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2010年の経済は自力活性で、年頭所感
       --情報社会学、予見と戦略(33)

2010/01/04
2010年の経済は自力活性で、年頭所感
            --情報社会学、予見と戦略(33)

昨年の景気は、私が一昨年予想した通り、6月で下げ止まったが、残念ながらそのまま上昇に転ずる事はなかった。低迷を続けてそのまま年末を迎えた。
人々は、政権の交代が景気の浮揚につながることを期待したが、まったく当てが外れたといってよいだろう。当てが外れたという思いが、この間の民主党政権に対する支持率の低迷にそのまま表れている。
経済活性化につながる基本的な政策が必要なのだが、昨年の総選挙の開票速報を見ながら私は次のような記事を書いていた(2009年8月30日深夜から31日の早朝に)。
8月30日、民主圧勝、政権は交代へ、必要な政策を掲げるはだれか--情報社会学、予見と戦略(32)
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必要な政策を掲げるのはだれか、勝った「民主党」か、負けてこれから反省する「自民党」か、行政改革を訴えた「みんなの党」か、いやいや、「社民党」なのか、「国民新党」なのか、「共産党」なのか、・・・。
残念だが、各党のマニュフェストに、「新規産業を盛りたてて雇用を確保する」と明言する記述は見当たらない。

政権は交代した。これは、始まりだろう。新しい政権にも足りない部分がこれからはっきりと見えてくる。次の波が来る時こそ、日本の根っこからの再建が始まるときに違いない。
その再建は、これからの新政権が大きく進化変貌して担うことになるのか、負けた自民党が反省して出直して担うのか、他の党なのか、今は予測がつかない。
新政権成立直後の数カ月のご祝儀相場が終わってから、新しい波の担い手になるのはだれかを期待を持って見守りたい。
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明らかに、新政権成立直後の数カ月のご祝儀相場は終わっている。新政権にも期待はできないし、他の政党に至っては、希望の持てる発言は何もない。
日銀も、民主党政権も、マスコミも、今の経済はデフレーションである言い張っている。これは間違いなのである。デフレーションなのだから紙幣を市中にばらまけばよいというトンデも政策ばかりが提案される。マスコミは、激安店の映像を垂れ流している。--、これこそデフレの象徴なのだと。
激安店として紹介されるのは、2種類である。リサイクル品を新品まがいに売る店と、輸入商品の店である。
リサイクル商品が通常の商品より安いのは当たり前だが、商品の数は正規ルート品の数%を超えないのである。これが国民経済のトレンドだというのはまやかしである。
一方の輸入商品が激安なのは、国民経済を揺るがす重大な事実である。中国製品を中心とした激安製品の国内流入こそが、私が繰り返し指摘しているスタグフレーション現象の主たる原因なのである。これは、世界経済の津波現象となってこれまでに建てられた経済の金字塔をすべての見込みなぎ倒しているのである。古いレジュームは壊されて新しい世界経済の秩序が確立されるまで、この圧倒的で破壊的な力は、何度でも押し寄せ、これまでの権威を飲み込み流し去ってしまうのである。
インフレもデフレも、経済学の世界では国民経済の内側で起こる現象と理解されている。貨幣が生産物の価値以上に国内に流通すればインフレになり、不足すればデフレになる。国家の貨幣の番人である国立銀行(日本では日銀)が貨幣の供給量を調整すればインフレもデフレも克服できるとしたのが、40年前までのケインズなどの経済学であった。しかし、経済が国家の壁を越えて成立してしまったここ50年の間に、国内経済の理論では対応できない現象が起きたのである。海外から格安の商品が流入するなどの、外的要素が国民経済を揺るがす事態である。国内のメーカーには値下げの限界があり、まともに激突すれば海外製品との価格競争に敗れてしまうが、さまざまな事情(食の安全性問題、日本人の嗜好に合わないデザイン性、・・・)で海外製品が流入しない商品群の価格は下がらないのである。こうして消費者が手にする商品の平均価格は下げ止まる。
一方、巨大な資本を擁する国際的流通マフィアたちは、弱った国内メーカーを資本の買い占めなどで傘下に収めると、国内メーカーの製品を海外メーカーと競わせることによって安く買いたたいて、下げ止まった価格で国内市場に提供するのである。流通マフィアたちは基本的には無国籍で、国家に束縛されないアウトローである。メーカーを買いたたいて消費者には高く売りつける、この収奪の構造こそがスタグフレーションなのである。このような暴力的な市場支配が行えるのも激安海外商品が国内市場を弱体化させているからでである。
メーカーは利益が細り流通マフィアたちによる「活かさず殺さず」政策に甘んずることになり、雇用に回る資金も不足しがちなので国内の平均給与もじわじわと下がりつづける。一家の経済の担い手たちの給与が下がるほどには商品の価格は下がらないので、消費者は相対的には相変わらず高い買い物をさせられているのである。
これまで比較的裕福だった国は、疲弊する国民と疲弊する生産者ばかりの国になり、生産者を買いたたいて消費者に高く売りつけている流通マフィアたちは差益を株式配当などで確保すると国外にどんどん持ち出すという構造になっているのである。
繰り返すが、日本経済はスタグフレーション対策を中心軸に据え、生産技術の飛躍的革新をてこに、回復を目指さなければならない。これまで取り残されていた第一次産業はすぐにでも生産技術の飛躍的改善が進むだろう。工場製品においては、いわゆる「高付加価値商品」が出てこなくてはならない。
たとえば、山形の織物工業ではオバマ大統領夫人が身に付けたモヘア生地生産会社が活況を呈している。他国からの参入を許さない特異な技術も大切である。多くの場合は、革新的な技術がその担い手になる。マグロやサケの養殖、植物工場はその代表例である。山形の織物工場は、行き詰まった古い織物工業が経営イノベーションを進める中で伝統的な日本の職人技を活かした好例である。
日本の経済は、自力活性に向けてすでに動き出している。もはや、政治を待っているわけにはゆかない。我々は、もう勝手に走りだすしかないのである。
われらは、もう一度、孤立を恐れずに、駆けださなければならない時代に直面しているのである。
さあ、老若男女を問わず、われと思うものは、駆けだそう。あたらしい時代を切り拓こう。

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琵琶

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