックすると画像は拡大表示されます>
K
図1 プログラム言語の2つの側面

日本語プログラム言語といえども、プログラム言語である。プログラム言語とは何かをコンピュータ言語との違いや共通点に触れながら説明し、プログラム言語の主要な二つの側面を取り上げた。一つはプログラム言語である以上、マシンを直接制御できなければならないこと、もう一つは「日本語」を指向する高級言語であるためには日本語そのものではないが日本語らしい文法を取り入れるべきであることの2つである。
言語作者の皆さんがどこまでマシンに接近できているのか、またどこまで日本語の文法に近い言語仕様を編み出しているのかは、大変興味深いと述べた。
さて、私の興味の部分として、日本語の文法についても少しだけ語ることにした。

<クリックすると画像は拡大表示されます>
Photo
図2 現在の言語学への不満--日本語はドイツ語やオランダ語と同じSOVか?

現在の言語学によれば、日本語はドイツ語やオランダ語と同じSOVだとされている。誰しもこの表を見せられたら、えぇ~っと驚く。ひどい混乱がここにはみられるのではないだろうか。日本語の構成をそもそもS、O、Vでとらえようとするところに間違いがある、と私は思うのである。
人類の言語には、発生分化の道筋にそって元来大きく2つに区分けすべき分類があるというのが私の仮説である。どこにその分かれ道があるかというと、オブジェクトをO、属性をPと表現すると、単位知識においてO-Pとするか、P-Oとするかの違いであるに違いない。O-Pは「O-(P1,P2,P3,・・・)」というユニットを生み出し、P-Oはやがて「P-(O1,O2,O3,・・・)」というユニットを生み出したであろう。前者はオブジェクト指向であり、公社はファンクション指向である。「O-(P1,P2,P3,・・・)」というユニットを組み合わせるセンテンスを持つ民族と「P-(O1,O2,O3,・・・)」というユニットを組み合わせる民族は住んでいる地域も異なっている。前者は地球の寒過ぎる地域か暑すぎる地域のいずれかであり、後者は西のヨーロッパ人~東の中国の漢民族まで、ユーラシア大陸の中緯度にあたる温暖にして麦などの穀物が豊に稔る地域である。「P-(O1,O2,O3,・・・)」のほうが民族の生存をかけた戦争にたけていたのに違いない。

<クリックすると画像は拡大表示されます>
2
図3 知識の構造から文法へ


6.日本語プログラミング言語作者の発表
続いて、日本語プログラミング言語作者の皆さんの発表があった。
(1)クジラ飛行機さんの発表
クジラ飛行機さんは「ひまわり」や「なでしこ」の作者である。機能の今日は毎月1回というハイペースで行っていることが紹介された。そして、言語仕様の見直しを進めているということである。なになに?! 耳をそばだてる。FORTHのスタックを参考に仕様の進化を図っているというのである。言語のマシンに向けた部分の話ではなく、高級言語としての日本語プログラム言語の課題への挑戦である。1年間で、かくも進化が進むとは、私は驚いてしまった。
(2)ゆうとさんの発表
ゆうとさんは、TTS-NEOとプロデルの作者である。同じく言語仕様の改訂に取り組むとともに、機能の充実を図っているという。なお、彼は、早稲田大学の指導教官である筧教授の指導のもと、プロデルでプロデルを書くというとてつもない目標をかかげて、マシンを直接扱うことのできる本格的なプログラム言語を目指しているというのである。いつ実現するのかという私の質問に対して、本年度中には、という回答だった。これは楽しみである。
(3)岡田さんの発表
岡田さんは「言霊」の作者である。彼は、この会に出席して、初めて「未踏IT人材発掘・育成事業」の認定を受けたことを明らかにした。発表の始まる前、作者たちが集まったコーナーでは思わず大きな拍手がわいていた。苦労して続けてきた甲斐があったね。皆が嬉しくて顔がほころんだ。生活のために勤めていた会社も辞めて、本年度いっぱいは、「言霊」の開発に全力投球するのだという。すごいことになってきた。
彼の発表は力が入っていた。言語仕様を決定するために日本語の解釈(自動再構成)をシミュレーションして見せた。どこまで公開してよい情報かははかりかねるので、ほんの少しだけ彼のアイディアに触れる。日本語の修飾語をいくつかに分類する。それそれにスタックを用意する。スタック間の優先順などを決めて分解した日本語のセンテンスを再構成するというものである。粗削りだが、大いに可能性の高い方法てある。・・・、私の眼にはほとんどゴールの姿が見えた。私は、岡田さんに、会場から本多勝一の「日本語作文の技術」を勧めた。のちに、メールでも少し補足の討論をした。

7.パネル討論
その後はパネル討論である。
パネラとコーディネータは次の通りである。
 イノベーション系:山口栄一(同志社大学大学院)
 オープンソース系:まつもと ゆきひろ
 日本語プログラミング系:酒徳峰章(クジラ飛行机)
 SH情報文化研究会:飯箸泰宏(明治大学)
 コーディネータ:仲林清(放送大学)
主たるテーマは、「イノベーション」である。他のテーマでお話した人には、どうしてよいか分かりにくい部分があった。私はこーディネータの仲林先生にあらかじめお断りしておいたように、スライドを数枚追加して見せながらお話した。
まずは、私が提案する社会モデルと社会的脳モデルをお見せして共通点を示した。このうち、データベースでいえばシーケンシャルアクセスに相当するネットワーク型の検索の遅さに比べて、ランダムアクセスに相当するメタ型の検索のスピーディさを解説した。知のの狩人として個人が新しい知見を獲得するばかりではなく社会や社会的組織も知の狩人として新しい知見の獲得に努力していること、その上で、飛び離れた概念への擬似的ジャンプの実現、異分野との結合による新発見や飛躍がメタ型の抽象化と具象化のパスを通じて行われること、それがイノベーションなのではないかと述べた。

<クリックすると画像は拡大表示されます>
Photo_3
図4 ジャンプする発想力の源泉

また、組織の保守性の理由とそれを回避する社長などの組織のリーダの知恵についても以前発表した論文を示しつつ明らかにした。

<クリックすると画像は拡大表示されます>
Photo_4
図5 メンタルパワーモデルによる組織の局所安定領域

参考文献1
飯箸泰宏、情報コミュニケーション学会第3回全国大会発表論文集、pp.43-44(2006); 口頭発表資料)
参考文献2
「組織破断限界シミュレーションの試み: メンタルパワーモデルの提案」(飯箸泰宏、第49回SH情報文化研究会)

コーディネータの先生からは、「深すぎる議論なので、他の方の意見を求めます」とかわされてしまったが、会場は息を飲む人々の顔でいっぱいになっていた。この筋のお話はきっと別の機会にもっと詳しく述べるべきものだろう。

パネル討論の後、山口教授からは、「メンタルパワーモデルによる組織の局所安定領域」のPDFファイルの提供を求められたので、喜んで、差し上げた。山口教授とは、別の機会にゆっくりと討論してみたいと願っている。
野生派の私と、紳士で知的な山口教授のミスマッチ・マッチングは、とんでもないエネルギーを引き出しそうに感ずるのだが、いかがだろうか。

この日は、終日、心の重い部分は消えていなかった。無理に笑顔を作ろうとして、なぜかいきり立っている自分がいた。お気に触った方も少なくなかったかもしれない。至らぬ私をどうか皆様お許しください。

少なくともこの日の「日本語プログラム言語ワークショップ」の成果は大きく、次につながるアイディア満載で希望に胸膨らむ思いで帰京できたことも事実である。

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琵琶

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