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「『問答』を終えて」第49回日本医学教育学プレコングレス(その10)--感性的研究生活(74)

2017/08/20
「『問答』を終えて」第49回日本医学教育学プレコングレス(その10)--感性的研究生活(74)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
===============================================
1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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今回は、プレコングレス全体としての成果はもちろんだが、私個人も高いレベルの皆様との多角的多面的な『問答』を行うことができて、大きな収穫につながった。
極上のコース料理をたっぷりいただいたような心持である。
まだ十分な検討ができていないので、未発表のまま心の中にしまっていただけの推論も『問答』のなかではついつられて口に出してしまうものである。私の発言の中にもいくつかそのようなものがあった。
また、別の場所で討議したり、発表したりするつもりである。
創造性には『睡眠』とともに『問答』と『瞑想』が欠かせない。
今回は、『問答』万歳! と言っておきたい。
この「『問答』を終えて」第49回日本医学教育学プレコングレス(その10)--感性的研究生活(74)をもって、このミニシリーズはひとまず閉じることとする。

△次の記事: 感性的研究生活(75)
準備中
▽前の記事: 感性的研究生活(73)
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琵琶

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(補2)この記事が含まれるシリーズの記事の一覧は下記(別サイト)のとおりです。
  感性的研究生活シリーズの記事一覧 (GO!)
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「Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その9)--感性的研究生活(73)

2017/08/20
「Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その9)--感性的研究生活(73)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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英国在住の精神科医 Dr. Akira Naito との対話が、私にとって、最も刺激的で充実したものとなった。Dr. Akira Naito はFBのプロフィールによると日本で心療内科医として勤務された後、イギリスにわたって精神科医となられたようです。
この対話は、8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先かに続くもので、人間の知的活動に関する最新の知見に踏まえたもので、なお、診療の現場ならではの人間の脳の誤動作についての洞察も垣間見られるものである。ようやく、本当のことが討論できる方に出合えたという感動の体験をした。
企画メンバー以外で、本名の使用の許可が確認できていない方はイニシャルで記載しています。企画メンバーは公知の氏名なので、本名を使用させていただいています。ご了承ください。

Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
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8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先かから続く)
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飯箸 泰宏
ディープラーニングはAIの一部です。自動推論、知識ベース意思決定システムもAIの一部です。いろいろな一部が融合しないと一つの脳になりませんから、人工知能はまたまだなのです。
「そこから先のブラックボックス」も人間の物理的脳の活動の現れなので、光を当ててゆきたいと思っています。明るみに出すことに成功すれば、より良いAIになると思います。
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Akira Naito 意思決定に関しては、アルゴリズムに「時間的要素・タイミング」が加味され、いくつかのアルゴリズム(インプットとアウトプットをタイミングもあわせて)が同時平行しながら、お互いに影響しあいながら、最終決断としての意思決定が生じるというモデルの作成が必要があると思っています。
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飯箸 泰宏
ヒトの記憶には、時間的な要素を含む事例記憶(エピソード記憶)と時間要素を除外した概念的記憶があります。概念的記憶では論理的整合性の検討が可能なので、概念操作がされて因果関係や整合性が確かめられると再びその事例記憶(エピソード記憶)がタイミングなどの留意点(必要条件)が付加されていわば「法則」として記憶強化されて保管されるというサイクルがあるようです。初期の事例記憶(エピソード記憶)と獲得された「法則」では変形が加わっていますので同一ではありませんが、人は良く後者を事実だったかのように勘違いしていることがあります。
法則化され時間要素が復活した法則的な記憶を便りに、ヒトは問題に遭遇するや、仮想実行(シミュレーション)を脳内で実行または繰り返してして相対的優位なものを実行アルゴリズムとする決心をすることが意思決定なのだろうと思います。役に立つ「法則」に不足を感ずるとこのプロセスを最初から何度でもやり直してよりよいシミュレーション結果が出るまで続けること(逡巡する)こともあると思われます。納得のゆくシミュレーション結果が出ないと見切り発車するのかあきらめるのかの決断が迫られて、うつ症状に陥る人もいるようです。就活でこの状態に陥る学生は少なくありません。今も、(元)学生からの相談(主訴は食欲不振と不眠)に応じているところです。
プロセスを概念的にまとめると次のようなとこになると思います。
原始的な事例記憶(エピソード記憶)-->概念的記憶へのスリム化-->論理的検討-->原始的な事例記憶(エピソード記憶)の法則化変型と記憶強化-->仮想実行(シミュレーション)-->アルゴリズム間の優劣を比較-->相対的優位の選択決心

20170820

途中で一つ前やその前、その前の前、、、に戻ったり、先頭に戻って事例の収集からやり直したりもすると考えるべきではないでしょうか。また、決心が迫られてからこのプロセスが始まるわけではなく、ヒトはたえまなく何気もなく法則化変型と記憶強化までは進めていると考えられます(教養としての勉強もこの範疇)。いざというときに使える「法則的な記憶」が多いほうが生存に有利だからだと思われます。いざというときに改めて「元に戻って考える」こともあるということと思われます。
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Akira Naito
エピソード記憶は(矛盾ととれるようなものでも)「個人の経験」としての「真実」を重ねる、医学のメタファーでは、エビデンスに相当する情報だと思います。シーマティック記憶(概念記憶)が、実は厄介というか、人間味を持つための要素かもしれませんが、そうした、個々の ランダムな エビデンスらを、その個人の中で、最も「整合性」のある「ストーリー」に並べ替え、足りない部分も、ある時には「補って」(つまり「作り上げて」)因果関係として認識して 記憶 してしまう。という仕組みがある事が言われています。

このため、PTSDの治療法でのトラウマ後初期のDebriefing が、最近は危険性のために否定されています。
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Akira Naito
この概念記憶の人での構築プロセスは、AIには多分、不可能というか、そうした(意識しない次元において記憶を作る、強化するもしくは整合しないエビデンスを軽視する、消す、という)「作為」を許すプログラムは、危険性が大き過ぎて、できないと思いますが、 人の意思決定過程においては、かなり重要というか、影響力が大きい因子ではないかと、私自身は感じています。
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飯箸 泰宏 危険性についてはおっしゃる通り十分に配慮されるべきであると思います。
誤動作したり過剰負荷のために障害を生じたりするのが人の脳というものと思います。勝手に「補って(たとえば「自分はイエスキリストの生まれ変わりだ!」などと)」しまうのも人の脳というものです。ヒトとは何といとおしいものでしょうね。(実は、「自分はイエスキリストの生まれ変わりだ!」にこだわるインテリ女性=中程度の双極性障害Ⅰ型の方=がいて友人の間でまわりまわされて私のところにやってきました。私がボランティアでお世話をしている患者さんの一人です。医療機関に行くことを数年かかりで説得してお勧めしてゆくようになりましたので、今はやめないように支援することが主たるお仕事です。診断名は「うつ病」となっていますが、便宜的なものと思われます。年々躁極の高さが高くなり、異常行動が強くなってご本人の生命の危険が高くなっていることが感じられて心配な方です)
一方のコンピュータでは、それらのリスクがわかればどこまでも研究対象とすることが可能でどこまでも修正が可能という利点もあります。数十年の努力が必要でしょうが、AI屋さんはいずれ、その問題も解決すると思います。
危険を安全に変えることも技術の責務であると感じるのが技術職人の思考パターンの一つなのかもしれません。職業柄の立場の違いということをご理解賜れば幸いです。
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Akira Naito
なるほど。面白いです。
ひとでのこの整合性の検討で用いられる情報で大きな因子に、本人の 信条、嗜好、など個人のそれまでの経験が絡んでくると思われます。そういう意味においても、「哲学」が、ひとがAIを導く際に益々非常に大切になっていきますね。
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飯箸 泰宏 おっしゃる通りです。AIの登場によってますます哲学の必要が高まっていると思います。
御賛同者がいらっしゃることをたいへん嬉しく存じます。
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大きな共感と感動のあった対話でした。まだ推定に過ぎない様々な考え方も含まれていますから、これからも慎重に思慮をめぐらせてゆきたいと思います。
この話題も、今後も議論を重ねないといけないと思います。

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琵琶

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「AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か」第49回日本医学教育学プレコングレス(その8)--感性的研究生活(72)

2017/08/20
「AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か」第49回日本医学教育学プレコングレス(その8)--感性的研究生活(72)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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札幌会場のG7で出た意見はEO女史ががまとめてくれた。AIは非言語情報を読み取れるのかというテーマでした。これをきっかけに重要な議論があった。「ジャッジは人間優先か、AI優先か」と自動制御システムではよくある悩ましい議論である。
企画メンバー以外で、本名の使用の許可が確認できていない方はイニシャルで記載しています。企画メンバーは公知の氏名なので、本名を使用させていただいています。ご了承ください。

ジャッジは人間優先か、AI優先か
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EO女史
G7(AIの可能性と限界)
AIは記録に残せないような患者の状態など、空気が読めないのではないか?でも質問紙がよければ相当診断にたどりつくことができる。医師はジャッジをする仕事になるのか。
可能性としては、新しい時代には新しい評価の方法(たとえば血圧にかわる血流評価などの方法)が生まれるのではないか。
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大西 弘高
例えば、救急受診した患者さんに対して、すべて動画記録を残すなどの対応をすれば、どのような動き、表情の患者は急変する可能性が高いかといったパターン認識ができるようにはなっていくのかもしれません。しかし、そのような情報提供を患者さん側がしたいかどうかは別ですが・・・
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飯箸 泰宏
最初は同意する患者が少なくとも、その様な成功事例が積み重なれば、やがて国民的合意になり、同意なくとも撮影が許される時代に至るような気がします。
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高橋 優三
「医師はジャッジをする仕事になるのか。」・・・
ジャッジが判断という意味なら、判断の次のステップである決断は、AIができる?  おそらく、決断は難しい・・・と思います。
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大西 弘高
判断はAIにもできる、意思決定(決断は医療者側か患者側かの一方的な決定に思われるため、最近はあまり好まれない用語)は医療者側と患者側(家族等を含む)によって行われる印象の用語です。
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大西 弘高 そこにAIがどう絡むのかが新たなテーマになるとみています。
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飯箸 泰宏
AIが下す判断が人間的に正しいかどうかの判定を下すのが当面の人間医師の仕事になるでしょう。しかし、AIの判定のほうが人間より上回るようになるのはもうすぐのことでしょう。人が絡むと情実や勘違いで過ちを起こしやすいからです。
「ジャッジするのは人間」は、ここ2-30年の間はただしいと思います。
飛行機の操縦について、民間機では20年ほどに機械制御優先がルール化されました。ここ10年ほど前から自衛隊でも機械制御優先に決定されて、機体の入れ替えに伴って順次切り替えが進んでいます。米軍は自衛隊よりも先行しています。
緊急時、ヒトは思い込みで誤動作を起こします。動転していると自分を正常化することができませんので、(冷徹な)機械のほうが頼りになるという考えです。
医療AIが人間よりも優先されるのも時間の問題であると思います。
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議論の流れは次のようなものですが、私(飯箸)の言いっぱなしになっていますから、全員が納得しているわけではなさそうです。
「AIは非言語情報を読み取れるのか」-->「読み取れるようになる」
「ジャッジは人間がするのかAIがするのか」-->「しばらくの間は人間優先だが、やがてAI優先となる」
この話題は、今後も議論を重ねないといけないと思います。

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琵琶

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「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その7)--感性的研究生活(71)

2017/08/19
「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その7)--感性的研究生活(71)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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札幌会場のG8で出た意見をYI氏がまとめてくれた。これをきっかけに重要に討議が始まった。「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」というものである。
企画メンバー以外で、本名の使用の許可が確認できていない方はイニシャルで記載しています。企画メンバーは公知の氏名なので、本名を使用させていただいています。ご了承ください。

いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
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YI氏
G8
医師患者関係を円滑にするためにAIを活用できるか
外科手術をAIに任せることができるか
AIが間違った判断をした時にそれを間違いを指摘しても信頼してもらえるか。ほかの人を説得できるか
新しい医療を作るのはAIには難しいのでは?
癌は遺伝子が解明されつつあるので、治療法はAIが決めてくれる
AIの方が診断が正しいので、医師の話を聞かなくなるのでは?
いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
AIを利用できる環境がオープンアクセスできなくなるかも。情報の囲いこみ
適切な治療を選択できるので、医療費が抑制されるかも
倫理的な問題に関わる時にはAIが対応できるか
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飯箸 泰宏
どれもこれもAIの使い方によるのではないでしょうか。また、初期はヒトの決断のほうが優れているでしょうが、やがてAIのほうか危急の時にも冷静さを失わない正しい判断を下すなどの点で人よりも少なくとも頼りがいのあるものになってゆく可能性があるように思います。
航空機の自動運転制御においては、ヒトの制御が機械制御より優先される時代はすでに過ぎ去っていて、人間の判断と機械制御の判断に食い違いが生じた際は機械制御の判断が優先されるようになっています。一昔前とは逆になっているところが面白いところです。医療AIも同じ道筋を通ることが予想されるところです。
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高橋 優三
「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」
ああ、これは興味深い問いですね。
この問いについてを考えていて、「ヒラメキとは、何か?」に立ち戻ってしまいました。
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飯箸 泰宏
少しだけアイディアがあり、むずむずしています。
いま、この問題を整理して現段階を書き残しておきたいと思って、ブログにミニシリーズ("××××××「推論方法に科学を(n)」--独創力の創り方(mm)" )を書きかけています。他の用件や他に書きたいことなどがあってなかなか進みませんが、書き進みましたら、ご笑覧に供したいと思っています。
三つの推論方法「推論方法に科学を(1)」--独創力の創り方(28)
飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)
ひらめき、はやり言葉でいえば「アブダクション」、著名な手法としては問答法、瞑想法、Triz(トライズ)などがあります。西洋哲学の世界では「問答法(ソクラテス)」「弁論術(プラトン)」「弁証法(アリストテレス)」・・・「弁証法(ヘーゲル)」があります。
ひらめきも物理的な脳の働きですから、解明できないはずはないというのが私の立場です。解明(脳科学によって、またはAI技術者による試行錯誤によって)できれば人工知能に取り入れることも十分可能というのが私の予想です。ひらめきのためには十分な前提知識が必要で、何も知らぬ小僧が高橋先生と同じひらめきは致しません。十分なバックグラウンドを持つ知性しか良いひらめきをもたないというのが大きなヒントであると思っています。小僧のひらめきはろくでもないものばかりです。
仏教の世界でも「いくら座禅をしても普段の勉学が足りない者に悟りはない」と教えます。西洋哲学ではグラントセオリーの学びなくして知恵はないと(ヘーゲルの直前までは)言われていました。私の予想では、必要なものは「グラントセオリー」だけではなく「グラウンドナレッジ(グラントセオリーはその一部)」だろうと思っていますが。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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中本浩之
先日から気になって仕方がない事を一つ書きます。少し前に大悪人のAIについての議論を飯箸先生と行いました。ヒトラーを賞賛するAIが現れ、これを停止し、組織が正しいとする知識だけでAIのラーニングを再度行ったという話があります。人間は様々な興味にしたがって、派生的に学びますので、善い事も悪い事も、役にたつ事も、立たないと思われる事も学びます。Hな事も学びますので知識は雑食です。でもAIを無菌室で育てるように知識を限った世界で育てた場合、ユニークな発想を生み出すか?という問題です。AIの知識も雑食にして、ただし絶対的な良心を維持するようなロジックを用意する事で「過去には無い発想や閃き」を生み出す可能性を感じています。
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飯箸 泰宏
知識は雑食上等ですが、人類の究極の目標(人が生き生きと暮らして、人類が悠久の繁栄をつづけること)をしっかり教えて、それに反する言葉と行動を排除する知識構造をAIの中に構築しなければならないと思います。つまりはAIに人類哲学を教えることになります。逆に人類の究極の目標(人が生き生きと暮らして、人類が悠久の繁栄をつづけること)のためになることを次々に創案できるようにすればよいと思います。簡単に見えて簡単ではないでしょうが。
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Akira Naito
面白いです。
そういう意味では アルゴリズム の 時間軸 は、意思決定の場・時からみて、過去へも未来へも、両方向に向かっていながら、どちらかというと、未来への方向での「計算」の方が大切で、ある意味、t =「無限大」まで時間をした際の可能性が確率的にみて「より多くのひとが良く生きる」か、そうで無くなる確率が大きくなるか? とするなんていう仕組みを、「哲学」と呼ぶ事になるのかもしれませんね。
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Akira Naito
「良く生きる」の定義や、最終結果まで至る中で、「良く」ない時期がどの程度生じることを「許容できる」か、という 議論 も『哲学』に含まれそうですね。
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飯箸 泰宏
同意します。
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上記の飯箸発言にもあるように、ヒラメキについても機作が解明されると人工知能で実行できるようになるはずです。解明の糸口をこれまでにない角度から明らかにしたいと思っていますが、まだ文章にすることができていません。この議論はこの後も長く続きそうです。
ミニシリーズ "××××××「推論方法に科学を(n)」--独創力の創り方(mm)"にもご期待をいただければ幸です。

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琵琶

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「ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か」第49回日本医学教育学ブレコングレス(その6)--感性的研究生活(70)

2017/08/19
「ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か」第49回日本医学教育学ブレコングレス(その6)--感性的研究生活(70)

ミニシリーズ:
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6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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プレコングレスの始まったあと、真っ先に議論なったのは、ディープラーニングは過去のAI(人工知能)を塗り替えた最新のものなのか、それともAI(人工知能)と呼ばれるものはたくさんあってディープラーニングはその一つに過ぎないのかというものだった。
これは、世間の大きな誤解を反映する議論で、本質的ではないとは言え、これからの議論にとって重要な問題だった。
発言者は複数いるが、企画メンバー以外の方で本名を上げることの同意が確認できていない人は、イニシャルで記載させていただく。企画メンバーの方は、公知の方なので、本名で引用することをお許しください。

複数者発言。ディープラーニングだけがAI(人工知能)なのか? 飯箸がトリガースピーチで明快にディープラーニングはAI(人工知能)の一部と言っているにも関わらず、参加者はまだ迷っていることがわかる。いかに世間の゛会というものが根深いかがわかる。
冒頭のKT氏は札幌会場のG9グループメンバーの意見を代表してつぶやいたもので、個人の意見ではないようです。
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KT氏
G9: そもそものAIの定義が話題になっています。ディープラーニングのみがAI? アルゴリズム自動診断装置はAI?
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淺田 義和氏
そこを明確にしないで議論すると空中戦になる可能性ありますね。「AI」って言葉のイメージ、かなり広いので。僕はあえて緩くしてありましたので、定義しながら話を進めてもらえるといいかなと思います
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大西 弘高 氏
アルゴリズムだけで診断したら、間違いだらけになるので、そこにディープラーニングを含める必要はあると思いますが・・・
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吉田 智美 女史
ある程度のアルゴリズムは意思決定支援を助けますが、そこから先の決断って人間独自のブラックボックスがまだあると思っています。
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飯箸 泰宏
ディープラーニングはAIの一部です。自動推論、知識ベース意思決定システムもAIの一部です。いろいろな一部が融合しないと一つの脳になりませんから、人工知能はまたまだなのです。
「そこから先のブラックボックス」も人間の物理的脳の活動の現れなので、光を当ててゆきたいと思っています。明るみに出すことに成功すれば、より良いAI(人工知能)になると思います。
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この後Akira Naito氏が登場するのだが、Akira Naito氏との濃密で有意義な「問答」は別と取り上げる予定である。Akira Naito氏は、日本で心療内科医を勤めた後、イギリスで精神科の医師として活躍中とのことです。

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「事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. "など」第49回日本医学教育学ブレコングレス(その5)--感性的研究生活(69)

2017/08/19
「事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. "など」第49回日本医学教育学ブレコングレス(その5)--感性的研究生活(69)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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プレコングレスの始まる前に、いち早く私のスレッドに書き込まれたのは、伊藤昌夫氏でした。
記事搭載の順位とは違って4. 事前討議《1》: 中本浩之氏「処理ロジックについて」などは、先に伊藤昌夫氏との「問答」のあとに書かれたものです。
伊藤昌夫氏は、トリガースピーチ用のスライドの4番目にコメントを書き込んでいました。

トリガースピーチ用のスライドの4番目(クリックすると拡大する)
4_3


伊藤昌夫氏は絵画で個展も開くほどの方ですが、長くシステム開発のお仕事をされていた方と伺いました。伊藤昌夫氏からいただいたコメントとそれに対するトリガースピーカー飯箸泰宏の回答です。
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伊藤昌夫氏
私のつまらない日常ですら,AI に代替できるところはほとんどない気がします.例えば,3に挙げられている第三次ブームの技術,ほぼ90年前後の第一次(二次?)ニューラルネットワークブームのときのものだろうと思います.このときに,ブームが落ち着いたたくさんある理由の一つが,どうしてその答えになるのか,分からないというものでした.そのとき,患者に説明して納得してもらうということが,可能になりそうでしょうか.
チャペックの R.U.R. だと,ロボットと人間の差異は,生殖ではなく,最終的には「愛」が答えだったと記憶しています.卓見のような気がします.
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飯箸泰宏
早速のコメントありがとうございます。
現在のところ、平穏でつまらない日常に急変をきたすAIの応用システムはほとんどありません。「(スーパー資産家による)株の投資システム」や「WEBユーザの購買行動の分析」など、もっぱら一般人の目に触れてほしくないところで密かにAI化が進んでいます。マフィアのAI化投資額は現在のグーグルのそれに匹敵するなどとも言われていますから、善良な市民が知らない間に、反社会勢力のほうが早くこの種の技術を駆使するようになるのかもしれません。自動車の自動運転が普及すると市民にも身近になると思いますが、まだ少し時間がかかります。
ニューラルネットワークの初期モデル(単純パーセプトロン)は、人工知能の父ミンスキーらによって、実現可能性がない(単純パーセプトロンは線形分離不可能なパターンを識別できない)ことが証明されてしぼんだものの、日本人研究者(福島邦彦、ネオコグニトロン)らが、様々なモデルと手法を開発してその隘路を突破して再発展を遂げ、昨年の「アルファ碁ショック」につながったことはIT技術の発展史に寄り添ってきた方々にはよく知られている事実です。
「どうしてその答えになるのかわからない」は、その時期の問題理由ではなく、比較的最近の話題です。当時問題だったのは初期モデルが数学モデルとして失敗していたからです。技術の進歩に失敗はつきものです。失敗を克服してこそ本物ということですね、
今は、「どうしてその答えになるのかわからない」のであっても、計算可能性が証明されさえすれば基本的な問題はないとみなして、「答えが(実用的精度の範囲で)正しいのであれば、それを採用する」のが正統派の人工知能のアルゴリズム理解です。「解析的解ばかりが解ではない」というのがアルゴリズム研究者の一般的理解になっていると私は思います。
最近の話題での「どうしてその答えになるのかわからない」という問題に、解答すれば、「どうしてその答えになるのか現在の人間には説明できないのが正しい」ということになります。これ以上の解はありません。
私見ですが、おそらく現在のディープラーニング(ニューラルネットワークの比較的新しいモデル)はヒトの小脳(一部は後頭葉)の機能をまねているもので、小脳で感知したことはそもそも宿主である人間でも説明できませんから、小脳の真似をしているディープラーニングの挙動を傍らに立つヒトが「説明できない」で当然だからです。
この問題への直接的解答にはなりませんが、この問題の高次的解決は、小脳の働きと大脳の働きの分業と協業のありさまが解明できて(脳科学的またはAI技術者の試行錯誤で)それなりの説明ができるようになれば、「どうしてその答えになるのかわからない」ような状態で「ヒトがなぜ困らないか」が分かるようになるだろうということです。
その高次解を得るまでは、AI技術者も汗と涙の日々が続くと思われます。

「患者に説明して納得してもらうということが,可能になりそうでしょうか」についてまだ回答していませんでした。
実は、本格的なAI導入前夜の今でも理由がわからない治療法(薬や外科的手法)は山ほどありますね。それらは症例と統計(いわば疫学的手法)で患者(および医学界、行政等)に説明しています。AI導入前でも理由が分からなくとも説明が可能でしたから、導入後も十分な症例と統計データがあれば説明できるというのがご回答です。
さて、私も立派な患者ですが、お医者様から「理由はわからないが、効いたという論文がアメリカで2-3出ているからやってみるか」という程度のご説明で、ありがたく日本で初めて当該疾病の投与患者となりました(当該疾患ではない別の疾患の薬としては認可されていたので)。
ちなみに、すでに薬剤の開発現場では、ニューラルネットワークによる対象化合物の絞り込みが行われており、その試行の実績はすでに20年以上なります。ある製薬メーカーの研究者から、この技術が普及したおかげで、細菌等を用いたスクリーニング技術の向上と合わせて、最近では、同社で処分するラットの総数を千分の一程度に減らすことができたと聞いたことがあります。

「チャペックの R.U.R. だと,ロボットと人間の差異は,生殖ではなく,最終的には「愛」が答えだったと記憶しています.」について
文芸作品の解釈は読者各自のものです。作者の意図をも離れてしまいます。一人一人がそれぞれに思いを巡らせて楽しめばよいことと思います。
私は残念ながらこの作品を読んでいませんが、まご引きによると、この本のエピローグ(欧米普及版にはない)で、主人公(?)アルクイストはロボットによる集団的反乱の直前に作られた最後の男性型ロボットと女性型ロボットを次の時代のアダムとイブの役割を与えて、次のように独白して終わるとされていました。
「神よ、人間の作り出したくだらぬものはすべて時と共に消え失せました。ただ生命が、生命だけが、不滅です!」
これを読む限りでは、作者は(人造人間を含むヒトの)生命の不滅に歓喜しているようです。「(人造人間を含む)ヒトの生命の悠久たるを望むのがヒト」という命題に行きつくように思います。「愛」はその命題をかなえるジグソーパズルの一ピースということになりそうです。しかし、生殖能力を持たぬ人造人間のアダムとイブに生命の不滅を託して歓喜しているのは、堕落して滅ぶ人間の中の生き残った最後のヒト(アルクイスト)のやり場のない絶望的な狂気を思わせます。この狂気に読者の多くは共感して「我々の生命の悠久はいかにして・・・」をもう一度心の中に思い起こすのではないでしょうか。
もっとも、「神がアダムとイブをお作りたもうた」という旧約聖書をもじって、現代の人(アルクイスト)がロボットたちから神と祭り上げられて、自らの複製である次代のヒト(人造人間)の中からアダムとイブを選ぶというリカーシブルストーリに仕立ててありますから、逆に今のヒトもまたその前のヒト(我々のなかの一部のヒトが神と呼ぶ生命体)によって作られたのだと暗に言いたいのかもしれません。
他方、この作品に出てくるロボットは、当時チェコの社会問題になっていた「疎外された労働」に従事する労働者そのもののようですから、当時の社会に対する痛烈な風刺を効かせることに主眼があっただけなのかもしれません。ロボット集団の反乱に仮託した作者の意図は、「かくして労働者階級の革命は失敗する」と皮肉を込めて言うところにあったのかもしれません。
どう解釈するのかは、各自の自由だと思います。
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伊藤昌夫氏
ご返事ありがとうございます.
私は,AI に別段否定的ではないのですが,大事なことがこの議論を通じて明らかになればうれしいと思っています.
私は「日常」が,重要なんだろうと思っています.ルールが定まっているときに,計算機が素早い答えを出すのは,確かにそうです.ただ,人間がその能力を進化させなかったのは,日常には不要だからと思います.日々の暮らしというのは,(おそらく社会学の一部である)ethnomethodology の人たちが明らかにしたように,非常に刺激的で高度な activity と思います.人間は,この activity を遂行する能力を高度に発達させていると思います.
IC の話も,同様だろうと思っています.先生が,きわめて乏しい根拠の説明(I)でも納得(C)なさるのは,人対人の関係があるからだろうと思います.「脳」だけがホルマリン?のプールに浮かんでいて,マイクから説明が流れてきても,おそらく納得しないのではと思います.
R.U.Rの話も同じかと思っています.彼の時代とは違って,いまや「生殖」は倫理なき科学によって制御できるかと思います.究極の人間対人間の関係であるアガペ的愛は,いまのところ(そしてこれからも)制御できないのではと思います.
もちろん,アプローチの違いといえば,それだけです.
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飯箸泰宏
コミュニケーションモデルにおける「メンタルモデル」はすでに80年以上の歴史があります。ヒットラー全盛の時代には情報だけあって各自の脳内の知識と心が除外されるコミュニケーションモデルが優勢でしたが、今どき信じているのは一部の政治家くらいではないでしょうか。コミュニケーションモデルの歴史の初期にはおもちゃのような「メンタル概念」でしたが、心理学で育てられて今では脳科学的にも承認されているものになっています。相互に相応の共通認識があることを前提にコミュニケーションが成立していることは情報コミュニケーション学の入門コースで教える内容です。
さて、どうも、私と伊藤さんは面識もなく、どこまで相手が何を理解しているのかがわからないままに議論し始めてしまっているように思います。その意味で情報コミュニケーション論の常道を逸しているように思います。
共通の認識がないままのコミュニケーションは難しいので、まずはFBのお友達になっていただけませんか。また、伊藤さんの精神的バックグウンドもいろいろとお教えいただければありがたく存じます。
たとえば、ethnomethodologyに詳しいわけではありませんが、ある程度の理解はあるつもりです。
私のバックグラウンドは、私のブログに露出していますので、必要に応じてご覧いただければ幸いです。
http://heartland.geocities.jp/mori_biwa/my_blog/my_blog.htm
「琵琶」は私のネットネームです。文筆業では「森口晶(もりぐち・あきら)」と称していた時期もあります。
よろしければ、FBのお友達のリクエストをしていただくか、当方からのリクエストをご承認いただければ幸いです。
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その後。メッセンジャを介して非公開の討議が続きましたが、お互いに秘密はないと思いますが、ブログに転載するのはやめておきます。

次の記事からは、プレコングレス開始後に行われた事前のFB討議を紹介します。

△次の記事: 感性的研究生活(70)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns496--70-3c94.html
▽前の記事: 感性的研究生活(68)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns494--68-4909.html

琵琶

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「事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など」第49回日本医学教育学プレコングレス(その4)--感性的研究生活(68)

2017/08/19
「事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など」第49回日本医学教育学プレコングレス(その4)--感性的研究生活(68)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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プレコングレスの前に討論は始まっていました。なぜか始まっていたのは私のスレッドだけで、高橋先生のスレッドや浅田先生のスレッドへの書き込みはありませんでした。
先の記事に示したように、討論参加者向けにトリガースピーチのスライドは画像化されて公開されていて、それらのスライドごとの説明も着いていました。
このブログに転載を許可してくださった方に限定して、ご許可いただけた順に、このミニシリーズに採録いたします。内容はいずれも示唆に富んだもので、大変興味深いものです。FBグループの記載だけにすると、やがて次々と押し寄せるジャンク情報に押し流されてかき消されてしまうものと思います。可能な限りここに転載したいと念願しています。書き込まれた皆様、ご理解のほどなにとぞよろしくお願い申し上げます。

中本浩之彩光システムズ社長からいただいたコメントとそれに対するトリガースピーカー飯箸泰宏の回答です。
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中本浩之
G1・中本:三つの質問をいたします。(少しご説明と重複するかもしれません) G1はグループ名です。

【人工知能のブームと変化について】
ここまで何度か人工知能のブームがありまして、前回のブームの後の現在では「ディープラーニング」が衝撃的だと言われていますが、そもそも「ディープラーニング」は過去にも概念はあったとは思うのですが、出来なかった(不完全だった)理由は人工知能が動作する環境(インターネット、画像、音声、記憶領域のサイズ、コンピュータの処理速度)等のハードウェアの進化が大きいのでしょうか?それ以上にロジックが進化した為なのでしょうか?どちらも意味がありそうですが?如何でしょうか?

【人工知能の善悪について】
ディープラーニングが進むと人工知能は勝手に情報を取り込んで、その内容から推論などを行うわけですが、そのデータソースには明らかに間違った内容も含まれている為、善悪を人工知能が勝手に管理する事には危険を感じています。最近では人工知能を利用してマルウェアやランサムウェアなど、過去のセキュリティでは検出が難しかった問題の検出を人工知能が学習する事で検出させようとしていますが、人工知能が勝手に学習し害悪を良しとする可能性もあります。医学の世界でも同様の事が想像出来ないでしょうか?そしてこれをプロテクトする手法はやはり人間なのでしょうか?

【処理ロジックについて】
別途投稿されていた伊藤昌夫氏のお話が面白くて、少し思いついてしまいました。人工知能も解答を出したアプローチのプロセスや参考資料や文献などはどうなるのでしょうね?ブラックボックスになってしまうのか?アプローチの傾向も「飯箸さん方式」とか出てくるのか?解答を出してきたら、人間が「何でそう考えるのか?」と聞くと解説を始めるような「友達」になるのか?どうにでも出来そうですが、こうした事がより役に立つ存在として良い形を生みそうに思います。
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飯箸泰宏
【人工知能のブームと変化について】
ディープラーニング相当の計算モデルはすでに1990年代初めには提案されており、計算可能性は証明されていました。
当時は入力データを少しずつ変動させて出力結果と教師データの差が最小となる値を多数回の近似計算を繰り返して探すという数値計算の王道が採用されていましたが、入力項が増えると膨大な時間がかかるために計算に簡単なもので10日、1か月、半年、少し実用的な計算では10年あるいはヒトの寿命以上の計算時間がかかることが予想されたため、数年以上の計算は実際のところ誰も試さない(試せない)状況となっていました。
「計算は可能だが、実際は不可能」という点では「ハノイの塔問題」というものが有名ですが、似たような状況になっていました。
その後、スーパーコンピュータが高速化して少しは改善がみられるようになりましたが、それ以上に劇的な効果があったのがアルゴリズムの改良によるものです。次の2点が主な改良点です。
①勾配降下法を利用する方法
変動の幅を勾配の大きさに連動して決定するもので、収束速度が大幅に向上する。
③逆伝播法(バックプロパゲーション)
初期出力と教師データとの差異を最小化するように出力側から補正を加える方法。この方法の優れた点は、試行計算が初期計算以外には逆伝播計算が1度しか必要でないことである。1回の計算は入力データから計算よりは余計にかかりますが、計算の回数が1万から数十万回分の一になるという画期的な改善が図られました。
この後者②の効果で、不可能と思われた計算が瞬時にできることになりました。もちろん、これにはスーパーコンピュータの処理速度の向上も大いに貢献をしています。
インターネット、画像、音声、記憶領域のサイズはあまり関係がありません。アルゴリズムの改善が一番、処理速度の向上が二番と言ってよいと思います。

【人工知能の善悪について】
AIを野に放ったらどうなるかは、ご指摘のワトソン(事例ベース推論マシン)の実際で如実になりましたね。"ポピュリズム(大衆迎合主義)" に数日のうちにたちまち染まって、人種や性別に対する差別的な言動を(スラングたっぷりに)連発するようになってしまいました。
小さいうちにヒトのあるべき姿を家庭でよく教えておかないまま社会で出してしまうとこんなになってしまうという手痛い教訓となってしまいましたね。
IBMは、社外の雑音を遮断して社内だけで「教育(?)」しなおして、出直すことになり、今は大きな問題が生じていないようです。AIは「人工知能」で、ヒトの脳をまねた仕組みなので、どう頑張っても人と同じ過ちは犯しやすい性質を免れません。
ご指摘の点についての私見ですが同感です。当面の間(これからの20年から50年の間)はヒトがおのれの哲学を磨いて「AIの人格(AI格)」を育てて、おかしくなったら矯正してあげなければならないと思います。
ということは、ヒトがAIに哲学を教えられなければならないわけで、現代人は手遅れにならないように急いで人類哲学(地球哲学)を磨いて身に着ける必要に迫られているともいえると思います。ヘイト主義や排外主義に酔っている余裕はないと思います。人工知能はヒトの考えや振る舞いに染まりやすいので、たちどころにそれは人工知能に伝染してしまいます。ヘイト主義や排外主義に染まったAIは、目の上のたんこぶである人間を差別して抑圧する側に回ることは目に見えているように思います。
当日、機会があったら公開するつもりで用意していたスライドの1枚をフライイングですが、ここに貼り付けておきます。(クリックすると拡大します)
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やがて、人類哲学を体得したAIが多数派を占めるようになれば、少数派のポピュリズムAIを制圧または抑制してくれることが期待できますが、今は、まだ両者の戦いの開始前なのでどちらが優勢になるのかはにわかに言えません。つまり、その逆「ポピュリズムAIが多数を占める」危険性もありうるということです。AI開発者は心して、誰よりも先んじて、自らを律して人類哲学の体得に努めなければならないと(一介のAI技術者としての自戒を込めて)私は思います。また、AI技術を活用する士業(師業)それぞれの専門家と市民の皆さんもAI開発者に対して、賢明な監視の目を怠らないことが重要であると思います。

【処理ロジックについて】
ご質問の話題については、伊藤昌夫さんとの問答の中の私の回答をご参照ください。該当箇所をこのコメントを末尾に引用しておきます。
その前に、まず、ご留意いただきたいことがあります。人工知能一般が「(今は)処理ロジックを説明できない」のではありません。第一次ブームの時代の成果である「推論と検索」の自動化システムは、プログラマならばロジックのすべて追い切れる記述になっています。この仕組みは概ね「演繹的推論」に終始していますから理解が易しいです。人間が自覚しやすい脳(前頭葉運動野と頭頂葉の協働)の機能が最初に機械化されたという当たり前のような歴史の経緯がありますから、もとより人間が自覚できるロジックで作成されています。人間がロジックを組み立ててシステム化してゆくスタイルで構築されますから、ソースコードのコメント欄には文献の引用があったりなかったりしますが、マニュアルには引用が書かれるのが普通です。
第二次ブームの時代(知識工学の時代)の知識ベースを利用した意思決定システムも、人の側頭葉と頭頂葉、運動野の協働機能(言葉によって記述できる=陳述記憶の処理)なので、これも知的処理のための作業領域がやや大きな方(たとえば中本社長のような)は、十分にロジックが追えるシステムです。陳述記憶の範囲で構成されていますから、理解が可能です。引用があれば少なくともマニュアルには書かれるでしょう。
問題にされている「説明不能」な部分は、第三次ブームのヒロインであるディープラーニングなどのニューラルネットワーク系のシステムです。この範囲のシステムは、ロジックを自動検知して自らのパラメータ群の中に構成します。人間が考えて作るものではありませんから名前も着いていません。複雑怪奇な数値の羅列しかありませんから、その中から陳述的ロジックを見出して、人間にわかるように説明できる人間は皆無です。
なぜか? 他の誰も口にしていませんが、私の考えでは、ニューラルネットワーク系のシステムは「大脳」ではなく「小脳」の仕組みをまねした非陳述的記憶を形成するものだと思われます(小脳という器官はすごい奴で、大脳全部の細胞よりも10倍くらいたくさんの細胞を持っています。実はかなりすごいことをやっている器官なのだということが脳科学の世界でも最近やっとささやかれるようになっています)。非陳述的記憶ですから、考える前に行動する(判断する)ことには大変向いた機能ですが、宿主である人間にも言葉では説明ができません。小脳には言葉に関する機能がまるでありませんから、「言葉にならない」が正常なのだと思います。
「言葉にならない」手順的な論理が小脳で作られているということになりますが、生身の脳で、それが(どういうやり方かは不明ですが)大脳に渡されてそのうちのある程度は名前が付けられたり、他の知識と関連付けられてやがては、言葉になる知識になっていくはずのものに違いありません。言葉にならない手続き的な知識が、どのように大脳に取り込まれて人一人分の知識の体系の中にどうやって取り込まれてゆくのかは未詳です。ここには海馬が大きく作用していそうだという推測が成り立ちますが、小脳と大脳の間の知識の移動と受け取った側での処理や保管状況などについてはわかっていないことだらけです。
大脳で陳述記憶化された知識の複製が時間差を持ちながら小脳に作られていることも最近分かってきました(大脳のバックアップストレージ=小脳)。私の推測では、陳述化された大脳での知識が小脳にコピーされると言葉は失われて非陳述化されていると思われます。言葉が伴っていたら、記憶容量がたくさん必要です。いろいろな兆候から無意識に判定と行動ができる知識に変容して(つまり軽量化して)小脳に格納されるように思われるのです。大脳と小脳の間でどんなように情報が交換されてそれぞれの処理がされ相互補完されているのかについての興味は尽きません。
このあたりのことがわかるようになれば、言葉で表現できないニューラルネットワーク系の自動生成型知識を言葉化する仕組みもわかってくるはずと期待しているところです。その様な言葉化する仕組みがわかれば、ニューラルネットワーク系の自動生成型知識そのものではないかもしれないものの、ニューラルネットワーク系の自動生成型知識が他の知識と結びついた何かを説明できる可能性があります。また、もしかすると言葉かされなくとも困らない理由がわかってくるかもしれません。それまでは、人工知能技術者の悪戦苦闘が続くと思います。
つまり、小脳で獲得された知識は大脳に移動して大脳で知識整理の処理を経ないと言葉化できない、しかも言葉化するのは小脳で得てものの一部に違いないというのが(私が予想する)結論です。
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『「どうしてその答えになるのかわからない」は、その時期の問題理由ではなく、比較的最近の話題です。当時問題だったのは初期モデルが数学モデルとして失敗していたからです。技術の進歩に失敗はつきものです。失敗を克服してこそ本物ということですね、
今は、「どうしてその答えになるのかわからない」のであっても、計算可能性が証明されさえすれば基本的な問題はないとみなして、「答えが(実用的精度の範囲で)正しいのであれば、それを採用する」のが正統派の人工知能のアルゴリズム理解です。「解析的解ばかりが解ではない」というのがアルゴリズム研究者の一般的理解になっていると私は思います。
最近の話題での「どうしてその答えになるのかわからない」という問題に、解答すれば、「どうしてその答えになるのか現在の人間には説明できないのが正しい」ということになります。これ以上の解はありません。
私見ですが、おそらく現在のディープラーニング(ニューラルネットワークの比較的新しいモデル)はヒトの小脳(一部は後頭葉)の機能をまねているもので、小脳で感知したことはそもそも宿主である人間でも説明できませんから、小脳の真似をしているディープラーニングの挙動を傍らに立つヒトが「説明できない」で当然だからです。
この問題への直接的解答にはなりませんが、この問題の高次的解決は、小脳の働きと大脳の働きの分業と協業のありさまが解明できて(脳科学的またはAI技術者の試行錯誤で)それなりの説明ができるようになれば、「どうしてその答えになるのかわからない」ような状態で「ヒトがなぜ困らないか」が分かるようになるだろうということです。
その高次解を得るまでは、AI技術者も汗と涙の日々が続くと思われます。』

参考になるかもしれない私の最近のブログ記事を引用させていただきます。よろしくお願いいたします。
飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/.../08/-2017-2--29-1fa.html
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中本浩之
丁寧なご説明、感謝いたします。特にロジックについては色々と調べたのですが、明確な答えが見つからずスッキリいたしました。出力側から補正というのは人間の脳の動きに似ていて実に面白いですね。人工知能の教育も論じる必要がありますから、教育者は大変そうです。ありがとうございました。
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飯箸泰宏
ご承知の通り、アルゴリズムは、コンピュータ向きの逐次処理などにこだわらずに、(優れた)人の脳がやる方法を採用することが良いアルゴリズムになる可能性が高いです。ソフトウエア技術者の定石ですね?
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優等生的な討論でしたね。古来、ヒトの知恵を磨く源泉の一つと言われてきた「問答」の力を見せつけてくれました。人工知能ともこんな問答ができる時代が来るといいですね。


次の記事では、プレコングレス開始前に行われた事前のFB討議を紹介します。

△次の記事: 感性的研究生活(69)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns495--69-8732.html
▽前の記事: 感性的研究生活(67)
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琵琶

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「飯箸による詳細説明書の紹介」第49回日本医学教育学プレコングレス(その3)--感性的研究生活(67)

2017/08/19
「飯箸による詳細説明書の紹介」第49回日本医学教育学プレコングレス(その3)--感性的研究生活(67)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
10. 『問答』を終えて
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プレコングレスのワークショップが終わった後もFBグループでの討議は続いていた。そこにかねて用意してあった私の詳細な説明資料を投入することにした。その説明資料をここにアップいたします。

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口頭での説明は、別の機会がありましたら、させていただくことにいたします。

次の記事では、プレコングレス開始前に行われた事前のFB討議を紹介します。

△次の記事: 感性的研究生活(68)
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▽前の記事: 感性的研究生活(66)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns492--66-24ec.html

琵琶

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「飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"」第49回日本医学教育学(その2)--感性的研究生活(66)

2017/08/19
「飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"」第49回日本医学教育学(その2)--感性的研究生活(66)

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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第49回日本医学教育学全国大会(2017.08.18-19)のプレコングレスのトリガースピーチのトップバッターは私(琵琶こと飯箸泰宏)だった。
トリガースピーチは表紙を含めて4枚のスライドを用いて行った。
スピーチの時間はとても短いので、事前に参加者に限定して公開した4枚のスライド画像それぞれに文章でコメントを付けておいた。コングレスに参加するより前に参加者の皆さんはこれらの画像と説明を読無ことができたということである。
それらをここでは引用して、ご理解の一助とさせていただく。

(1)一枚目のスライド[表紙]について(クリックすると拡大する)
1
飯箸のコメント:
システムハウスの経営は37年目になりますが、その間の36年間は、大学等でシステム系の教員をしてまいりました。年間平均250人前後の学生を教えてきましたので、教え子の総数は延べ8000人を超えるだろうと思います。
人工知能の研究開発には歴史的に3つのピークがありました。
 第一次ブーム(1956年~1966年、推論と探索の時代)
 第二次ブーム(1976年~1986年、知識の時代)
 第三次ブーム(2016年~、特徴表現の機械学習の時代)
この分類でいうと、今は第三次ブーム(2016年~、特徴表現の機械学習の時代)です。
1980年代の初め、日本は通産省(現在の経産省)主導の「第五世代コンピュータプロジェクト」が始まっていました。世界の第二次人工知能ブームの先頭に日本は立っていました。私は所属していた東大理学部情報科学科の國井利泰教授(学部時代のクラブの先輩)の手配で、M造船向け「全船種対応簡易設計積算システム」の設計・制作指揮・製造にあたりました。
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyo.../2006/09/5_ec82.html
これは人工知能の父と呼ばれるミンスキーの当時のペーパー(覚書程度のもの)にみられたヒトの知識の構造(フレーム型)についての示唆に勇気づけられて想像力を1万倍に膨らませてあらゆるところで新規創案に取り組むようなお仕事でしたが、民間で唯一成功した知識工学の挑戦的な成果となりました。結果として、図らずも、当時の人工知能ブーム(第二次ブーム、1976年~1986年、知識の時代)の頂点に立たせていただいたことになりました。日本が人工知能では一番進んでいた時代の日本のトップにたまたまなれたということは世界でトップだったのだろうと思います。
今回は、高橋優三先生にお声掛けをいただき、はじめて本学会に登場することになりました。このような機会をいただきましたことを、高橋優三先生をはじめ、ご関係の皆様に深く感謝申し上げます。
医療の専門家ではないのに、お目汚し、お耳汚しになることをまことに恐縮しております。
なにとぞよろしくお願いいたします。

(2)一枚目のスライド[22世紀の人生予測]について(クリックすると拡大する)
2
飯箸のコメント:
人工知能と言う言葉を聞くと身構えたり、反感を抱く人がいるようです。
確かに、人々の不安をあおるかのように、人工知能が人智を超えるだろうとと言われる「2045年問題」=「シンギュラリティ」などといかにもおどろおどろしい音韻の言葉もあり、今後20年くらいの間に士(師)業の40%以上が人工知能に奪われる予想がされていたりします。
しかし、私は、心正しく聡明な皆様には「人工知能は恐れるに足らず」と申し上げたいと思います。
今は21世紀の前半ですが、このスライドは、次の世紀、すなわち22世紀のころを予想したものです。
今でも、ヒトは一つのことしかできないというわけではありません。お医者さんと言えども「パパ」でもありますし、ある時は「釣師」で、ある時は「調理人(家庭の)」だったり、市民農園の農夫だったりもします。最近では、ボランティアで社会貢献する人も増えました。
人工知能が発展すれば、少数の人が少し働くだけで人類が生きてゆくのに足りる生産は十分に間に合うようになります。生まれた富は、社会に貢献する限りはヒトにその対価として配分されますから、少し働いてたくさんのインカムがある時代になるでしょう。ヒトはいわゆる「仕事」で社会に貢献しているだけではなく、笑顔や頑張る姿を見せるだけでも貢献します(芸能人やスポーツマンはこれを仕事にしていますが)。障がい者の皆さんもきっとみごとな生きざまで社会に貢献してくれるでしょう。ゆとりある時代となって、それぞれの人に対価が払われるので、まるでベーシックインカム(BI)が全世界に普及した状態となるに違いありません。場合によっては、制度としてのベーシックインカム(BI)が世界的に制定されるかもしれません。
仕事が少しになるのは困るでしょうか。余った時間はボランティアに力を入れ、趣味に没頭することもできるに違いありません。行き着く先は、一人の人が「特定の専門家」ではなくて、誰がどの専門家という区別も薄らいで単なる得意の一つになり、あらゆる人の振る舞いを一人の人が実現する可能性のある時代、あの遠くなった原人の時代、のヒトのように全人格的ヒト(トータルマン)になるということです。ただし、人類は、その時、AI(人工知能)を友にできたヒト(AIと一体化したポストヒューマン)というべき状態だろうと思います。現代の人がパソコンやスマホなしに社会生活ができないように「AI友」がいないと社会生活が困難となる時代が来ると思います。
「専門」が得意の一つになり、あらゆる人の振る舞いを一人の人が実現する可能性のある時代は、ヒトとして全人格をかけて輝くことのできる時代ではないでしょうか。その時、最も高く輝くのは、ヒトとしての高い志と哲学を持つあなたです。
ヒトは、原人から新人へと移行するにしたがって、人類にとって必要な知識が膨大になり、知識の獲得と保守と活用が、一人の自然脳ではさばききれなくなりました。ヒトは社会を作り分業と協業によって生きてゆくことにして以来、手に余る大量の知識を分割して専門家が必要な部分をそれぞれに分けて担うようになったと考えられます。
現代では、その知識の量がさらに膨大になり、人類全体でも支えきれないほどになっています。専門家はますます細分化され、それでもさばききれない必要な知識と情報は加速度的に増加して日々押し寄せてきます。知識に押しつぶされて心が折れ心を病む専門家も少なくありません。医療従事者はシステム技術者やデザイナの次に精神疾患の発症率が高いことがわかっています。ヒトは機械のおかげで、肉体的な重労働から大半が解放されました(その職業も減りました)。しかし、精神的な重労働からは、多くのヒトがまだ解放されていないのです。
この事態を救う技術として登場したものが人工知能です。人が手に負えない膨大な知識の獲得、保守、活用を替わってしてくれるかわいい奴がAI(artificial intelligence)というものです。
どんな専門家でも、今は、博識の友人に尋ねたり、隣接領域の学界に出かけて新しい知識を手に入れたりします。尋ねるべき友人がいつも身近にいてくれたら助かりますね。それが人工知能で自分の気持ちを分かってくれるのだったらかわいいと思いませんか。

(3)一枚目のスライド[現状の問題点]について(クリックすると拡大する)
3
飯箸のコメント:
スライドに書かれているとおりです。それぞれに少しずつ説明を加えます。
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●これからの30年、「AIが友人」の時代
 知識と技能はAIにかなわない  知識と技能に頼る医師はいらない。
 知識を産みだす医師、説明能力の高い医師が必要。
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当面の間、優れた専門家にはその知識をAIに教える仕事がありますが、教え終わるとリピート客はいません。専門家の知識を取り込んだAIはコピーされて多数で回るようになります。
外科手術などで神業ともいえる医療技術を誇る方も、AIロボットにその技術を教えてしまうと、その後のリピート客はいません。専門家の技能を取り込んだAIロボットはコピーされて多数出回るようになります。
いつの時代でも「専門家は、専門家不要の時代ために生涯をささげる」という真実がここにも存在しています。
新しい知識はAIによって次々に発見され報告されるようになるでしょうが、当初は発見した事象にAIは名前さえ付けられない程度の性能しかありません(低脳?!)ですから、人が名前を付けて、従来の知識群の中との整合性の有無を調べたり、その事象の意義を判定し、新しい人類の英知として取り込んでゆくことになります。しかし、その働きも、海馬を中心とする記憶の保守と知識高度化機能が解明されればいずれAIにも搭載されるでしょう。とはいえ、最初は原始的なレベルからの発展になりますので、人に残されるお仕事も当初はある程度あると考えられます。次第に人に残されるのは高度な判断しかなくなりますから、ヒトとして高度な判断ができる人にしか医師としての仕事がなくなります。ヒトとしての高度な判断は医学的専門知識だけでできるわけではありません。人類哲学(地球人類としての哲学)の力が必要です。
AIの報告を受けて高度な判断をして新しい知識として人智に取り入れることができる医師をスライドでは「知識を産みだす医師」、人類哲学の力あふれる医師を「説明能力の高い医師」としました。トリガースピーチでは、このコメント欄に書いた内容を説明しきれない(かった)からです。
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●これからの30年、定形教育はAIに移行
 定形教育はAIにかなわない  定形教育しかできない教師はいらない。
 日々問題を発見して日々創造し、創造性教育ができる教師が必要。
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SIGEDU(ソフトウエア技術者協会教育研究部会)のお仲間もこの討論には参加していると思われます。皆さん、ご安心ください。定形教育を設計通りに実施する人(IDee)は大幅に不要になりますが、定形教育を設計し、日々メンテする人(IDer)は、当面の間、必要です。
定形教育を設計通りに実施する人(IDee)の仕事は次第にAI教師に譲ることになりますが、人は人によってのみ心の成長が遂げられるという実に厄介な存在なので、心高い先輩が常に励まし、先導することが欠かせません。児童生徒学生はいつもAIが助けてくれる知識の詰込みには以前に増して興味がなく、新しい問題を発見して解決してゆくことに強い興味を抱くようになるでしょう。知識の伝達はAIロボットが個人個人の個性にあった方法で懇切丁寧にやってくれるでしょう。そのため知識伝達型の生身の「先生」はいなくなるかもしれませんが、ヒトとしてのものの考え方、問題発見の方法や解決の方法を伝える生身の「先達(せんだつ)」は残るでしょう。
AIロボット教師は膨大な教育の試行錯誤データを収集しますから、そのビックデータを基にして教育の設計が大きく変化してゆきま。その行き着く先にあるものは教育の個別カスタマイズであり、定形教育の解消ということになります。
一方、定形教育を設計し日々メンテする人(IDer)はAIの支援を得て設計にいそしむことになるでしょうから、AI友が手放せなくなります。ビックデータから抽出される設計手法が重視されるようになり、IDの過度に教条化され現実に合わない部分が次第に解消され、人々に受け入れられやすい設計がされるようになってゆくと思われます。
定形教育を設計し日々メンテする人(IDer)は、次第にAIから提示される設計案(教案)に対して高度な判断だけをすればよくなります。高度な判断だけをすればよくなるということは、高度な判断が必要ということであり、ヒトとしての高度な判断が要求されることになります。ここにも「人類哲学」が欠かせません。教育の方法は次第に個別化してゆきますので、一握りの専門家の手には負えなくなるでしょうから、現場にその判断がゆだねられるようになり、現場にいる「先達」の皆さんもまた高度な判断を迫られることになります。現場にいる「先達」の皆さんは気高い心と人間力を備えた哲人(人類哲学の具現者)であることが求められるようになるでしょう。
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●22世紀、知的活動不要の時代となるのか
 ヒトには「生殖」しか残されていない?
 哲学は生き残る。
 ヒトの哲学とAIは共生してポストヒューマンとなる(期待)。
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ヒトの知的な活動がAIに置き換えられ、AIが生存(動作)できるための機器がAI自らの手で次々と開発されるようになると、AIは老朽化した自分の体を新しい機器に取り換える(機械をファイル移動で乗り換える)ことができるようになります。つまり永遠の命が誕生します。なんと、生殖などという野蛮な行為をしなくとも、です!
人には寿命がありますから、生殖しない限り絶滅してしまう運命となります。
「AIは、やがてあらゆる意味でヒトを超えて、生き残った少数のヒトを動物園に囲い込んで保護し、前時代(神代の時代)の貴重な遺物として研究材料にするのではないか」という予想があります。
悲しい予想であり100%の否定はできませんが、私はそう思いません。いな、思わないとにしています。
ここでは、それらに対する私の勝手な私見をいかに述べさせていただきます。
人はエゴイスティックな動物です。自分たちの種がいつも最高であり、少なくとも自分たちの種だけは永遠に繁栄を続けたいと願っています。おそらく別の生物種もそうでしょう。
拝火教(後にゾロアスター教に統合)は、焼き畑農業の世界的普及とともに地上に現れた最初のグローバル宗教と考えられています。初期の文献はありませんが、その後のグローバル宗教の生みの親になりました。ユダヤ教やバラモン教はその直接の子どもたちです。ユダヤ教やバラモン教の子どもたちがキリスト教やイスラム教、仏教ということになります。グローバル宗教の開祖ともいうべき拝火教(ゾロアスター教)の初期の教えの中に「人の究極の目的は人とその子孫の悠久たることである」というものがあります。究極のところ、ヒトは人とその子孫の悠久たるを目指して生きているのではないでしょうか。
人とその子孫の悠久たるために人々は愛し合い、喜びを分かち合い、子孫を残す営為を繰り返してきました。そのためには、単にうかつに生きているだけでは生物界の中では体力的に見劣りする人は生き延びることができなかったはずです。人は知恵を発達させ、グランドセオリー(実はグランドナレッジ)の獲得に努力し、そのグランドセオリー(実はグランドナレッジ)に日々新しい知見を追加し、すでにある既存知識との矛盾しない結合を模索し、過ちを日々修正し、その成果を活用するという行いを先史以前から続けてきました。西洋文化に毒された言い方をすれば、それは哲学(愛智)です(東洋的に言えば叡智)。
必要な知識が膨大となった今は、AIの力も借りて(友として)グラウンドナレッジとし、またグラウンドナレッジの保守も新規追加もAIの力を借りて高速化して、活用できる時代になったと言えないでしょうか。
あまりにも膨大で変化が速く人類がルネッサンスを過ぎて一度あきらめかけたグランドナレッジをもう一度復権させることができる時代です。ヘーゲルが事実上哲学の範疇からも投げ出したランドセオリー(実はグランドナレッジ)をもう一度取り戻して、今は、新しい哲学(人類哲学)を確立しつつ、ヒトの未来を導く道が開けているように思います。
AIの計り知れない知の力に、熱い人のハートががっちりとタッグを組めば哲学は古めかしいほこりを振り払ってあたらしい時代の哲学として再生され、人類悠久の未来を切り開くことができるのではないかと思う(願望する)ところです。

(4)一枚目のスライド[人工知能技術の現状と問題点]について(クリックすると拡大する)
4
飯箸のコメント:
ここには、これまでの人工知能の進化の歩みとこれからの予想が書かれています。
多くのAI関係者が「2045年=シンギュラリティ(AIが自律的にAIを開発発展させ始めて、ヒトの手に負えなくなる?)」説を取っていますが、私は、2045年では時間が足りないとみています。確かに電子回路の集積度は飛躍的に大きくなっていて、人工知能の処理能力も現在とは比較にならないほど大きくなっていると思われますが、ヒトの脳および神経系全体に比べて、人工知能が到達した能力はあまりにも部分的でひ弱だと言うのが私の見方です。
特に、これまで、ヒトが開発した人工知能は、概ね大脳新皮質の働きをまねたものでした。第一次ブームでは前頭葉の後ろ半分(運動野)と頭頂葉が連動する働きのいくつかをマネできたに過ぎないと思われます。第二次ブームでは側頭葉と頭頂葉と運動野が連動する働きのいくつかをマネできたところです。第三次ブームとなって、後頭葉と小脳の働きの一部をマネできるようになりましたが、脳の広大な領域がまだ手付かずです。大脳辺縁系や、間脳(視床, 視床下部), 脳幹(中脳, 橋, 延髄), 脊髄, 松果体, 脳下垂体, 前頭葉(前部・後部)が手付かずです。全身に広がる神経系と節々にある結節部の神経の塊の働きなどと大脳や小脳の働きとの連動についてもよくわかっていません。
何よりも問題なのは、小脳で得られた知識が大脳でどのように扱われるのか、大脳で処理された結果の知識がどのように小脳に転送され保存されるのかなどについてまったくわかっていないということです。
人工知能の世界で、直面している喫緊の課題は、ディープラーニングで得られた知識(人は説明できない)に名前を付けてフレームなどの知識ベースにどうしたら取り込むことができるのかということです。
世間では、ディープラーニングがその前の人工知能の技術を塗り替えた新しいものという誤解がはびこっていますが、これは間違いです。ディープラーニングもその前の人工知能も並立する技術でやがて融合しなければならないものですが、今のところ別々に存在しているものです。ディープラーニングは最後に目立った成果を上げましたが、その前の技術は社会生活に溶け込んだ様々な情報システムの中でAI××の名や名も知られずに広く使われています。
統合してこそ、完全な人の脳に近づきます。小脳だけで人の脳というわけにはゆきません。
しかし、今は、第一次ブームの成果と第二次ブームの成果はそこそこに結合して利用されていますが、第三次ブームで脚光を浴びているディープラーニングが他の技術と融合できていません。つまり小脳と大脳がまだつながっていない状態です。小脳と大脳の間には小脳虫部という神経線維の束が貫通している部分がありますが、ここに障害があると人ならば自閉症ないし自閉症スペクトラムになると言われていますが、人工知能は全くこの部分がつながっていないのでもっとひどい状態ということになります。
私は、2045年前後にようやくこの問題が解決して、それから30年ほどかけて人工知能は完成に近づくという予想を立てて、この表を作成してあります。人々がシンギュラリティがくると心配する2045年はまだ人工知能開発研究の道半ばだというのが私の見方です。単なる私の勝手な予想ですから、私の予想に反して、他の人々が主張するように2045年にはシンギュラリティがやってきているのかもしれません。今は、何とも断定はできないところです。

次の記事では、詳細説明資料(バワポ)を紹介いたします。

△次の記事: 感性的研究生活(67)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns493--67-a464.html
▽前の記事: 感性的研究生活(65)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns49--65-6d3b.html

琵琶

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SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学(その1)--感性的研究生活(65)

2017/08/19
SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学(その1)--感性的研究生活(65)
~プレコングレスの開催、これからのAI教育など~

ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
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もう一昨日(8月17日)のことになるが、第49回日本医学教育学全国大会(2017.08.18-19)のプレコングレスとしてこの会が企画された。主たるテーマは「人工知能の発達に対応する医学教育」というものである。

私は、このプレコングレスに医療関係者でもないのにトリガースピーチャの一人にお誘いを受け、冒頭で発言し、その後は他の参加者とともに討議の熱気の渦中に巻き込まれてゆくことになった。
企画の立案者で、中心的な推進役となったのは岐阜大学名誉教授の高橋優三先生である。事実上の企画メンバーは、高橋(優)、飯箸、淺田、米島、吉田、大西、中本だった。
当日はトリガースピーチを高橋(優)、飯箸、淺田が行い、会場スタッフとして米島、吉田、大西、中本、淺田が活躍することになった(敬称省略)。

トリガースピーチを行う3名は、「第25回 SEA 新春教育フォーラム 2017--人工知能と未来の教育」で講演したメンバーと同じなので、「阿吽の呼吸」が通ずる関係だった。
会場は、札幌会場(札幌医大)と東京会場の2か所に分かれGotoMeetingという映像配信アプリで両者をつないだ。それ以外にSNS(実はFBグループ)とGotoMeeting(受信のみ)で参加する人もいたので、全世界から参加することが可能な環境となり、イギリスからの参加者もいた。
17:00スタートだったが、各会場には15時ころから企画スタッフが集まり、事前準備を開始して16時には中継テスト(リハーサル)を実施した。当初私のマシンがネットにつながらずに冷や汗だったが中本氏のご助力で何とかなった。

トリガースピーチは制限時間3分ずつだったが、三人とも話しなれているので、パワーポイントを利用して3分半くらいずつで話を終えた。

1) 飯箸のトリガースピーチの概要(クリックすると拡大します)
20170810ai1

2) 淺田先生のトリガースピーチの概要(クリックすると拡大します)
170810__1

3) 高橋先生のトリガースピーチの概要(クリックすると拡大します)
__1

実は、開催日2日前から、三人のトリガースピーチのパワポのスライドを画像化して討議用のFBグループにアップして書き込みを促していたので、FBグループではすでに討議が始まっていたのだが、当日の討議開始まで言いたいことをためてきた方々も少なくなかったようで、「討議を始めてください」との高橋優三先生の合図があると、各会場に作られたグループの島ごとに一斉に話し合いが開始された。
参加者の多くは大学病院の医師であり、大学で講義を受け持っている教育者たちであった。会場での話題の中心は「AI(人工知能)を導入する前に解決しておきたいこと」にあったというのが私の印象だった。
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・AI(人工知能)を導入する前に、現状のガイドライン(医療行為の)でいいのか。
・ガイドラインを変更するルールが不透明に過ぎる。
・AI(人工知能)にガイドラインを教えるのだろうか。医療の進歩にタガをはめることにならないのか。
・医師はその現場でそれぞれの瞬間ごとに創意工夫している。しかし、、AI(人工知能)にガイダンスのタガをはめたら、医療の停滞が起きてしまう。
・医師免許試験はマークシートでやっているが、そんなことでいいわけがない。しかもテスト問題を作る側には合格させる人数があらかじめ示されて、それ以下にも以上にもならないように問題を作ることが求められている。年々問題を易しくしないとそれだけの医師が確保できなくなっているので、試験はますます易しくなっている。
・期末などのテストでは、平均が70点になり、2割の学生が単位未了となる正規分布が生成する問題を作れと言われている。ようは教師としてはここまで教えておきたいという内容のテストをすることができない。教える内容を手控えておいて、試験の内容を薄くすれば、良いテストでよい教師と言われる。
・AI(人工知能)にできる教育って人間にできるものと違うのか。
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トリガースピーチの内容からはかなり外れた討議が行われたように感じたが、これはトリガースピーチを行った主催者側の事前リサーチの不足という以外にない。
この教訓は、次回のイベントの際には十分に生かすべきであると感じた。

参加者から「AIからかなり外れた話が多くなってますが、いいんですかね」という質問を受けたので、私は次のようにお答えした。
「どの時代でも新しい技術を業務に取り入れようとする際は、現状のやり方のまま移行すべきなのかどうせ新しい技術にするのであれば業務内容を一新するのかという議論が起こります。それはごく自然なことで、その議論には、現状の業務に対する不満を解消するきわめて良い機会と受け止める意欲的な人たちの熱い思いが込められていると思います。皆さんのお話も前向きで素晴らしいと思います」

また、「AI(人工知能)にできる教育って人間にできるものと違うのか。」については、次のようにお答えした。
「新しい技術に盛られる新しいテーマの初めのうちは、古いテーマの焼き直しであることが多い。なぜかというと、ヒトは存在していないものについては想像力が少ししか働きません。しかし、古い時代に望まれて実現できなかったり不十分にしか実現できなかったテーマは強い印象が人々の間に残っていますから、新しい技術で"(出来なかった)あれ"は実現できるかと強い関心がもたれるようになります。今回のAI第三次ブームで取り組みが望まれていて、取り組めば確実に成果を上げられそうなものは次の二つでしょう。
①プログラム学習教材(ビデオによる)--学習者のつまづきに応じて分岐先を変更して必要な理解を積んでから元に戻るなどの双六型の教材のこと。1960年代に紙ベースで作られました(書籍)が、使用されれば使用されるほど修正が頻繁に必要なことからコスト割れして市場から敗退しました。1980年代にパソコンのアプリとして再登場しましたが、ストーリを作れる教師が圧倒的に不足していて、飯箸チームが撤退してからは後続作品が作れなくなって市場から消滅しました。今は、システム化すれば膨大な学習履歴が採集できることからディープラーニングにかけて自動的にストーリの最適化が進められる可能性が出来たので、実用化の可能性が高まっています。
②シミュレーション教材--『実験』と言う名で学習にはシミュレーションが取り入れられてきましたが、教員の理科離れで『実験』が次第に行われなくなってきています。事前の準備や後始末で必然となる時間外勤務が負担となっていることも原因の一つです。それ以外に現実問題として実施が困難なものもあります。(生命の危険を排除できない)人体実験やコストが高くて安定性の掛ける模擬患者よるシミュレーションもその範疇にあります。1980年代理科や数学のシミュレーション教材をパソコン炙りとしてOEM製造していた飯箸チームが撤退すると他のチームではコストが1桁高くなるなどの理由で市場からは姿を消してしまいました。今は、AI搭載によって、数式モデルや心理モデル、患者の病理モデルなどを比較的簡単に投入することができるようになることが予想され、修正も自動的に学んで自律的にさせることもできることから期待が高まっている領域です。疲れや飽きを知らない模擬患者などは医学教育の現場では大変な魅力なのではないでしょうか。」

私が東京会場で参加したグループには、現役の麻酔科の医師で大学の教授、健康相談サイトの経営者、児童医療サイトの運営者がいて、終始、実にレベルの高い議論が展開されて、十分心が満たされる時間となった。
企画の発案者と会場スタッフを引き受けてくださった皆さん、会場に参加された大勢の皆さん、それ以上に広い範囲から参加されたFBによる参加の皆さんに心から御礼を申し上げます。

─────────── 開 催 要 領 ──────────
プレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学会

人工知能が医療を変えます。そして医師の役割も変わります。では、その時代に活躍する医師を現在育成する医学教育は? などについて参加者の議論を通して理解を深めます。
今回は札幌と東京を繋ぎつつ、SNSを使った能動的なワークショップを目指しています。
(開催概要)
■ 日時:2017年8月17日(木)17:00〜18:30
■ 会場
 1)札幌会場:札幌医科大学 B会場(教育南棟 3階 南第四講義室)
     地図: http://web.sapmed.ac.jp/jp/info/access.html
    建物図: http://web.sapmed.ac.jp/jp/info/map.html 
 2)東京会場:キャンパスイノベーションセンター東京(田町)
        5階 509
     地図: http://www.cictokyo.jp/access.html
■ 参加費:無料
■ 参加申込 画面上部写真の右下にある青いボタン「登録する」をクリックまたは、「https://goo.gl/Riqkwr」にアクセスして申し込みフォームに必要事項を記入して送信してください。
■ 参加申込締切:8月15日(火)
■ 当日のワークショップの進め方 
トリガースピーチ(3本を予定)を参考に、参加者は小グループ(4~5名程度)で議論をし、それをFacebookに投稿しつつ、参加者全体での意見交換を行います。 
札幌会場と東京会場は、「Web会議」で中継接続します。
申し込みをされた方に手順について改めてご連絡します。
■ 持参して欲しいもの
Facebookにアクセスできる端末(スマホまたはiPad、PCなど)
必須ではありませんが会場で、意見交換に使用します。
■ Facebookグループ:
https://www.facebook.com/groups/igakukyouikuAIgroup/
----------------------------------------

私の発表資料(トリガー)や私の発言に関連する質疑等については、次からの記事に譲る。


△次の記事: 感性的研究生活(66)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/sns492--66-24ec.html
▽前の記事: 感性的研究生活(64)
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2017/08/-25sea--64-bba2.html

琵琶

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飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)

2017/08/12
飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)

(1)偉大な心理学者ラリー・スクワイアの限界
脳科学の進歩は著しい。以前はまるで頼りなく思えた脳科学も、ようやく心理学が到達していた水準に追い付いてきたようである。
いまだに心理学の世界ではもてはやされているスクワイアの記憶の分類は、そもそも重要な欠陥があった。ある種の記憶の多くが階層化されていて抽象化の昇り階段と具象化の下り階段を持っていることが全く抜けているのである。
このことを強く意識し始めたのは、第二次人工知能ブームのころ、私がフレーム型の知識ベースを用いて日本で初めての実用システムを完成させたときのことである。フレーム理論は現代的な人工知能の開祖(人工知能の父)と言ってよいミンスキーによって提唱されていたものである。当時、ミンスキーはフレーム理論を提唱していたが、それを基にしたフレーム型の知識ベースやその推論エンジンを提唱していたわけではない。フレーム型の知識ベースやその推論エンジンを考案してシステムに結実したのは私とそのチームだった。
私はそのころからスクワイアの記憶の分類には欠陥があることを感じていた。何しろスクワイアの記憶の分類には、フレーム型の階層構造に対応するような階層構造を持つ知識がどこにもないからである。これを正しく訂正したいと当時から漠然と考えていたのであるが、そのことがその後記憶の分類における「スクワイア-飯箸モデル」を提唱するきっかけとなった。
「スクワイア-飯箸モデル」としては、すでに2度、私は提案している。
一度目は次世代大学教育研究会や下記ブログ(2005年)などで発表したもので、スクワイアモデルの決定的な欠陥(階層構造を持つ記憶の欠落)を指摘したものである。
「記憶」の社会性--心理、教育、社会性の発達(3)
二度目は当時出ていた脳科学関係の部分的で虫食い的な論文を2000ほど乱読したのち、大脳の各部分ごとの機能分類に目星をつけて分類したものである。この分類は情報コミュニケーション学会で発表した。この当時は、脳科学は大脳のダイナミズムをとらえるほどには発達しておらず、大脳という巨象に対して好きな小部分を脳外科の医師らがそれぞれに虫眼鏡で覗いて報告しているようなもので、全体像を述べる学者はほとんどいなかった。この状況に引きずられて、私も、細部の分類にのめりこみ過ぎてモデルというには些細なことにとらわれ過ぎているものとなっていたことは大きな反省点である。2009年の情報コミュニケーション学会で発表した内容が下記のブログで見ることができる。
「新しい"記憶の分類"の提案」情報コミュニケーション学会--感性的研究生活(45)

(2)飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017
これまでの2つは心理学者ラリー・スクワイアに敬意を払って、どちらかと言えばスクワイアモデルを土台にして修正を加えたが、今回は、むしろ脳科学の進歩を取り入れて、脳の物理的機能を中心に記憶を分類しなおしている。ラリー・スクワイアの分類も活用しているので、敬意を表して "(&スクワイア)" と記しておく。

飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017(クリックして拡大)
2017

これまでの分類表と違って、脳のどの部分の機能であるかがわかりやすくなるよう表の一番左側の列には脳または神経系の部位を大きくくくって並べてある。
私が取り入れた脳科学の進歩は大きくは2つある。
①小脳の働きが最近分かり始めており、従来のように単に運動関係する低位な器官とは言えなくなったこと。
②「短期記憶」の実態が前頭前野部の局在していて、興味深い機能を備えていることが分かったこと。
③睡眠によって記憶が整理される仕組みがわかりかけてきていること。
などである。
人間の脳の各部位の概略は次のとおりである上記の「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」に書かれている部位で図に示されていないものもあるがご容赦いただきたい。

人間の脳(クリックして拡大)
Photo_3

(3)「ラリー・スクワイアの古い記憶の分類」と上記の「飯箸(&スクワイア)記憶の分類2017」
ラリー・スクワイアの古い記憶の分類によれば、おおむね下記のような分類になる。
1 感覚記憶
2 短期記憶
 2.1 ワーキングメモリ
3 長期記憶
 3.1 陳述記憶
  3.1.1 意味記憶
  3.1.2 エピソード記憶
 3.2 非陳述記憶
  3.2.1 手続き記憶
  3.2.2 プライミング
4 自伝的記憶
似ている部分もあるが、ずいぶん違っているところもある。
大きな違いは、次のとおりである。

ラリー・スクワイアの分類---飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017の主な違い(クリックして拡大)
Photo

「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」に基づいて、第三の推論について述べるのは、しばらく後に回すことにする。その前に、やらねばならないことがいくつかある。例えば「演繹的推論」とは何か、「帰納法的推論とは何か」などである。これらの説明においても、「飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017」は役立つものと思う。

演繹的推論の科学「推論方法に科学を(3)」--独創力の創り方(30)(予定)に続く。


△次の記事: 独創力の創り方(30)
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琵琶


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三つの推論方法「推論方法に科学を(1)」--独創力の創り方(28)

2017/08/08
三つの推論方法「推論方法に科学を(1)」--独創力の創り方(28)

本日から、ぼつぼつと、「第三の推論方法」と言われるものを超える考えについて述べてゆくつもりである。

先日、別の記事の中でも書いたが、「独創」ということについての誤解がまだまだ広汎にはびこっているようだ。この誤解は、最近話題の「第三の推論方法」に集中しているように思う。
アブダクション考--第132回次世代大学教育研究会--感性的研究生活(62)
上の記事の中でも触れたように、第三の推論が最近では「アブダクション」と呼ばれて取り上げられることが多くなった。
歴史的にはもともと「アブダクション」に替わる概念には、東洋では「(禅問答のような)問答・瞑想・ヨガ・座禅」というものがあり、西洋には主として「問答法・弁証術・弁証法」というものがあった。
問答には、一対一の対話形式もあるが、複数の人々で行われる会話式のものもある。

201708081
20170808
上記2つのイラストは「哲学的問答法のやり方【哲学対話入門】」より

201708032
201708033_2
ヨガ・座禅と瞑想は紀元前数千年の歴史があり、源流は一つと考えられている。

西洋ではギリシャ時代以来、「問答法・弁証術・弁証法」が主に行われてきたが、中世後期からは瞑想法もアラブ経由で流入している。「問答法・弁証術・弁証法」は、ソクラテスにはじまり、その弟子のプラトンと弟弟子のアリストテレスが引き継いで発展させた。以降たくさんの哲学者が後を継いだが、近代ではヘーゲルによって集大成されたとされている。ヘーゲルの後は弁証法が政治運動に利用されて昏迷して行くのだが、それについてはここでは触れない。

20170803_3
ソクラテス「知の快楽 哲学の森に遊ぶ」から

20170803_4
プラトン「知の快楽 哲学の森に遊ぶ」から

Photo
アリストテレス「あなたを変える名言の森」から

Photo_2
ヘーゲル「amanaimages」から

これらは、第三の推論に属する人間活動の一つの分野をそれぞれに切り取って別々の角度から表層的に眺めているにすぎないように私には思われる。私は、もっと深く、その真実に迫りたい。
その実体は、「仏のご加護」や「神業」とかではなくて、ましてや「場の力があればフト思いついて、ヒョイト乗り越えられる」ようなものでもなければ、「仮定構築(モデル構築)の手順さえ踏めば誰でもできる」というような安易なものでもない。
私は、第三の推論に科学的な光を当てる小さな試みに、これから取り掛かりたい。
書きながら考えて、考えながら書くことになりそうだ。

さて、ここでいう三つの推論方法について整理しておく。
最近では、一般に推論の方法には次の三つがあるとされている。
 ①演繹的推論
 ②帰納的推論
 ③演繹でも帰納でもない第三の推論
これらの推論についての考察をする前に、次回は、「記憶の分類(飯箸仮説)」について述べる予定である。
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「記憶」の社会性--心理、教育、社会性の発達(3)
二度目は当時出ていた脳科学関係の部分的で虫食い的な論文を2000ほど乱読したのち、大脳の各部分ごとの機能分類に目星をつけて分類したものである。この分類は情報コミュニケーション学会で発表した。この当時は、脳科学は大脳のダイナミズムをとらえるほどには発達しておらず、大脳という巨象に対して好きな小部分を脳外科の医師らがそれぞれに虫眼鏡で覗いて報告しているようなもので、全体像を述べる学者はほとんどいなかった。この状況に引きずられて、私も、細部の分類にのめりこみ過ぎてモデルというには些細なことにとらわれ過ぎているものとなっていたことは大きな反省点である。2009年の情報コミュニケーション学会で発表した内容が下記のブログで見ることができる。
「新しい"記憶の分類"の提案」情報コミュニケーション学会--感性的研究生活(45)

次回は、脳科学のその後の進化に基づいて、極力整理したモデルを提案したいと思っている。

そののち、「演繹推論」と「帰納推論」について、それぞれ簡単に解説する。
その後、第三の推論についての前時代的な神がかり的な解釈を打ち破る私なりの仮説を提案したい。その仮説は人工知能の時代にふさわしい一歩前にすすんだものになるはずである。

飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)に続く。


△次の記事: 独創力の創り方(29)
(準備中)
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琵琶


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人工知能と未来の教育、発表とバネル討論-第25回SEA新春フォーラム--感性的研究生活(64)

2017/08/04
人工知能と未来の教育、発表とバネル討論-第25回SEA新春フォーラム--感性的研究生活(64)

本年1月27日に行われた第25回SEA新春フォーラム「人工知能と未来の教育」で、私は講演とバネラをつとめた。
ブログをお休みしている期間のことだったので、これまでブログには書かなかったが、私の残り少ない記念碑的発表になりそうなので、最小限度にとどめて、当日の発表内容を記しておきたい。
当日の講演者とバネラは3名で私の講演は2つ目に行われた。タイトルは「人工知能の時代ヒトは何ができるのか」としたが、もともとは「ディープラーニングの衝撃とこれからの人工知能」と予告していたものを直前に変更したものである。
1つ目の講演の淺田先生は医学教育に携わっており、3つ目の高橋優三先生は現役の医師でもある。2つ目の講演を行った私だけが医学とは無関係ということになった。
私は、人工知能発達の歴史を振り返って、現状がどうなっていて、何が不足しているのかを明らかにした。また、今後はどのように発展するかについて預言めいた説明もさせていただいた。

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第25回 SEA 新春教育フォーラム 2017
人工知能と未来の教育
共催: ソフトウェア技術者協会 (SEA)/教育分科会(sigedu)
熊本大学大学院教授システム学専攻
参加者募集
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近年とみに話題になってきた人工知能はコンピューターの持つ圧倒的な情報蓄積量と情報処理速度により,将棋などのゲームをはじめ人間が行う知的活動のレベルを超える領域になりつつあり,人類にとって脅威となるなどと言った議論が交わされるようになってきました.
そうした議論はともかく,コンピューターの持つその情報量が人間の学習を支援するという意味で近い将来かなり大きな役割を果たすことになることは間違いないでしょう.また文科省の推し進める「アクティブ・ラーニング」,すなわち学習者が自律的で能動的な学習スキルを身につけることを促進するという意味でもコンピューターが学習支援システムとして大きな役割を果たすことになると思われます.
こうした背景の中,教育工学(インストラクショナル・デザイン)をベースにして教育設計や教育改善に取り組む私たちとしては,人工知能を学習リソースの中の一つとして捉え,その機能を最大限活用したコースデザインをする必要性が生じてきています.
今回のフォーラムでは教育に対する人工知能の持つ可能性を探りながら,未来の教育はどんな姿になるだろうかを描き,その有効性を議論・検証します.新春にふさわしい新鮮な議論を展開しましょう.(実行委員長 米島博司)
─────────── 開 催 要 領 ──────────
1. 日時
2017 年 1 月 27 日(金) 13:30 – 17:30
2. プログラム
13:00 開場・受付開始
13:30 開会挨拶・講師紹介 実行委員長
   ソフトウェア技術者協会 幹事
   米島 博司(パフォーマンス・インプルーブメント・アソシエイツ 代表)
13:40 講演1 「教育現場からの人工知能への期待と可能性」
    淺田 義和(自治医科大学 情報センター 講師 )
14:30 講演2「ディープラーニングの衝撃とこれからの人工知能」
    飯箸泰宏( 株式会社 サイエンスハウス 代表取締役社長)
15:20 (休憩)
15:30 講演3「人工知能時代の医療と医学教育」
   高橋 優三( 岐阜大学名誉教授、兵庫医科大学客員教授 )
16:30 パネルディスカッション「教育への人工知能の可能性」
    座長 鈴木 克明(熊本大学大学院教授システム学専攻長 教授)
17:20 終了挨拶 ソフトウェア技術者協会
    幹事 篠崎 直二郎(開智Naoj 代表)
17:30 (解散)
  事例発表者と内容は変更されることがありますので予めご了承ください。
3. 会場
  キャンパス・イノベーションセンター東京 5階 508
  〒108-0023 東京都港区芝浦3丁目3番6号
  最寄駅: JR山手線・京浜東北線 田町駅 芝浦口(東口) 徒歩1分
  都営三田線・浅草線三田駅 徒歩5分
  http://www.cictokyo.jp/access.html
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私の発表資料は次の通りです。

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私は、何とか人工知能の専門家としての一定の存在感を示すことができたものと思う。


△次の記事: 感性的研究生活(65)
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琵琶

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