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政府はいかに研究開発の支援によりイノベーションを興せるか-研究・イノベーション学会 国際ワークショップ--感性的研究生活(63)

2017/07/28
政府はいかに研究開発の支援によりイノベーションを興せるか-研究・イノベーション学会 国際ワークショップ--感性的研究生活(63)

1. 国際ワークショップの概要
2017年7月27日(木)18:00~20:35の予定で、「政府はいかに研究開発の支援によりイノベーションを興せるか」というテーマで、研究・イノベーション学会が主催する国際ワークショップが開かれた。
これは実に昨夜のことである。
たまたま、ネットで会の開催を知り、参加したものだが、驚いたことに、示し合わせたわけでもないのに慶応義塾大学の大岩名誉教授が私よりやや遅れてやってきた。大岩名誉教授は学生の頃からの先輩で、現在は私が事務局長を務める一般社団法人協創型情報空間研究所の代表理事をしている。彼も驚いたらしいが、私の姿を見つけると私と同じ机の隣に座って、私と一緒にこの会の報告と皆さんの発言を聞くことになった。

20170727

この会は、私にとって大きな刺激にもなったが、日本人研究者のイノベーションに対する認識水準の低さが目立ったという残念な思いが残った。
一方、海外の事例も多数紹介されたが各国の政治経済社会の苦悩がそのまま表れていることに内心手を打つ思いだったが、それはイノベーションすべき対象がそこにあるからなのである。
主たる発言者は下記のとおりであるが、司会者が文部科学省の課長補佐の方のようだったが、名前を記録しそびれた。会場で配布された資料にも、ネット上の資料にも課長補佐の名前はない。事実上、日本の国策会議であるが、そのことがあからさまにならないように司会者は黒子に徹しているのに違いない。
・Lennart Stenberg, Vinnova(主としてスウェーデンの事例報告)
・Michael Norton, Tokyo Institute of Technology (TITECH)(主としてアメリカの事例報告)
・Patarapong Intarakumnerd, National Graduate Institute for Policy Studies (GRIPS)(ドイツ、日本、オーストラリア、台湾の比較報告)
・Satoshi Sekiguchi, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)(日本の研究・イノベーション事例の報告)
・Kumiko Miyazaki (Moderator) , Tokyo Institute of Technology (TITECH)(モデレータ)

2. 各自の報告内容と率直な感想
(1)Stenberg
スウェーデンの事例報告をした Stenbergは、「外資の導入によるリスクヘッジ」を主に取り上げた。人口が小さくて産業界の規模も大きくない国なので国内資本だけであれば特定の資本が低迷した場合、直ちに経済がアウトになるが外資が散財すればこれを補うことがあり経済の安定につながっている。外資が国内に存在することで国内企業が外資から学んでイノベーションにつながることが多いというメリットを語った。
(2)Norton
アメリカの事例報告をしたNortonは、安定した大企業とベンチャー企業の橋渡しが大事て、その役割を大学がになっていることを指摘した。情報と技術の移転だけではなくて、有力なベンチャー企業が大手企業の傘下で潤沢な資金を得て急成長することで社会的イノベーションが速算されていると述べた。
(3)Patarapong
自身はタイ出身の研究者だが、ドイツ、日本、オーストラリア、台湾の比較報告をしたPatarapongは、主として台湾の主たる公共研究機関ITRIを主に取り上げた。ドイツFraunhofer、日本AIST、オーストラリアCSIRO、台湾ITRIがそれぞれ雇用している研究者は、ドイツFraunhofer22,000人、日本AIST2,900人、オーストラリアCSIRO5,200人、台湾ITRI5,800人で、断トツのドイツを除くとその次の数となっている(日本は最低)。台湾の特徴は研究所の敷地内に各企業の研究施設が作られており、一地域に多数の先進的な研究施設が密集しているということが非常に大きな力になっている。参加している企業は大手からベンチャーまで存在するが、ベンチャーから大きな企業に成長するものもあるし、大手企業からスピンOFFして優良なベンチャーになる者もいる。と紹介した。
いずれもイノベーション(「政治革命を伴わない社会変革」)とは何と言っても産業の刷新と発展のことであるととらえている点で共通している。
(4)Sekiguchi(関口)
日本の研究・イノベーション事例の報告をしたSekiguchi(関口)は、AISTの概要説明したのち、「研究・イノベーションと言えば予算の確保が大事だ」と述べ、民間からのAISTに投資される金額がドイツのFraunhoferなどに比べるとまだ比率的に少ないので民間からの投資を計画的に増やしていただきたいと執拗に述べた。彼の頭の中にはイノベーション(政治革命を伴わない社会変革)に対する国家研究機関としての責任感というものがまるでないことがよくわかった。自分たちの研究予算を多くすることにだけ関心があり、"成果の上がらないAIST"と産業界から揶揄されていることに対する意趣返しの発言にとどまったようにしか私には聞こえなかった。
(5)Miyazaki(宮崎)
その後、バネル討論会になったが、モデレータの宮崎教授の質問もつつがなく進んだが、最後の質問がよろしくなかった。パネラ全員に対しての質問であったが「研究・イノベーションは、上からトップダウン、つまりニーズから行うべきか、ボトムアップ、つまり研究成果から行うべきか」というものだった。この質問が心地よく感ずるのは日本の堕落した研究者だけだろう。
Stenberg, Norton, Patarapongらは、あきれ顔に、口々に「我々(各国の主たる公共研究機関)の研究の目標は目先の課題を追うものではない」「もっと大きな国家的または社会的な課題 "例えば温暖化にいかに対処するか" などから導かれるものである」「目標のない研究はないので、目標のない研究からイノベーションが起こることはない」などと説明した。宮崎教授はなぜ自分があきれられたのか、まったくわからないようだった。いな、あきれられたという事実も感じなかったのかもしれない。

3. 「イノベーション」について
もっとも日本人以外の研究者は「研究によるイノベーション(研究による政治革命を伴わない社会変革)」を取り上げていたのに対して、日本人は二人とも「社会変革のない研究費拡大」を取り上げていたように思われる。
「イノベーション」という言葉の意味が日本人研究者にはそもそもわかっていないように感じた。
少し古い記事だが、下記を参考にされたい。
"イノベーション" は "テクニカル・イノベーション"か 「イノベーションと独創力(1)」--独創力の創り方(20)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2009/08/--20-d42b.html
「イノベーション」とは、もともとはオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターが定義したものであるが、多くの経済学者・社会学者・哲学者に影響を与えた。ヨーゼフ・シュンペーターは経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合することと定義した。イノベーションによって、「新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨、あるいは新しい品質の財貨の生産」「新しい生産方法の導入」「新しい販路の開拓」「原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得」「新しい組織の実現」などがあるとした。文明評論家とも評される分析哲学者バートランド・ラッセルは、この言葉を世界に広げた人物だが、彼にによれば「政治革命を伴わない社会改革」のことであり、「技術革新」を意味していない。
日本人以外の3名は、それらの意味を十分踏まえていることが感じられるが、日本人2名はあくまでも「研究拡大」のことと勘違いしている。
この学会は、国際会議を初めて開いたようだが、もっと諸外国の皆さんから学ぶべきである。昨日の会議がさらに充実し「求められる社会改革を実現する研究はいかにあるべきか」という議論に高められることを切に祈るものである。

会が終わったのが21時、大岩先生が「まだ夕飯を食べてないんだよ」とのたまうので、会場の近くを散策してみると赤い看板、黄色い看板、、、といろいろあって、目移りしたが、「目利きの銀次」にした。学生たちとときどきは行くことがあったチェーン店だが、安いなりにおいしく食べさせて飲ませてくれる。ここで、イカゲソのから揚げとイワシのワタ焼きをつまみに大岩先生は焼酎を二杯召し上がってからまぐろと納豆ととろろのどんぶり、私は車の運転が控えているのでウーロン茶とまぐろ2種盛をいただいた。おなかはいっぱいになったが、店は賑やかで大岩先生には少しお辛かったかもしれない。少し静かな喫茶店を所望されたので、心当たりを2軒、いずれも閉店直前で入店できず、駅の反対側に回ってルノアールを見つけた。ルノアールはたいてい23時までやっているので、やれやれである。23じぎりぎりまで話し込んでお開きとなった。


当日の公開プログラム配下のとおりである。

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△次の記事: 感性的研究生活(64)
(準備中)
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琵琶

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アブダクション考--第132回次世代大学教育研究会--感性的研究生活(62)

2017/07/23
アブダクション考--第132回次世代大学教育研究会--感性的研究生活(62)

1. 第132回次世代大学教育研究会
7月15日(2017年)土曜日 10:30-20:30 早稲田大学8号館3階303/304/305会議室で「第132回次世代大学教育研究会」が開かれた。
夕飯代1500円だけは徴収されたが、お昼の軽食は無料ということで、実にコストパフォーマンスのよい研究会なのには驚いた。
しかも、発表内容はどれも水準が高いので、大いに満足した。
私は初回の研究会以来会員なので、長いお付き合いのある研究会である。100回目を超えるあたりまではほぼ毎回参加していたが、私が教習所の社長を引き受けてしまったために極端に時間が無くなってからは、たまにしか参加していない。今回は、久しぶりに、主催者の阪井明大教授と原田早大教授からお誘いを受けたので、単なる聴衆の一人として参加することにしたのである。
冒頭の阪井教授による【招待講演】「後知恵バイアスが隠蔽する創造性:組織文化の創発と戦略行動の創発」がズシリと重いものだった。私がいない間にずいぶんと進化していた。
講演の主たる骨子は、「(たとえば)コロンブスの卵」の際に彼以外の観衆たちの後知恵に流されるとコロンブスがやって見せるまでは誰も気づかなかったことにコロンブスが気がついた「創造の過程」が押し隠されて、見えなくなってしまうという警告であった。
阪井教授による【招待講演】「後知恵バイアスが隠蔽する創造性:組織文化の創発と戦略行動の創発」
10年ほど前の阪井先生らの発表には、見られなかったヒトの推論課程が3つ、定番通りに取り上げられていた。①演繹推論、②帰納推論、③アブダクション、の3つである。
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共鳴場の理論や焦点(意味)などの通俗的な意味付与は、この研究会の常連参加者の一部にいらっしゃる趣味の方へのリップサービスにすぎないだろう。
おおむね、わくわくしながらお話を聞くことができた。
その他の発表では、次のようなものが心に残った。
・バネル発表
P01: クラウドを使ったネイティブランゲージの読解方法:北欧フィンランドとスウェーデンの事例から
上松恵理子(武蔵野学院大学)
P02: インクルーシブ社会を考える青年のネットワーク構築にむけての試み
片田房(早稲田大学)・萩原碩(早稲田大学・院生)
・口頭発表
「創造性における”ツァイガルニク効果”」について--家本修教授(大阪経済大学)
グローバルキャリアとジェンダー:日本語普及活動に携わった国際ボランティアのキャリア形成支援--平畑奈美准教授(東洋大学)

2. 大脳の働きと人工知能
私は、今、人工知能の発達の次のステップについて、いろいろと思いめぐらせている。今は、ディープラーニングの時代(人工知能の第三次ブーム)だが、ブームの陰で見逃されている研究開発の行く手を阻む深い深い淵がある。彼方を見れば、かろうじて見えるような見えないような対岸のその向こうにもまた 大きな淵があるらしい。
第一次ブームでは推論の自動化が大きく進んだ。これは私の仮説に従えば、大脳新皮質の前頭葉運動野と頭頂葉の協働的な働きをまねたものに違いない。
第二次ブームでは知識工学が叫ばれ知識データベースが重視された。これは頭頂葉と側頭葉の協働的な働きを模したものに違いない。
第三次ブームでは、後頭葉と小脳の働きの共通性に着目してそれぞれの真似をしたものになっている。小脳は大脳に比べて遅れた愚鈍な神経器官であるように思っている一般人も脳科学者も多いが、それは常識のウソというものであり、実は小脳こそ人間の知識獲得の主役なのではないかというのが私の仮説である。
いま、このブームの陰に隠れている気がかりな一番大きな淵は、後頭葉や小脳で行っている画像抽出や知識獲得が「概念化」するプロセスが実装されていないことである。画像の特徴や囲碁の盤面を見て次の打つ手を見出すことができても、それらに名前を付けて対自化したり、大脳新皮質の前頭葉、頭頂葉、側頭葉で扱うことのできる概念にする方法が見つかっていないことである。特に、小脳と大脳をつなぐ部分には小脳虫部という狭い管があり、たくさんの神経細胞が束ねられている。ここに損傷があって狭くなるなどの障害があると人間はアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラムになることが知られている。
いま、人工知能は、この小脳虫部の働きを解明することができずに、理解できたことを概念的に整理することもできず、名前を付けることもできずに言葉にすることができないという隘路に陥っているのである。いわば人工知能の自閉症的限界という病気になっている。
悩むことは他にもある。たとえば、いわゆる弁証法的な思考の飛躍(アウフヘーベン)を人工知能に取り入れることができていないのである。

3. アブダクション考
さて、阪井教授の発表にある「アブダクション」であるが、思考の壁にぶつかり正解が得られなくてもがき苦しんでいるようなときに、ふとよい仮説を思いついて「ひょい」とその壁を乗り越えてしまうことを意味しているようである。
面白い話であるし、実際そのように感じられる出来事は日常的に多い。
(1)ヘーゲルの弁証法とアブダクション
実は、ふとよい仮説を思いついて「ひょい」とその壁を乗り越えてしまうようなことについて、アリストテレスがアパゴーゲーと述べているが、英語ではアブダクション(abduction)とされた。現代になって、主にこれを取り上げたのはチャールズ・サンダース・パース(アメリカ、功利主義、1839年9月10日 - 1914年4月19日)で、演繹(deduction)、帰納(induction)のほかに第三の方法としてアブダクション(abduction)があると主張した。
これは、ヘーゲルの弁証法の一つの局面を別表現しているものなのだろうとぼんやり考えていたら、同じ問題に気づいた人がいらして、これをブログに書いていた。この人はなかなかの方である。
t01307kkさん, kinjoblog
創発と弁証法とアブダクション
これによると孫引きだが、パース自体、ヘーゲルの弁証法に影響されてこの概念を取り上げているらしい。
(2)「アブダクション」または弁証法のアルゴリズム1--因果ベースまたは事例ベース推論
さて、文化論として「アブダクション」を扱っている限り、「ふとよい仮説を思いついて「ひょい」とその壁を乗り越えてしまう」で十分なのだろうが、まさか「ふと」とか「ひょい」とかをプログラムすることはできない。
人工知能の研究開発をする立場の私から見ると基本的なアルゴリズムが何も明らかになっていないことに大きなフラストレーションが感じられてならない。
「思考の壁にぶつかり正解が得られなくてもがき苦しんでいるようなときに、ふとよい仮説を思いつく」プロセスは、いったいどんなものだろうか。私は考えた。
「思考の壁にぶつかり正解が得られなくてもがき苦しんでいるようなとき」とはどんなときだろうか。例えばあるプログラムの実行結果が予期していた結果と異なる場合、デバックという作業をするようなときがそのまま当てはまる。企業活動で戦略戦術を立案して実施したが成果が上がらないので戦略を立て直そうとする場合などもこれに当たるだろう。
「思考の壁にぶつかり正解が得られなくてもがき苦しんでいるようなとき」、例えば私だったらどうするだろうか。
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①素材の入れ替え法
・結果に結びついているであろう事柄の素材要素を入れ替えて思考シミュレーションを繰り返す。
・片端から入れ替えて、少しでも正しい結果に近づく素材があれば、それを残して次の素材を他のものに入れ替える。
・だんだんに正しい結果に近づくが、関係する素材要因が多いとたいそうな時間がかかることもある。
・最終結果から逆順に、この結果を得るためには直前には、この結果とこの結果を受け取っていなければならないという一段階前の素材を決定してゆくと処理時間はかなり縮めることができる。
②プロセス(または因果関係)入れ替え法
・素材の入れ替えだけではうまくゆかない場合は、全体のプロセス(または因果関係)の部分プロセス(または因果関係)を入れ替えてみる方法もある。場合によっては全部のプロセス(または因果関係)を他から流用して入れ替えるとうまくゆくこともある。多くの場合はその部分プロセス(または因果関係)のいくつかを取り換えて正解に近づくようにしてゆく。
・最終結果から逆順に、この結果を得るためにはその直前の結果を受け取っていなければならないという一段階前のプロセス(または因果関係)を決定する。次に決定した直前の結果のその前の結果はいかにあるべきかを決定してゆくという具合に、次々と前にたどってゆくと処理時間はかなり縮めることができる。
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おそらく①と②は別々に行われているのではなく同時に行われているに違いない。
素材とプロセス(または因果関係)を組み合わせた因果関係および事例のデータベースをしっかり持っていれば、演繹でも帰納でも説明できない、ある種の解決が図られることになるのである。
一人の頭脳の中だけでは因果および事例データベースのサイズは限られる。仲間がたくさん集まってあれこれと言い合えば役に立ちそうな因果関係ベースや事例ベースは一気に増えるだろう。「3人寄れば文殊の知恵」かもしれないし、これを神秘主義的に表現したければ「共鳴場効果」と言ってもよいかもしれない。
(3)「アブダクション」または弁証法のアルゴリズム2--概念と因果関係または事例生成仮説
さて、これで解決というには、実は問題はもっと複雑である。
ここで、すでに存在する因果関係ベースまたは事例ベースと表現したものは大脳新皮質で整理された知識の一種である。人間は、そんなものだけで創造の跳躍を成し遂げているわけではない。
どのように理性をもって考えをめくらせても答えが得られない高いハードルにヒトは直面すると目覚めては逡巡し、寝ては夢見たりする。と悩むうちにある日風呂の中で思いついたり、夢の中で解が得られたり、日向ぼっこしてうとうととした瞬間に「そうだ」と手を打ったり、深い眠りから目覚めたら、なんと答えが鮮明に脳裏に浮かんでいたりするではないか。これは神かがりなのだろうか。神がかりだと言い張る人もいるだろうが、私にはそう思えない。ヒトの脳の生理的活動にその理由があるように思える。
ヒトは大脳新皮質に救い上げた知識と観念を自覚的に取り扱うこと(形而上的思考)ができるが、辺縁部にある知識と観念になるとすでに言葉にすることすら難しい。ましてや後頭葉や小脳、間脳、中脳、延髄、その他神経器官の神経活動になると通常の意識にすら上がらない。ヒトは経験を積みヒトとして熟達するにつれて、脳裏に刻まれた知識、観念、事例的記憶、エピソード記憶、知識のネットワークが形而下の知能として豊富に蓄えられている。これらの形而下の知能は繰り返し利用できる知恵の宝庫である。意識下のこれらの能力が活用されて海馬を経由して大脳新皮質に移されるのは主としてヒトが睡眠をとっているときである。特にレム睡眠時に多くのことが行われるとされている。うとうとと寝ているような覚めているような醒眠相半ばしている状態のときはこれである。お坊さんがヨガ(座禅)で真理にたどり着くように、科学する人たちも醒眠相半ばしている状態で解またはそのヒントを得たり、睡眠中に得た知恵を目覚めて発見することがあるのである。これは神がかりではない。脳の本性を巧みに利用した脳の活用法なのである。
解を求めて悩むことが原動力となって、形而下に隠されていた膨大な体験情報の中から新しいルールや概念をが救いあげられるのである。救い上げられた新しいルールや概念が新たな因果関係または事例として加わることによって解決に至ることもあるのである。
(4)概念と因果関係または事例生成のアルゴリズム
人間はお坊さんのように意識的に、または一般人のように無意識的に新しい概念や事例に関する知識が大量に生成できる。しかし、その機作はわかっていない。後頭葉や小脳にある膨大な神経細胞の知恵のネットワーク(ニュ―ロネットワーク)には、経験を積めば積むほど確かに何かが刻印されてゆく。しかし、その刻印が「なぜ」「どのようにして」ひとまとめにして概念化することができるのかについては現在の脳科学は教えてくれない。脳科学よりも常に一歩前を進んでいる人工知能の研究者もこの分野では誰一人仮説すら出していない。問題意識すらないのかもしれない。
この分野で新しいよいモデルを提案した人が次の人工知能ブームの牽引者となるに違いない。
(5)モデル構築とアブダクション
アブダクションと似ているが異なる行為に「モデル構築」と言われるものがある。
「モデル構築」の定番のアルゴリズムは次のとおりである。
・目覚ましい最終結果や思いもよらない最終結果の属性を調べて、知りうた限りの属性を原因と仮定する。
・その原因を適宜組み合わせて仮のモデル(仮説としての素材とプロセス)とする。
・モデルを使用して同じ最終結果が得られれば(モデルの検証に成功すれば)、モデル構築が正しくできたことになる。モデルの検証に成功すれば、問題の解決は終わりであり、アブダクションや弁証法の出番はない。クリティカルシンキング(形式論理学のようなもの)の成功である。 
・逆に、そのモデルを使用して同じ最終結果が得られなければ、モデル構築に失敗している(たとえば何かの条件が足りない)ことになる。足りない条件を探すのはこれまで述べたアブダクションだろう。
この考え方は、逆は必ずしも正しくはないが、あえて逆をたどって原因に接近しようとするもので、抽象化-具象化の階段を演繹で下ったり、具体的な事実から抽象概念へと帰納法で登ったりする思考過程に沿うもので、モデル構築の第一段階で失敗しても、アブダクションしなければならない範囲をきわめて小さな範囲に限定することができる場合が多いので、知的な労力が少なく済むのである。

当日の研究会の概要は以下の通りでした。
==================================
日本ビジネスコミュニケーション学会2017年度年次大会(ABCJ-2017/07)
合同開催
第132回次世代大学教育研究会(NextEdu-132) + 教育の国際化研究会(IE-2017/07)
2017年7月15日土曜日 10:30-20:00
早稲田大学(早稲田キャンパス)8号館3階303/304/305会議室
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大会プログラム

充実した一日でした。お誘いいただいた阪井先生原田先生、素晴らしい発表をしていただいた皆様、本当にありがとうございました。


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琵琶

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哲学する・日本語する授業事例: DATABASE篇-第19回SEA教育事例研究会--感性的研究生活(61)

2017/07/08
哲学する・日本語する授業事例: DATABASE篇-第19回SEA教育事例研究会--感性的研究生活(61)

7月8日(2017年)、SEA事例研究会で、私が行ってきたデータベースの授業事例を報告させていただきました。
SEAとはソフトウエア技術者協会という全国組織です。一時は数千人を要する大組織だったようですが、日本のソフトウエア産業の衰退に伴って縮小傾向となっています。とはいえ、伝統ある団体で、高度な報告もあり、民間の技術者の知的交流団体としては最高水準のものです。

私の発表は「哲学する・日本語する授業事例-DATABASE編」というタイトルでした。
取り上げる多くの事柄は、良い教師ならば必ずするような工夫の飯箸バージョン(バリエーション)ですが、他の教師がやりそうにない点が2つあると前置きさせていただきました。
・哲学を教える(データべ―スの授業なのに?!)
・日本語プログラミング言語(スクリプト)を使用する(そんなの市販されているの?!)
哲学については、現代の子どもたちは哲学から遠ざけられていることが、学習を困難にしている事実と半ば手遅れ状態の無哲学学生に必要最低限の哲学を事実に即して教えながら授業を行った実践事例を紹介しました。この紹介は、私の後で発表する中本氏の「モンテソーリ教育」への導入にもなっており、幼児からの哲学教育の必要性と可能性を大きく示唆するものになりました。
また、日本語プログラミング言語についは、次のように説明しました。日本人にとっての「高級言語(低級言語=マシン語の対語)」は日本語のプログラム言語であり、現在普及している英語風プログラミング言語ではないことを指摘しました。私は「日本語のプログラム言語サミット」を何度も開催するなど、その普及に努めてきましたが、残念なことに日本語のプログラム言語の普及に成功しているとは言えない現状があります。実は、市販されて最も普及している隠れた日本語プログラム言語(MS-ACCESSの日本語マクロ)があることを紹介し、これを授業実践に投入して、コマンドの丸暗記を不要ものにしてアルゴリズムと情報デザインに学生たちを注力させることに成功しているという報告をしました。

スライドを公開いたします。

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当日の研究会の概要は以下の通りでした。
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第19回 SEA教育事例研究会2017
-教育改善の事例研究と未来の教育展望についての討論-?
主催:ソフトウェア技術者協会(SEA)教育分科会(sigedu) 
共催:熊本大学大学院 教授システム学専攻
----------------------------------
教育分科会では、毎年初夏の時期に教育の実践報告や最新教育連の情報交換 など を中心とした研究会を開催しています。今年も、人材育成やパフォーマンス向上 につ いて新しい取り組みを実践されている方、教育工学に基づき教育の最新技術を研 究さ れている方、ユニークな教育展開をされている方、また担当の教育に問題を抱え て悩 んでおられる方が集まり、さまざまな実践事例や改善方策について集中討論会を 行います。

1.日時:2017年7月8日(金)13:30 - 18:00

2.場所: キャンパス・イノベーションセンター東京 熊大オフィス
  東京都港区芝浦3丁目3番6号
  JR山手線・京浜東北線田町駅 芝浦口(東口) 徒歩1分
  都営三田線・浅草線三田駅 徒歩5分(アクセス方法は下記)
  http://www.cictokyo.jp/access.html

3.プログラム

 1) 河村一樹(東京国際大学 教授)
 2) 君島 浩(三島市、元海上自衛隊)
 3) 若山 昇(帝京大学教授)
 4) 飯箸泰宏(一般社団法人協創型情報空間研究所 事務局長)
 5) 中本 浩之(彩考電算システム社長)
 6) 鈴木克明(熊本大学教授)
 7) 米島博司(パフォーマンス・インプルーブメント・アソシエイツ)
 8) 篠崎直二郎(法政大学理工学部)

4.定 員: 15名(※事前意思表示優先)

5.参加費(2泊3日フルセッション参加時)

  SEA 正会員: 1,000 円
  SEA 賛助会員: 2,000 円
  一般: 3,000 円
  学生: 1,000 円

6.スタッフ
 実行委員長 : 米島 博司(ハ?フォーマンス・インフ?ルーフ?メント・アソシエイツ)
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懇親会は、新橋の「ニュー加賀屋」。ほぼ全員が電車で移動して参加しました。
楽しい一日でした。


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ビジネスモデルに関する講演とワークショップ--第56回IT勉強宴会in大阪--感性的研究生活(60)

2017/06/17
ビジネスモデルに関する講演とワークショップ--第56回IT勉強宴会in大阪--感性的研究生活(60)

ずいぶんいろいろな勉強会や研究会があったが、記事にはしてこなかった。忙しかった、つまりは心(立心篇)が亡かったのである。
6月17日(2017年)、「第56回IT勉強宴会in大阪」でシステム技術者とシステムコンサルタントの皆さんにビジネスモデルに関する講演とワークショップを行った。演題は「脱皮するSE--ビジネスモデル編」とした。ただのSEプログラマで終わるな、と私からはメッセージを送りたかったのである。
この会は佐野初男さんとおっしゃる方が主催するシステム技術者の勉強&宴会の集まりということだ。佐野さんは元NECシステムテクノロジー 部長、今はテ株式会社テラスカイの Consultantとして勤務されているとのこと。ネット上でお誘いを受けた。「テーマはビジネスモデル。聴衆はSEプログラマで、何も知らない学生みたいなものです」とのことで、比較的気楽な気持ちで大阪に出かけることにした。なにしろ会の名前が「××宴会」というのですから、楽しくないわけはないだろうというわけだ。
会場に到着してみると参加者の多くは部課長クラスの40代から50代のシステム技術者とシステムコンサルタントの皆さんでした。ありゃりゃ、騙されたかなと思ったものの、もはや手遅れです。用意したスライドはシステム技術者2-3年程度の経験者(未熟練技術者)を想定したものですから、ちょっと、ターゲット層が若向き過ぎたようで、冷や汗がじわり。ままよ、とばかり、始めてしまった。
ワークショップの本番の前に練習を一つ行うことにしました。聴衆は15名でしたので、5人ずつ3つのチームを作って競い合っていただきます。
私が指定した3つのビジネスモデルをそれぞれに解説するプレゼンテーションシートを作成して、班ごとに発表していただきました。発表を聞いて、一人2票の投票権をこうしてもらってどの発表が良かったかを決定します。一位にはお菓子のご褒美があると言ったとたんに皆さんの目の色が変わって、大いに盛り上がります。

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本番のワークショップでは、各班別に自分たちがこれから取り組むビジネスモデルを作って、篇別に発表するというものでした。この課題では、「企業理念」や「経営戦略」も配慮してビジネスモデルを創案するというかなり高度な課題になっています。しかし、さすがです。熟達のシステム技術者の皆さんとシステムコンサルタントの皆さんは、タイトな時間内にみごとな発表をしてくれました。拍手拍手。皆さんの満足げな顔がとても印象的でした。

勉強会の後には、お待ちかねの宴会です。株式会社テラスカイの大阪事業所が入るビルの地下1階の「九州 熱中屋 新大阪 LIVE」画素の会場でした。サバのお刺身と鳥のから揚げが、抜群においしかったです。日付は変わっていましたが、終電のあるうちに自宅には帰れました。松戸と大阪は遠くありませんね。
佐野さんをはじめとして会の皆様には大変お世話になりました。会の後の宴会のお料理が大変おいしく、皆さんとのおしゃべりも楽しく過ごさせていただきました。
ありがとうございました。

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琵琶

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火葬を終えて--我が家の愛犬様(36)

2017/07/02
火葬を終えて--我が家の愛犬様(36)

昨日、無事、火葬が終わって、愛犬様のお骨を自宅に持ち帰りました。
息子と私の時間の会うときに、庭に埋葬する予定です。

愛犬様の名前は、家族と近隣の方以外には、これまで明らかにしてきませんでした。
ワンコの名前は「ピーパ(peepaa)」、漢字で書くと琵琶です。楽器の名前であり、私のネットネームになっています。
しかし、もともとは黄色い実のなるビワを指す名称です。
楽器の琵琶は、日本と違って、中国ではもっともっとずうっと小さな弦楽器が主流です。
形が琵琶の実に似ていることからその楽器は琵琶と名づけられたそうです。
愛犬様を飼い始めて7年目のころ、長崎の琵琶の実のタネを我が家で発芽させ、 その芽を植えて琵琶の樹を庭で育てています
背丈は私をやや超える大きさになりました。あと7-8年ほどすれば実がなるかもしれません。
この琵琶の樹の根元にワンコの骨を埋めるつもりです。
ワンコのピーパ(琵琶)は、樹木のピーパ(琵琶)の一部になると思います。

いつも、ペットが亡くなると、もう二度と飼うまいと決意するのに、2-3年すると新しいペットを飼い始めてしまいます。


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(準備中)
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琵琶

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2017年6月30日永眠--我が家の愛犬様(35)

2017/07/01
2017年6月30日永眠--我が家の愛犬様(35)

昨日、我が家のワンコが亡くなりました。
本日、ペットの火葬場にて火葬して、庭に埋葬します。
天寿(15歳9か月)を全うしての大往生でした
甲斐犬の寿命は12~16才程度とされていますので、たいへん長寿だったとも言えます。
今年に入って様々な病気を多発しましたが、老衰故の抵抗力低下が原因だったと思います。
私の心臓マッサージで一度は鼓動が戻りましたが、自発呼吸が戻らず、2分ほどで鼓動も再び停止してしまいました。
今はまだ自宅のダンボールで作った仮のお棺に愛犬様は眠っています。近所のスーパーで買い求めたたくさんの氷の袋をそのまま大きなビニル袋に入れて愛犬様の上にかけてあります。
まもなく、お迎えの車が来るはずです。
以下には、FBでの記述を複写しておきます。

<6月30日午前2時ころの様子>=======================(3時1分記)
我が家の愛犬様が、食事をとらなくなってすでに45時間くらい経過しています。最後に食べたのは、その前の食事から24時間後に鶏肉15グラム程度(煮鳥を小さめの賽の目にしたもの)でした。寝たきりになってしまった愛犬様の舌先に一粒ずつ載せたり、歯と歯の間から差し込んだりして食べさせました。
その後は、好物を手を替え品を替えてやってみましたが、口を堅く閉ざして食べてくれません。
1時間に1度程度は水を欲しがって、寝たまま力なく吠えて人間を呼びます。抱えて水の容器まで連れて行っても立つことができませんので、胸の下に手を入れ、肩を支えて、宙吊りのようにして飲ませます。
目もほとんど見えていないようで、水の容器の縁から舌が外れてしまうこともしばしばです。
2時間に一度くらいはおしっこをしたがって同じように小さく吠えます。水なのかおしっこなのか、見分けを間違えて水だけ飲ませて寝かしつけてしまうと、寝たままおしっこをしてしまいます。寝たままおしっこをしてしまうと、玄関の中にしつらえてある愛犬様の寝床を全部捨てて、水で洗い流して、新しい敷物を敷きなおさなければなりません。おしっこに気がついてうまく外に連れ出すことができても、歩けませんから、草むらに抱えてゆき、両足が地面に触れるように宙吊りにしてあげると上手におしっこをしてくれることが多いようです。人が手を離すと、ドタンと倒れてしまいます。
直近24時間では3回、寝たきりシッコをしてしまいました。そのたびに大掛かりな作業になってしまいます。
たった今、午前2時ころ、愛犬様が悲しい声を上げたので、家族が一斉に起きだしてそばに行くとおしっこをしてしまっていました、愛犬様はおしっこのたまりの中に体が浸かった状態でした。愛犬様を玄関の外のタイル張りに臨時の簡易ベッドを作って出して、キッチンペーパーで体を拭き、水をスプレーしてキッチンペーパーでまた拭くという作業を繰り返します。最後は薄い消毒剤と臭い消しを体に掛け入念にふき取ってあげます。風呂に入れるほどの体力はもうありません。玄関内の敷物は全部捨てて、床は水で流して、扇風機を当てて乾かして新しい敷物を敷き詰めて、もう一度愛犬様を抱えて、玄関内の寝床に入れてあげました。
この記事を書いている間にも、また水を要求し、水を飲ませました。さらに吠えるので、抱えて外に出ましたが、草むらの中で支えていても、おしっこはしませんでした。脱力して首がだらりと下がった状態で苦しいと小さく声を上げるので、そのまま寝床に戻しました。床ずれもできてしまっていますので、寝返りをしたかったのかもしれません。床ずれの部分にはキッチンペーパーを当てています。今は反対側に倒して寝かしてあります。睡眠中です。
私もこれからしばし睡眠をとります。
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コメント
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小貫 睦巳 大変ですね。
お疲れを出しませんように。
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飯箸 泰宏 ありがとうございます。
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齊藤 明弘 お疲れ様です。とりあえず病院行って診てもらわないと危ないような感じがするので診てもらった方がいいですよ。
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飯箸 泰宏 ありがとうございます。
お医者様からすでに言われております。お医者様にできることは安楽死させることだけだそうです。
家族は愛犬様を最後まで見届ける覚悟です。
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俳 一美 大事にされて、幸せですね。
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田中真由美 お辛いですね、ペット用オムツとかはないのでしょうか、、お身体壊しませぬよう、、
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河野 公尋 当家のポメも、最期の1週間は水だけでしたね。
15年8ヶ月、老衰でしたが。先生のお宅のワンちゃんも可愛がられて幸せだと思います。
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飯箸 泰宏 皆さん、ありがとございます。ペット用のおむつは5月初旬から使い始めて、今では1日12・13枚消費する状態になっています。15歳9か月の甲斐犬です。
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飯箸 泰宏 ただいまは、呼ばれて抱っこして外に連れてゆくと、降ろせと言う仕草をします。そっとおろしておむつを外すとよろよろとそのままその場で2度回転すると玄関前のタイル張りの上に横になり、小さく鳴いて、水のようなうんちをしました。赤味を帯びた水のようなうんちでした。胃腸が自己消化されたものに違いありません。いよいよ終末を迎えていると覚悟を新たにいたしました。
愛犬様のお尻を消毒薬を薄めた水スプレーで洗って新しいおむつを付けて、今は玄関内で寝ています。
愛犬様は、寝床ではしたくなかったのでしょうね。けなげな奴です。...もっと見る
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酒匂 寛 大変ですね。私もこれまで数頭の犬を見送りました。
ところでおむつに加えて、寝床にペット用シーツも敷いてあげると、体もあまり濡れずに良いと思いますが。。。
ペット用シーツ
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Tai Soga しばらくワンちゃんの話題がなかったので心配していました。日記を拝見し心がいたいです。皆様のお気持ちを考えると言葉が見つかりません。お大事にしてください。
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山崎 弥生 悲しいですが、人間も同じです。いつかお別れする時がきます。
精一杯の事をしてもらい、きっと喜んでいますよ。
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谷藤 由佳 ごめんなさい。先ほど拝見いたしました。昔の我が家の愛犬の時にのことを思い出しました。

<6月30日午前10時ころの様子>=======================(10時25分記)
愛犬様の最近の写真です。
写真左(1番目の写真)は28日のもの、最後の食事の前です。目力はまだありました。すでに寝たきりでしたが、イケメンです。
28日の愛犬様
写真右(2番目の写真)は30日(本日)10時ころのもの、目力がなくなっています。頑張れよ。
30日(本日)10時ころの愛犬様
顔の下にはキッチンペーパーを敷いてあります。よだれが周囲に回るとただれてしまいますので、よだれを吸い取るためのものです。
プチプチのシートが好きなので、プチプチのシートをしいて、その下にはラシャ紙で2畳程度の寝床を作ってあります。ラシャ紙の下にはプチプチシート、その下にはラシャ紙、その下にはプチプチシート。その下にはラシャ紙と多層構造(下から、ラ->プ->ラ->プ->ラ、その上にラシャ紙折り数個+体サイズのプチプチシート&キッチンペーパー&デオドラントシート)になっています。デオドラントシートは腰回りに置いています。
5月の上旬には家じゅうの古布を使い切ってしまったことと、試しに上記の組み合わせを作ってあげたら、たいそうお気に入りだったので、その後はこの組み合わせを続けています。
平らにきれいに仕上げると落ち着かないようですが、ラシャ紙を適度に折って5-6個散らして置くと落ち着くようです。
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コメント
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石原 克也 頑張って欲しいですね。(*^_^*)
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飯箸 泰宏 ラシャ紙もプチプチシートも業務用のロールを使用していますが、すでに何本使ったかわからないくらい消費しています。
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石原 克也 手厚い看病に応えてほしいですね~(*^_^*)

<6月30日午前11時0分永眠>=======================(11時15分記)
本日(6月30日)午前11時0分、愛犬様は亡くなりました。たくさんのご声援に感謝いたします。
たくさんの方に愛されて幸せな一生だったと思います。
一番世話をした息子が資格試験の勉強に出かけており、夕刻まで帰宅しません。帰宅するまでは自宅に寝かせておきます。
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コメント
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飯箸 泰宏 呼吸が止まり鼓動がしなくなりましたが、心臓の上から軽くたたくと鼓動が戻ったので、望みをつなごうとしました。再び心臓が止まって、心臓マッサージも人工呼吸も試しましたが、戻りませんでした。その後は鼓動が止まったままです。
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Hiroshi Nakamoto いつかはとは思っても、悲しいですね。
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新田隆文 常に出会いと別れはつきものたくさん愛情をもらった愛犬は幸せだったかもしれませんね。
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林田 浩文 ああ、淋しくなりますね。甲斐犬くんの話をよく伺っていたので。
良い人の所に来て、彼も幸せでしたね。
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谷藤 由佳 お疲れ様でた。
しばらくロス感じられるとは思いますが、時間ととまに良い思いでが、優しくつつんで癒してくれますので。
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飯箸 泰宏 皆さん、ありがとうございます。
今は、彼にとって居心地の良かった玄関の2畳ほどの空間の中の段ボール箱のお棺の中で安らかに眠っています。近くのスーパーで買い求めた氷の袋を大きなビニール袋にたくさん入れて上から掛けてあります。その前には急ごしらえの線香台を置いて、家族でお線香を捧げました。
明日は、ペットの火葬場に家族とともに行って、お別れをしてきます。
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齊藤 健一郎 本当に御愁傷様でした。お墓はご自宅の近くですか?奥様が散歩をされている姿を拝見したのは、先月初めだったと思います。往生でしたね。
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飯箸 泰宏 火葬後、骨は持って帰ります。
身近な我が家の庭に埋めますが、墓標は作らず、自然に返すつもりです。
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森 正樹 最後のケアは大変でしたね。人間様でもこんなにやさしくケアされて、旅立つことはそんなに多くはありません。いつまでも心に生き続けられることでしょう。我が家の愛犬は、森家のお墓に埋葬しました。


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