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国家にとっての「利益とコスト」と事業者にとっての「利益とコスト」との間--情報社会学、予見と戦略(37)

2011/03/25
国家にとっての「利益とコスト」と事業者にとっての「利益とコスト」との間--情報社会学、予見と戦略(37)

人類社会と国家と民族がどのような位置関係になって行くかについては、しばしばプログに書いてきた。http://bit.ly/i0oGhJ
それとは別に現行の国家は、政策決定にあたって国民の利益と国民のリスクを天秤にかけなければならない。国民の利益と言うと「手当がいくらか」などという目先の金額に矮小化してしまう向きもあるが、国家の考えるべき国民の利益は、国民の生命財産を守ることと国民の未来永劫の繁栄が優先である。何らかの政策を決定する際には、利益とともにこれに伴うリスクを考えねばならない。国家の考えなければならないのは社会的リスクとそれに伴う社会的コストである。
原子力発電は、今回の事故ではっきりしたように大きな社会的コストを払うリスクが常に伴っている。社会的インフラとしての利益も大きいが社会的リスクとそのコストも莫大である。国民の命と財産の多くを失い、これを保障し、もとにもどすためには国家の財政を傾けてかつ何世代もの努力と時間が必要である。
原子力発電のような社会的インフラを造る際に利益とコストを東電などの事業者に判定させれば、基本的には「売り上げ利益と製造原価」しか考えないであろう。事業者の視点は、「国民の利益と社会的コスト」を考える国家の視点とは全く別のものである。
しかし、1946年以降、「国民の利益と社会的コスト」と「売り上げ利益と製造原価」をごっちゃにしてきたのが日本の実情である。
この点をはっきりさせない限り、この種の事故は必ず再発する。まだ、直面する火急の課題が解決していない。まだまだ余裕はないが、今後は一歩下がって、「国民の利益と社会的コスト」と「売り上げ利益と製造原価」の違いをはっきりさせてゆくことが必要である。もちろん、これらの中間には、NPOなどの社会的インフラと社会的コストをになう者もいるので、これらをよく整理しなければならないだろう。
れらを冷静に判断してこそ、具体的に今日本の福島に原子炉が必要か不要かが議論できるものと私は考えている。
原子炉も一つの道具であり、使って具合が悪ければ直すか、辞めるのが妥当である。直して使えるなら使ってもよい。しかし、社会的コストが合わなければ辞めるべきであり、社会的コストよりも利益が勝るならやるべきである。
悲劇は、社会的コストを基本的に事業者に押し付けるという国家の姿勢である。事業者というものは商法の原則に立って製造原価以外のコストは考えないのが正しいのである。人命コストに対する対策費などは例外的な処理となる。ましてや町や村がなくなった際の社会的コストなどは商法の範囲を超えている。国が補助金を払うくらいで済む話ではないのである。事業者からすれば責任を持てというなら、国庫をそのままくれ、くれないなら責任は取れないという、無責任が発生しかねないのである。こうして、今は、まさに事業者だけでは責任は取れないので、国家(国民)が責任を負う事態になっているのである。
社会的インフラ全体に共通する問題であり、国家にとっての「利益とコスト」と事業者にとっての「利益とコスト」の区分をしっかりしてゆく必要性を感じる。
国家は、社会的リスクとそのコストを引き受ける覚悟なしに政策を決定すべきではない。社会的リスクとそのコストを引き受けてなお利益があるのであれば、国民に細部まで情報を公開して納得してもらうべきである。

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琵琶

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