「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その7)--感性的研究生活(71)
2017/08/19
「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」第49回日本医学教育学プレコングレス(その7)--感性的研究生活(71)
ミニシリーズ:
「SNS中継、映像中継によるプレコングレス【人工知能の発達に対応する医学教育】第49回日本医学教育学--感性的研究生活」--at 2017.08.17
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1. プレコングレスの開催、これからのAI教育など
2. 飯箸によるトリガースピーチ "始まったAI友の時代"
3. 飯箸による詳細説明書の紹介
4. 事前討議《1》: 中本浩之氏 "処理ロジックについて" など
5. 事前討議《2》: 伊藤昌夫氏 "チャペックの R.U.R. " など
6. ディープラーニングは人工知能の全部か/一部か
7. いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
8. AIは空気が読めるか、ジャッジは人間優先か・AI優先か
9. Dr. Akira Naito(精神科医、英国在住)との対話: "ヒトは危うい、ましてやAIは?
10. 『問答』を終えて
11. 続編1: 高橋優三名誉教授 "白い巨塔から"
12. 続編2: 週刊プレイボーイ "人間は『命に関わるAI』を使いこなせない?" "AIの暴走=ブラックボックス"
13. 続編3: 授業におけるFBなどのSNSの可能性
14. 続編4: "共感とAI"、"AI教材は何から始まる"
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札幌会場のG8で出た意見をYI氏がまとめてくれた。これをきっかけに重要に討議が始まった。「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」というものである。
企画メンバー以外で、本名の使用の許可が確認できていない方はイニシャルで記載しています。企画メンバーは公知の氏名なので、本名を使用させていただいています。ご了承ください。
いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
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YI氏
G8
医師患者関係を円滑にするためにAIを活用できるか
外科手術をAIに任せることができるか
AIが間違った判断をした時にそれを間違いを指摘しても信頼してもらえるか。ほかの人を説得できるか
新しい医療を作るのはAIには難しいのでは?
癌は遺伝子が解明されつつあるので、治療法はAIが決めてくれる
AIの方が診断が正しいので、医師の話を聞かなくなるのでは?
いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?
AIを利用できる環境がオープンアクセスできなくなるかも。情報の囲いこみ
適切な治療を選択できるので、医療費が抑制されるかも
倫理的な問題に関わる時にはAIが対応できるか
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飯箸 泰宏
どれもこれもAIの使い方によるのではないでしょうか。また、初期はヒトの決断のほうが優れているでしょうが、やがてAIのほうか危急の時にも冷静さを失わない正しい判断を下すなどの点で人よりも少なくとも頼りがいのあるものになってゆく可能性があるように思います。
航空機の自動運転制御においては、ヒトの制御が機械制御より優先される時代はすでに過ぎ去っていて、人間の判断と機械制御の判断に食い違いが生じた際は機械制御の判断が優先されるようになっています。一昔前とは逆になっているところが面白いところです。医療AIも同じ道筋を通ることが予想されるところです。
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高橋 優三
「いわゆるヒラメキをAIが提供してくれるか?」
ああ、これは興味深い問いですね。
この問いについてを考えていて、「ヒラメキとは、何か?」に立ち戻ってしまいました。
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飯箸 泰宏
少しだけアイディアがあり、むずむずしています。
いま、この問題を整理して現段階を書き残しておきたいと思って、ブログにミニシリーズ("××××××「推論方法に科学を(n)」--独創力の創り方(mm)" )を書きかけています。他の用件や他に書きたいことなどがあってなかなか進みませんが、書き進みましたら、ご笑覧に供したいと思っています。
三つの推論方法「推論方法に科学を(1)」--独創力の創り方(28)
飯箸(&スクワイア)の記憶の分類2017「推論方法に科学を(2)」--独創力の創り方(29)
ひらめき、はやり言葉でいえば「アブダクション」、著名な手法としては問答法、瞑想法、Triz(トライズ)などがあります。西洋哲学の世界では「問答法(ソクラテス)」「弁論術(プラトン)」「弁証法(アリストテレス)」・・・「弁証法(ヘーゲル)」があります。
ひらめきも物理的な脳の働きですから、解明できないはずはないというのが私の立場です。解明(脳科学によって、またはAI技術者による試行錯誤によって)できれば人工知能に取り入れることも十分可能というのが私の予想です。ひらめきのためには十分な前提知識が必要で、何も知らぬ小僧が高橋先生と同じひらめきは致しません。十分なバックグラウンドを持つ知性しか良いひらめきをもたないというのが大きなヒントであると思っています。小僧のひらめきはろくでもないものばかりです。
仏教の世界でも「いくら座禅をしても普段の勉学が足りない者に悟りはない」と教えます。西洋哲学ではグラントセオリーの学びなくして知恵はないと(ヘーゲルの直前までは)言われていました。私の予想では、必要なものは「グラントセオリー」だけではなく「グラウンドナレッジ(グラントセオリーはその一部)」だろうと思っていますが。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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中本浩之
先日から気になって仕方がない事を一つ書きます。少し前に大悪人のAIについての議論を飯箸先生と行いました。ヒトラーを賞賛するAIが現れ、これを停止し、組織が正しいとする知識だけでAIのラーニングを再度行ったという話があります。人間は様々な興味にしたがって、派生的に学びますので、善い事も悪い事も、役にたつ事も、立たないと思われる事も学びます。Hな事も学びますので知識は雑食です。でもAIを無菌室で育てるように知識を限った世界で育てた場合、ユニークな発想を生み出すか?という問題です。AIの知識も雑食にして、ただし絶対的な良心を維持するようなロジックを用意する事で「過去には無い発想や閃き」を生み出す可能性を感じています。
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飯箸 泰宏
知識は雑食上等ですが、人類の究極の目標(人が生き生きと暮らして、人類が悠久の繁栄をつづけること)をしっかり教えて、それに反する言葉と行動を排除する知識構造をAIの中に構築しなければならないと思います。つまりはAIに人類哲学を教えることになります。逆に人類の究極の目標(人が生き生きと暮らして、人類が悠久の繁栄をつづけること)のためになることを次々に創案できるようにすればよいと思います。簡単に見えて簡単ではないでしょうが。
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Akira Naito
面白いです。
そういう意味では アルゴリズム の 時間軸 は、意思決定の場・時からみて、過去へも未来へも、両方向に向かっていながら、どちらかというと、未来への方向での「計算」の方が大切で、ある意味、t =「無限大」まで時間をした際の可能性が確率的にみて「より多くのひとが良く生きる」か、そうで無くなる確率が大きくなるか? とするなんていう仕組みを、「哲学」と呼ぶ事になるのかもしれませんね。
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Akira Naito
「良く生きる」の定義や、最終結果まで至る中で、「良く」ない時期がどの程度生じることを「許容できる」か、という 議論 も『哲学』に含まれそうですね。
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飯箸 泰宏
同意します。
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上記の飯箸発言にもあるように、ヒラメキについても機作が解明されると人工知能で実行できるようになるはずです。解明の糸口をこれまでにない角度から明らかにしたいと思っていますが、まだ文章にすることができていません。この議論はこの後も長く続きそうです。
ミニシリーズ "××××××「推論方法に科学を(n)」--独創力の創り方(mm)"にもご期待をいただければ幸です。
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琵琶
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