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「厳罰化」は事故に見せかけた犯罪の抑止に効果があったか--妻が、車に撥ねられる(20)

2008/01/08
「厳罰化」は事故に見せかけた犯罪の抑止に効果があったか--妻が、車に撥ねられる(20)

このシリーズの前回の記事は昨年の1月19日に書かれている。
交通事故を装った犯罪の抑止へ--妻が、車に撥ねられる(19)
この記事では、平成13年に導入された危険運転致死罪などの適用条件が厳しすぎるため、適用される事例がほとんどなく、いわばザル法になっていたところを、適用条件を緩めて、明らかな故意や酒酔い運転については多くに適用しようとする改正であることが、指摘されている。
このことによって、私は、他の多くの皆さんとともに、交通事故や交通事故に見せかけた犯罪が減少することを期待していた。
そして、実際、昨年末の統計では、交通事故死が大幅に減少した

http://www.asahi.com/national/update/0102/TKY200801020067.html
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アサヒコム
昨年の交通事故死者数、54年ぶりに5千人台に
2008年01月02日15時56分
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昨年1年間の交通事故死者は5743人で、前年より609人減ったことが警察庁のまとめで分かった。7年連続の減少で、死者が6千人を下回ったのは53年以来54年ぶり。同庁は「飲酒運転の厳罰化や国民の意識向上で無謀運転が減った」と分析している。
昨年1年間の交通事故は前年比6%減の83万3019件で、死者を除く負傷者も同5.8%減の103万4515人だった。死者数は過去最悪だった70年(1万6765人)の34%の水準。
飲酒運転による事故は昨年1~11月で6880件、このうち死亡事故件数は395件。ともに11月末時点での件数は、統計が残る90年以降で最少だった。
都道府県別で死者が最も多かったのは愛知の288人で、北海道286人、東京269人と続く。少ない方では(1)鳥取34人(2)島根42人(3)沖縄43人の順だった。
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「厳罰化」は、大変効果があったという分析記事でである。
しかし、このニュースだけでは、実は何もいえないのである。
交通事故の死亡率が減少してるのは、今に始まった事ではない。平成3年ころから減少が始まっているのである。「厳罰化」よりはるかにさかのぼることができる。
「交通事故被害者の支援 第2章 交通事故被害の実態」の「図-1-1-1 わが国の交通事故の発生件数と負傷者数および死者数の推移」
図1のグラフに示されている濃紺の折線が交通事故死亡率の経年変化を表している。

Photo
<図1>

これは、シートベルトの改良(衝撃時に締まる)やエアーバックの普及が進んだためで、運転手の死亡率が大きく減少したからである。
この事実を裏付けるグラフを次に掲げる。
次の図(図2)は、「社会実情データ図録」の「状態別死者数の推移」である。

Photo_2
<図2>

このグラフの赤い線に注目すると平成5年くらいからは、運転中の事故で亡くなる人の数は大幅に減少をしていることがわかる。一方、紺色の線に注目すると、歩行者の死亡者数は、なかなか減少していかないことが見て取れる。運転者の命を守るためのシートベルトやエアバックは発展したが、これとは無縁の歩行者の死者は減っていないのである。厳罰化で効果が期待されるのは、運転手の死亡率減少だけではない。交通弱者である歩行者の死亡率の減少が見られなければ本当に効果があったとはいえないのである。冒頭のニュースには、運転者の死亡数と歩行者の死亡数の合計が書かれているだけで、それぞれの死亡者数がどのように変化したのかはまったくわからない。いずれ、それもそう遠くない時期に歩行者と運転者それそせれの死亡者数が月別に明らかにされるだろうが、そのときに初めて「厳罰化の効果」が鮮明になるはずである。そのときまでは、しばし、冒頭に掲げたニュースは、もしかするとよい兆候かも知れない、というだけにとどめておくことにする。

さて、逆に、過去のデータを見るとかなりはっきりとしたある特徴を見て取ることができる。昭和62年、「厳罰化」とはまったく反対のことをしたことの影響である。
図2を見ると、赤い折線は、昭和62年を境にして、急速な立ち上がりを見せている。改良型のシートベルトやエアバックが普及し始める平成5年ころまでは、この高い死亡率は続いている。
昭和62年には、何があったのだろうか。次のグラフを見てほしい。
「交通事故被害者の支援 第2章 交通事故被害の実態」の「図-5 交通関係業過の起訴猶予率の推移(昭和42年~平成14年)」

Photo_3
<図3>

このグラフ(図3)は、事故を起こしても起訴されない率「起訴猶予率」をあらわしている。赤い折線が、交通関係の業務上過失致死傷の場合の「起訴猶予率」の経年変化を示している。昭和62年以前は、20数%が不起訴になるだけで、70%以上は起訴されていた。しかし、昭和62年ころからは、事故を起こしても、85%程度が不起訴になり、15%程度が起訴になるに過ぎなくなった。年々不起訴率は大きくなっていたので、妻が事故に見せかけた犯罪(と思われる事件)に巻き込まれたころは、10%程度の起訴率でしかなかった。しかも、起訴後有罪になるものは、そのうちのさらに10%程度なのだから、わずか100人に1人程度が罰せられるに過ぎなかったのである。
不起訴率が20%台から85%以上に増加したそのとき事故は一気に増加し、運転手の死亡率は増加したのである。
交通事故が多くて、警察の日常業務を圧迫するなどの理由で、(立法過程を無視して、法も変えずに)「緩罰化」(「厳罰化」の反対)した結果が悲惨な事故を増加されたことは間違いないのである。その後も、事故の件数はドンドン増えたのである。この事実に踏まえれば、「緩罰化」ならぬ「厳罰化」を進めれば、事故、とりわけ死亡事故は減少するはずということになる。
その結果は、本当はどうだったのか、警察庁の次の発表が待たれるところである。

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琵琶

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