飯箸泰宏 「創造力の作り方2 情熱エンジンと創造力」、第78回SH情報文化研究会(6/7)--感性的研究生活(101)
2018/06/10
飯箸泰宏 「創造力の作り方2 情熱エンジンと創造力」、第78回SH情報文化研究会(6/7)--感性的研究生活(101)
ミニシリーズ「第78回SH情報文化研究会」
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0. 概況
1. 宮澤智美 「初めての実用システムと新企画への挑戦」
2. 森下貴康 「自社ホームページの作成と販売サイトへの挑戦」
3. 東 真澄 「"Eコレ"のこれまで・これから」
4. 木津亜希菜 「明治時代の賃貸住宅経営」
5. 中村雄一 (なかよし学園) 「教育のあるべき形、カンボジア、ルワンダでの教育支援活動」
6. 飯箸泰宏 「創造力の作り方2 情熱エンジンと創造力」
7. 情報交換会(懇親会)
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6. 飯箸泰宏 「創造力の作り方2 情熱エンジンと創造力」
直前の発表者である中村雄一先生のお話に続いて私の発表となりました。ド迫力中村雄一先生の講演に聞き入ってしまって、司会(私)は時間が経つのを忘れてしまったようです。気が付くと中村先生は予定時間の2倍以上、私の持ち時間は半分ほどになってしまっていました。説明をかなり省いて、予定していた資料の半分しかお話しできませんでした。
①「情熱エンジンがあるから独創力が発揮される」という関係を述べる予定でしたが、「情熱エンジンと独創力」の関係についてはほとんどお話しできませんでした。
②私が教師として過ごした37年間、腹の底から煮えたぎっていたマグマは、「学生たちに実力をつけてあげたい」というもので、圧力はありましたが決して学歴を与えればよいという安易な考えを抱いたことはなかったと述べました。
③「生存活動サイクル 飯箸仮説」を第一回に続いて説明しました。実は、この「生存活動サイクル」こそが「情熱エンジン」そのものなのです。
④サンフランシスコの「ミレニアムスクール」の活動について触れました。
⑤「情熱エンジン」の中核をなすものが「自分で目標設定をする」ということにあります。人の「究極の目標」について、人類史上、すべてのコスモポリタリズム宗教の元祖である拝火教(のちのゾロアスター教)の教義とキリスト教、仏教、イスラムの教義共通性について述べて、それをまとめました。ギリシャから始まる西洋哲学もインド哲学もイスラム哲学も拝火教(のちのゾロアスター教)の教義からは大きくは外れていないことを指摘しました。
歴史的偉人・賢人の言説が以下の3点に集中していることを述べました。この3つは、ゾロアスター教の教義にある3つと基本的には変わらない枠組みです。
(1)人は現世で生を十分に楽しむために生きる
(2)人は他者の喜びのために生きる
(3)子孫の繁栄と幸福のために生きる
現代の科学が言う「生命(人はその一種)の究極の目標」は、「個体の生存」と「種の保存」の2つです。すべての生物は、この2つを究極の目標として生きているというわけです。生物学者の多くは、「人も生命の一種なので、ヒトが生きる究極の目標は、"個体の生存"と"種の保存"の2つである」と考えています。
この二つは「ゾロアスターの教義」や歴史的偉人・賢人の3つの目標のうちの2つに比定されます。
さて、ヒトは社会を作る動物ですから、現代の科学がいう「個の生存と種の生存」に "社会を作る動物としての特徴"=「組織や社会の存続」を加えるとゾロアスターの教義以来の歴史的偉人・賢人の言説にぴったり重なるという事実を示しました。
①「個体の生存」
②「組織と社会の維持」
③「種の保存」
結局のところ、これらの究極の目標から外れた目標設定は無駄になるので、究極の目標に合致する目標設定を行うことが「目標設定のコツ」になるという説明しました。これはとりもなおさず「独創力発揮」のコツということでもあります。
ただし、これら三つからなる組は、それぞれが内的に矛盾しており、こちらを立てればあちらが立たないということがしばしば起こります。叙事詩や小説に語られる人の根源的な葛藤はここにあります。人は振り子のようにどれかに引き寄せられ、他をおろそかにした反省から、また他に引き寄せられてゆく終わりなき運動を繰り返しているように思います。
⑥サンフランシスコのミレニアムスクールでも「瞑想」を取り入れています。そこで、この発表では瞑想の人類史を取り上げました。脳科学的には「瞑想」と「レム睡眠」はほとんど同じ働きをしています。セロトニンが出て、脳内の知識の組み換えが行われること、脳波はシータ派であることなど二者は全く同じことをしていることが示唆されることが分かっています。
違いは、瞑想が覚醒から直接「脳内の知識の組み換え」作業に移行するのに対して、レム睡眠は長いノンレム睡眠の後にしか惹起しないということです。これは、覚醒時に抱いた問題意識を持ったまま「脳内の知識の組み換え」作業に移行しやすい「瞑想」と、長いノンレム睡眠の間に覚醒時に抱いた問題意識を忘れてしまいがちな「ノンレム睡眠」という違いを意味しています。
「瞑想」は、覚醒時に抱いた問題意識を持ったまま「脳内の知識の組み換え」作業に移行しやすいので、意識して行えば脳内の知的活動にとって非常に有利です(知的瞑想)。しかし、無自覚であれば知的生産性は皆無でセロトニン効果で恍惚状態が得られるだけになります(恍惚瞑想)。「恍惚瞑想」はリラックス効果などの良い面はありますが、カルトなどが盛んに活用している「知性なき瞑想(セロトニン効果だけなので、麻薬を使った状態と同じような精神状況になる)」なので、大変危険で警戒が必要です。ミレニアムスクールではこの危険な「知性なき瞑想=恍惚瞑想」に限定されている点には改善の余地があると考えられます。
「脳内の知識の組み換え」作業が行われるのは、覚醒時に行われているバックグラウンドでの「考え事(*1)」のほかに、大別すれば、
①自然瞑想(誰でもしているぼんやりと集中して考える)
②恍惚瞑想(呼吸集中瞑想など、知性なき瞑想)
③知的瞑想(自問瞑想、問答に続く瞑想など、知的生産性が高い)
の3種類があることを示しました。
*1 フォアグラウンドでは現実に飛び込んでくる刺激や情報をさばくのに精一杯なので、
バックグウンドで行われる「脳内の知識の組み換え」処理速度は遅い。
質疑は、「瞑想」に集中してしまいました。
情熱エンジンがないと創造力が働かない、逆に言うと、情熱エンジンが創造力を掻き立てるという点にもっと着目を集める説明をすべきでしたね。これは反省です。
「現実社会は、(過酷な)トレーニングマシン」とも言えますから、「人生活動サイクル」に熱心に取り組むとおのずと創造力が発揮されるということにもなるということです。
全体のお話がじっくりとはできなかったので、同じお話を別の機会にもう一度やりたいと思います。
場外討議コメント
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大滝 孝明 中村さんの講演で大半の酸素が消費されてしまって、飯箸さんも会場も不完全燃焼になられたのではないでしょうか。(^^;)
成澤 一浩
はたして。恍惚瞑想はそんなに悪いのか?
インナーチャイルドを許容したとき。
恍惚瞑想と、言えるのではないか?
Hiroshi Nakamoto
ファンタジーは心の栄養
成澤 一浩 Hiroshi Nakamoto
厳しい現実は。
リアルな。
サバイバル・トレーニング。
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<次の記事に続く>
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琵琶
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