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飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)

2017/08/12
飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)

(1)偉大な心理学者ラリー・スクワイアの限界
脳科学の進歩は著しい。以前はまるで頼りなく思えた脳科学も、ようやく心理学が到達していた水準に追い付いてきたようである。
いまだに心理学の世界ではもてはやされているスクワイアの記憶の分類は、そもそも重要な欠陥があった。ある種の記憶の多くが階層化されていて抽象化の昇り階段と具象化の下り階段を持っていることが全く抜けているのである。
このことを強く意識し始めたのは、第二次人工知能ブームのころ、私がフレーム型の知識ベースを用いて日本で初めての実用システムを完成させたときのことである。フレーム理論は現代的な人工知能の開祖(人工知能の父)と言ってよいミンスキーによって提唱されていたものである。当時、ミンスキーはフレーム理論を提唱していたが、それを基にしたフレーム型の知識ベースやその推論エンジンを提唱していたわけではない。フレーム型の知識ベースやその推論エンジンを考案してシステムに結実したのは私とそのチームだった。
私はそのころからスクワイアの記憶の分類には欠陥があることを感じていた。何しろスクワイアの記憶の分類には、フレーム型の階層構造に対応するような階層構造を持つ知識がどこにもないからである。これを正しく訂正したいと当時から漠然と考えていたのであるが、そのことがその後記憶の分類における「スクワイア-飯箸モデル」を提唱するきっかけとなった。
「スクワイア-飯箸モデル」としては、すでに2度、私は提案している。
一度目は次世代大学教育研究会や下記ブログ(2005年)などで発表したもので、スクワイアモデルの決定的な欠陥(階層構造を持つ記憶の欠落)を指摘したものである。
「記憶」の社会性--心理、教育、社会性の発達(3)
二度目は当時出ていた脳科学関係の部分的で虫食い的な論文を2000ほど乱読したのち、大脳の各部分ごとの機能分類に目星をつけて分類したものである。この分類は情報コミュニケーション学会で発表した。この当時は、脳科学は大脳のダイナミズムをとらえるほどには発達しておらず、大脳という巨象に対して好きな小部分を脳外科の医師らがそれぞれに虫眼鏡で覗いて報告しているようなもので、全体像を述べる学者はほとんどいなかった。この状況に引きずられて、私も、細部の分類にのめりこみ過ぎてモデルというには些細なことにとらわれ過ぎているものとなっていたことは大きな反省点である。2009年の情報コミュニケーション学会で発表した内容が下記のブログで見ることができる。
「新しい"記憶の分類"の提案」情報コミュニケーション学会--感性的研究生活(45)

(2)飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017
これまでの2つは心理学者ラリー・スクワイアに敬意を払って、どちらかと言えばスクワイアモデルを土台にして修正を加えたが、今回は、むしろ脳科学の進歩を取り入れて、脳の物理的機能を中心に記憶を分類しなおしている。ラリー・スクワイアの分類も活用しているので、敬意を表して "(&スクワイア)" と記しておく。

飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017(クリックして拡大)
2017

これまでの分類表と違って、脳のどの部分の機能であるかがわかりやすくなるよう表の一番左側の列には脳または神経系の部位を大きくくくって並べてある。
私が取り入れた脳科学の進歩は大きくは2つある。
①小脳の働きが最近分かり始めており、従来のように単に運動関係する低位な器官とは言えなくなったこと。
②「短期記憶」の実態が前頭前野部の局在していて、興味深い機能を備えていることが分かったこと。
③睡眠によって記憶が整理される仕組みがわかりかけてきていること。
などである。
人間の脳の各部位の概略は次のとおりである上記の「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」に書かれている部位で図に示されていないものもあるがご容赦いただきたい。

人間の脳(クリックして拡大)
Photo_3

(3)「ラリー・スクワイアの古い記憶の分類」と上記の「飯箸(&スクワイア)記憶の分類2017」
ラリー・スクワイアの古い記憶の分類によれば、おおむね下記のような分類になる。
1 感覚記憶
2 短期記憶
 2.1 ワーキングメモリ
3 長期記憶
 3.1 陳述記憶
  3.1.1 意味記憶
  3.1.2 エピソード記憶
 3.2 非陳述記憶
  3.2.1 手続き記憶
  3.2.2 プライミング
4 自伝的記憶
似ている部分もあるが、ずいぶん違っているところもある。
大きな違いは、次のとおりである。

ラリー・スクワイアの分類---飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017の主な違い(クリックして拡大)
Photo

「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」に基づいて、第三の推論について述べるのは、しばらく後に回すことにする。その前に、やらねばならないことがいくつかある。例えば「演繹的推論」とは何か、「帰納法的推論とは何か」などである。これらの説明においても、「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」は役立つものと思う。

演繹的推論の科学「推論方法に科学を(3)」--独創力の創り方(30)(予定)に続く。


△次の記事: 独創力の創り方(30)
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琵琶


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